徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

麒麟がくる? 第26話「三淵の奸計」

ムカイリ将軍散る

 光秀を口説きまくっていたムカイリ将軍はついに華々しく散ってしまい、「あのお方にこそ仕えたかった」と熱愛宣言をしていた光秀はすぐに義昭に転ぶというかなりめざましい展開がここ数話でしております。

 ムカイリ将軍の最後は、一応は剣豪将軍らしい見せ場を作っておりました。最期は障子に囲まれて刺し殺されるという意味不明のオチになってましたが、実はあれは本来は畳なんですよね。障子だと刀を防ぐことが出来ないので無意味です。名刀ぶん回して大奮戦する剣豪将軍に手を焼いた三好勢が、畳を押し立てて盾にして将軍を取り囲み、一斉に刺殺したってのが、言われている剣豪将軍の最期なんです。しかしこの作品、将軍の住居が畳敷きでなくて板張りになっていたからそれが出来なかった(笑)。それで窮余の策が障子ってオチでしょう。

 ムカイリ将軍は頑張ってましたが、歴史的に見ると彼は三好の言いなりにならなかったせいで殺されるんです。完全に言いなりになる馬鹿殿だったら殺されなかったんですけど、中途半端にやる気と能力があったから殺されざるを得なくなったと。もっと能力があったら、逆に三好を押さえたんだろうけど所詮はボンボンなんでそこまでの能力はなかった。まあ昔から、完全な馬鹿殿よりもむしろ半端に能力のある殿の方が暴君になったりして結局は倒されます。典型的なのが殷の紂王。希代の暴君のように言われているのは、多分に代わって天下を取った周による脚色としても、そもそも紂王って若い頃は頭の冴えを見せており、これは名君が登場したと周囲に期待された人物なんです。

 

一介の浪人の光秀に振り回されるナマ倉義景

 で、ムカイリ将軍を失った光秀は義昭の器量を見定めることをナマ倉義景から命じられるが、「自分は将軍なんて無理」って逃げようとしている義昭の姿を見て「こりゃ駄目だ」と義景に報告、それを聞いて義景は「やっぱ上洛は無理か」と判断するが、次に「自分が将軍になったら弱い者を助けることが出来るかもしれない」と語った義昭にグッときた光秀が「回りが支えたら結構良い将軍になりますよ」と言ったら、今度は義景は突然に「よっしゃ、上洛だ」・・・えっ? あのバカ倉義景の優柔不断は光秀が黒幕だったってこと? それがこのドラマの筋ですか。まあ主人公の活躍ぶりを無理矢理に拡大するのは大河ドラマの常ですが(「篤姫」なんて幕末のゴタゴタはすべて篤姫が裏で関与していたことになっていた)、さすがに光秀が大者過ぎる。そもそも朝倉に居候しているだけの一介の浪人がどこまで影響力持ってるねん。

 そして一旦「よっしゃ上洛だ」と舞い上がってしまったら、完全に暴走するバカ倉義景。本当にこの作品での義景の描き方ってひどいな・・・。まあ歴史的に見たら実際に無能っぷりが際立ってるからな・・・。

 んで、舞い上がって暴走している義景を押さえるための陰謀が、息子殺害・・・ってダークすぎるな。まあ実行したのは家老やら景鏡らってことになってますが、三淵も暗にそう仕向けてますからね。どうせ景鏡って最終的に義景を裏切って自刃に追い込むんだから、このぐらいのことしても良いかもしれないけど・・・。まあ家中でこんなゴタゴタが起こるようなところが上洛どころじゃないわな。実際の歴史でも朝倉家の中って無茶苦茶だったし。それにしても溺愛していた息子を失って完全にナマ倉化した義景の駄目っぷりがこれまた際立つ。

 それで慌てて光秀は信長の元に。ようやく光秀が歴史の表舞台に登場するということになるようです。今後は歴史のある世界に入っていくので、ストーリー的にはあまり無茶は出来なくなります(笑)。しかしこの展開を見ていたら、無理矢理に年内に話を収めるつもりなんだろうか? もしそうならかなりドタバタした展開になってしまうが。それとも来年の春前ぐらいまで引っ張るんかな? その辺りは公式発表はなかったんでしょうか? 最期はまさかの信長ナレ死なんて大技になりかねない。