ベルリンフィルデジタルコンサートホールで今日視聴したのはハーディング指揮による2曲。ハーディングについてはパリ管のライブは聴いたことがあるが、ベルリンフィルを振っているのは初めて見た。果たしてハーディングがベルリンフィルを相手にどのような演奏をするかが興味深いところ。
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団デジタルコンサート(2020.9.13)
指揮:ダニエル・ハーディング
アルバン・ベルク 弦楽オーケストラのための《抒情組曲》から3つの楽章
ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調《田園》
一曲目のベルクはやはり私には分かりにくい曲。「抒情組曲」と銘打っている割にはなかなかに激しいところもある曲。ハーディングの指揮はキレがあり、ベルリンフィルの演奏にも締まりがある。もっともそれでもやはり私にはベルクの曲はあまり面白くない。
さて後半の田園であるが、やや速めのテンポでグイグイと進んでいく演奏である。音色自体は煌びやかで色彩的であり、ハーディング自身が細かいところで随所に渡って色づけをしていっていることも分かる。
ただ全体的にあまりに駆け足過ぎるような気がしてならない。もっとゆったりと鳴らしても良いと思われるところでも、演奏はどうも前へ前へとせっつかれている感じがあり、今ひとつ落ち着かない。
このテンポの速さは全楽章を通じての一貫したものであり、色彩鮮やかではあるのだが、どうにもいささかせわしない田園風景という印象を受けずにはいられなかったのである。
うーん、やっぱり田園については全体的にもう少しゆったりと歌うタイプの演奏の方が好きである。田園風景の中での癒やしという雰囲気がやや薄い演奏だったように思われる。ハーディングがパイロットでもあるからというわけでもないだろうが、田園風景の上空をジェット機で飛び去っていったような感覚を受ける。