徒然草枕

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バレンボイム指揮でベルリンフィルの「わが祖国」

 毎月視聴料を払っていながら、実際には払ってるだけになりかかっているベルリンフィルのデジタルコンサートであるが、やはり料金の元ぐらいは取る必要がある。というわけで久しぶりに今年の演奏のアーカイブを視聴する。今回は10月にあったバレンボイムによる「わが祖国」。

 チェコの国歌のような音楽なのだが、バレンボイムにもベルリンフィルにも共にチェコとの接点はない。果たしてどういう演奏が飛び出すか。

 

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団デジタルコンサート(2020.10.24)

指揮:ダニエル・バレンボイム

スメタナ 交響詩「わが祖国」

 まあ最初から予想は出来たのであるがあまりチェコ臭さは感じない演奏である。バレンボイムの指揮はどことなく泥臭さを感じさせるものであるのだが、それはいわゆるチェコの土俗の感覚ではなくて、何やらもっと別のものであるように思われる。

 とにかく目立つの急なテンポの変動などの激しさ。そのために特に第一曲のヴィシェフラドなどがかなり通常のイメージと違う。唐突に動くテンポに流石にベルリンフィルはよく追随しているが、それでも所々怪しいところはある。

 ただ何となくどこかヌルさを感じさせる演奏でもある。また細かいテンポ変動も納得のいくものならよいのだが、結構聴かせどころと思える場を高速テンポでサラッと流してしまうと思うと、なんでここと思う箇所でストンとテンポを落としたりと、どうも表現意図とかと無関係にテンポが動くような気がしてならない。この曲は全体的にチェコの舞踏のリズムがあるのであるが、どうもリズムが悪くて踊っていると途中で蹴躓きそうな箇所が多い。

 とにかく「流れが悪い」という印象が表に来る。どうしてもここ一番でつっかえつっかえのような奇妙なリズムが出てくるので、今ひとつ乗り切れない演奏である。その辺りが最後まで違和感として全く解消しなかった。