徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

麒麟がくる第37話「信長公と蘭奢待」

馬鹿殿、開始3分であっさりと退場

 信玄の大勝で調子に乗って信長に反旗を翻した馬鹿殿・義昭ですが、武田軍が急に甲斐に戻ってしまった上に、頼みの浅井・朝倉は動かず、結局は一間しかない槙島城(笑)にあっという間に織田軍に攻め込まれ、開始3分であっさりと敗戦してしまいました(笑)。義昭を捕らえて自信満々の藤吉郎が今までにも増してキショさ120%。光秀の「やっぱりこいつ嫌だわ」という感覚がビンビンと伝わってきます。

 そして最後まで将軍に付いていた兄を見限って、実はひっそりと信長側に寝返っていたちゃっかり者の細川藤孝。この作品では武直な男のようにしてましたが、実はどうしてどうして計算高い。しっかりと情勢を見極めて既に馬鹿殿を見限っていた(いつの間に?)。これには兄貴が怒るのも当然。

 それにしてもあの人がなぜここまで変わってしまったのかというのを改めて感じさせる内容になっておりました。義昭自身が立場が変わってしまったことでこうなってしまったということを暗に言ってましたが、まあ権力が人を変える。権力が人を堕落させるというような怖さを一身に表現した人物となっておりました。彼は。

 結局は命は助けられたものの押し込められてしまった馬鹿殿は、それでも懲りずにあちこちに書状を送っております。そしてそういう落ち目になった義昭に対し、さすがに常にその時の一番の権力者に寄り添うことを信条としている小池百合子お駒は早速見切りを付けた模様。多分、あれは別れを告げに来たのでしょう。鞆の浦まで付いていくとは思いにくいので。

 

舞い上がった厨二病信長の回りに漂う微妙な空気

 権力は魔物という展開ですが、その魔物に新たに取り付かれた厨二病患者が信長。信玄が死んだらしいという情報を聞いて、早速朝倉を一気に攻め滅ぼす。で、こちらもあっさりと3分で滅亡。なんてインスタントな。結局は最後は親族衆に裏切られてしまうと言う見事なナマ倉ぶり。それでもまだナレ死させられた斉藤義龍よりはマシか。

 京の周辺を押さえて完全に舞い上がった信長(当時の天下とは近畿一円のことだから、まあこれで天下を手に入れたと言える)は、蘭奢待を所望。要するに今まで足利将軍が蘭奢待をもらったらしいけど、自分は足利将軍に取って代わったんだから、蘭奢待もらっても良いじゃんという厨二的発想。これに対して心の底では「オイオイ」と思いながらも表立っては御追従している光秀。いよいよ悲しき中間管理職の空気が漂い始めた。

 一人で舞い上がっている厨二病患者の回りにかすかに吹き始めた隙間風。信長を適当にコントロールして上手く使ってやろうと思っていた玉三郎も、さすがに勝手に舞い上がっている厨二病には辟易とし始めた模様。信長がうれしそうに献上してきた蘭奢待を「こんなものいらんわ」とさっさと毛利に送ってしまう。これって、今度は毛利を使って信長をやってしまうおうという裏の意図が透けて見える。おっとりと見せて裏でいろいろと画策があるという空気。うーん、さすが玉三郎は一筋縄ではいかない曲者。

 なかなかにここに来て、信長の回りのギクシャクした空気がビンビンと伝わってきて、しかもその空気が光秀を直撃している。光秀は最初に義昭に対して「なぜあの人がこんなになってしまった」と悲しさをもろに出していたが、次は信長に対して「なぜあの人がこんなになってしまったんだ」と泣きながら本能寺の変を起こすのかな。何となく空気が本能寺に直結し始めて来た。で、あの細川藤孝はしゃあしゃあと光秀を裏切る(笑)。そして光秀に勝利するのがあのいかにも嫌らしい秀吉。うーん、見事に後の伏線があちこちに張り巡らされてきた。