徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

麒麟がくる第38話「丹波攻略命令」

あっさりと退場する三淵藤英

 光秀の元に預けられていた三淵藤英に対して、信長が書状一枚で「即刻切腹させろ」との指示。さすがに元同僚に対して後ろめたさを感じる光秀だが、三淵藤英は「いや、もう分かってたから今更ジタバタ見苦しいことはしない」とあっさりと切腹。「自分は幕府の家臣となった以上、そこから変わるような器用さはなかった」という類いの事を言っていたが、これはある意味ではちゃっかりと寝返った弟やら光秀に対する当てこすりでもある。この辺りが光秀には実は地味にダメージ与えている。

 

光秀と信長の間に漂い始めている微妙な空気

 で、光秀は藤孝と共に信長の家臣として三好討伐。そして帰ってきたと思ったら、稲葉一鉄の元から逃げ出した斉藤利三(春日局の親父ですね)が「あんな暴君のために命賭ける気にならないから雇って欲しい」と逃げ出してきている。ちなみにこれ、史実では光秀がスカウトしたと言われてるんだけど真相は不明。ただ浪人上がりでそもそも家臣団的なものがなかっただろう光秀が、人材登用に必死だったのは容易に推測でき、斉藤利三をヘッドハントした可能性はかなりある。とにかくこれに対して信長は「稲葉に返せ」と言ったのも史実のようだが、光秀はそれを頑として拒絶したらしい。

 その時に信長がぶち切れて光秀に暴力をふるったという話もあって、それが光秀にとって怨恨となって本能寺につながったという説もある。しかしこの番組の厨二信長は、確かにブチ切れはしたんだがすぐに思い直して光秀に媚びを売っている。さすがにまだ光秀に本気でケンカ売る度胸はないらしい。ただ段々と光秀にとっても信長がアンコントロールになりつつあるのを匂わせている。舞い上がってしまった厨二男はかなりタチが悪いようである。着々と本能寺への布石が打たれている。目下のところ、信長に諫言できる存在は光秀だけって状態になってるんだが、信長が全く頭の上がらない帰蝶様はどうなったんだ?

 

本能寺の原因にはどの説を採る気なんだろう?

 そして信長から丹波攻略を命じられる光秀だが、これが実は難題。番組でも言っていたがこれが非常に長い戦いとなり、しかもその間にも信長から「石山本願寺攻めにも協力しろ」「中国方面に行っているサルを助けろ」と無茶ぶりされまくって、挙げ句に過労でぶっ倒れたり、光秀の看病疲れで熙子が病気になって死んでしまったりなどいろいろあります。信長のあまりの人使いの荒さに段々と不満が募ってきて・・・って展開に持ってくるのかな。

 ただここに来て厨二信長に愛想を尽かせ始めている玉三郎が、光秀を上手く使ってやろうという意図を見せ始めているので、こういう朝廷絡みのしがらみも光秀を本能寺に向かわせた背景として登場する可能性あり。いろは大夫に顎で使われていたパシリ関白もまた話にかんでくるようだし。

 さらには宣教師たちも登場した。本能寺の変の背景としては、怨恨説、野望説、朝廷黒幕説、イエズス会黒幕説、対長宗我部政策の食い違い説などなど諸説ありますが、この番組ではどれを本命として持ってくるのかは今ひとつ不明。今のところもしかして全部ぶっ込んでくるつもりなのではなんて気までする。なお最近では「完全に旧来社会をぶち壊した新秩序を目指していた信長と、幕府を中心とした旧来型秩序を目指していた光秀のグランドデザインの相違説」なんてのもある。光秀がやたらに「麒麟がくる世」を繰り返していることと、光秀と幕府との関わりをかなり前から細かく描いている(記録が残っていない時代にまでわざわざ光秀と幕府との関わりがあったことにしている)ことを考えると、私はこれが本命なのかという気はしているが。

 もっともこの作品の信長を見ていると、「完全に舞い上がった厨二病男の暴走を持て余した挙げ句、見るに見かねて泣きながら斬る」って展開があるかなという気がしてきている(笑)。もっとも「情けない」展開であるが、ここまでの進行を見ていると実はこのオチが一番説得力があったりする(笑)。