さて今日は久しぶりにベルリンフィルのデジタルコンサートを聴くことにした。どうやら今年の公演がアップされたようであるので、そのペトレンコライブと昨年のアルティノグリュのライブを。
ベルリンフィルデジタルコンサートホール(2021.1.16)
キリル・ペトレンコ指揮
チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ラフマニノフ 交響詩「死の島」
チャイコフスキー 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
今回はチャイコフスキーとラフマニノフの幻想的な曲3題である。
ロメオとジュリエットについては、ペトレンコらしい明確でクレバーな指揮であり、謳わせるところはしっかりと謳わせている。ただ美しくはあるのだが、この物語特有の痛々しさのようなところがあまりない。普通に激しくも美しい音楽としてまとめたという印象である。
二曲目はややおどろおどろしくも騒々しい曲なのだが、何となく全体的に混沌とした雰囲気がある。バリバリと鳴らしてはいるんだか、今ひとつこもった印象。
最終曲もかなり混沌とした曲なのではあるが、そこのところはラフマニノフとチャイコフスキーの違いで、旋律には明快さがある。前半はややグチャグチャした印象があったが、後半になるにつれて非常に明確な演奏となった。ペトレンコにもベルリンフィルにも冴えが感じられてマズマズ。
幻想的な小曲3曲の組み合わせだったが、ベルリンフィルの美しさとペトレンコらしい切れ味は感じさせられた。ただ曲調もあって全体的にゴチャゴチャした感じの響きになったのが気になるところ。
ベルリンフィルデジタルコンサートホール(2020.12.5)
アラン・アルティノグリュ指揮
ストラヴィンスキー 「プルチネッラ」
ビゼー 交響曲ハ長調
1曲目はストラヴィンスキーの新古典主義的な曲。曲調には古典的なものを感じさせるのだが、その響きには近代性を含んでいる。さすがにベルリンフィルは室内楽的な締まりのある演奏を聞かせる。また弦のアンサンブルに重なる管楽器の妙技はさすがにベルリンフィルらしい名人芸。さすがに鉄壁の安定性がある。アルティノグリュの指揮も躍動感のあるもの。
2曲目もいささか古典的にも感じられるビゼーの交響曲。もっともそこにメロディメーカー・ビゼーらしい美しい旋律が潜んでいる。アルティノグリュの演奏はとにかく軽快である。やや快速目のテンポでグイグイと行く。とにかく元気で明るく気持ちの良い演奏。
総じて実に爽快な演奏であったという印象である。アルティノグリュの若々しさが溢れる感じでなかなかに魅力的であった。