徒然草枕

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ロンドン交響楽団のライブ配信でラトル指揮のベルクとシューベルトを

ロンドン交響楽団もライブ配信に注力の模様

 ベルリンフィルがコンサートを実施できなくなってデジタルコンサートホールに力を入れているが、コンサートを開催できなくなっているのは新型コロナで混乱しているイギリスも同様であるようだ。イギリスの雄であるロンドン交響楽団がライブ配信を実施しているようである。どうもこの1月から公開でのコンサートを実施できない状況になった模様。

www.lso.co.uk

 なお収録した演奏はMarqueeTVで配信されるようである。MarqueeTVはそもそもは有料配信のようであるが、ロンドン交響楽団のコンテンツは配信開始後1週間は無料で視聴可能とのこと。ログインを求められるがGoogleアカウントでのログインも可能な模様なので視聴してみた。

 ちなみにMaequeeTVでの有料配信は年間88.99£(12600円ほど)だが、今だと半額の44.99£になるとのこと(1年過ぎたら自動更新のようなのでその点が注意)。金額的にはベルリンフィルデジタルコンサートホールよりは若干安いか(為替変動での変化の可能性あり)。やはり世界の一流オケはオンライン配信での世界を視野に収めたビジネスを開始したようである。まあベルリンフィルやロンドン交響楽団なら知名度と実力でその手のビジネスは可能であろう。後は同様のことが出来そうなのはウィーンフィル、コンセルトヘボウ辺りか。アメリカのシカゴやサンフランシスコ辺りは考えないのか? またこれだけが一斉に有料放送を始めたらとても払いきれないし見切れないが(笑)。

 

ロンドン交響楽団ライブ配信(2021.1.7 LSOセントルークスで収録)

指揮:サイモン・ラトル
ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

ベルク ヴァイリオン協奏曲
シューベルト 交響曲第9番「ザ・グレート」

 最初のベルクの協奏曲は正直なところ私には奇っ怪な曲にしか聞こえないが、カヴァコスの演奏は実に切れ味鋭く、明らかに私の好みとはかなりズレる奇っ怪な曲に関わらずなかなかに面白く聞ける。非常に明快な演奏であるために曲をつかみやすく、この手の曲に良くありがちな「何をやっているのやらよく分からない」という状況にならない。

 二曲目は非常に軽快で前進力の強いグレート。第一楽章から躍動感に溢れてグイグイと進んでいく印象。伝統的には重っ苦しいグレートが少なくない中で、これは比較的現代的なアプローチか。やや哀感を含んで聞こえる第二楽章なども哀愁よりも滑稽さのようなものの方が表に出ている。そのまま怒濤のようにラストまで突っ走っている。非常に鮮やかで煌びやかな演奏である。響き自体が非常に陽性、それでいても音色自体は薄くならないのはさすがにロンドン交響楽団と言うべきか。長大なこの曲であるが、おかげで退屈せずに済むわけである。

 最早巨匠と呼ばれる年代に突入しているラトルであるが、今回を聞く限りにおいてはどうしてどうしてまだまだ若々しいなという印象を受けた。ラトル健在であるのはうれしい限り。