徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

ハーディング指揮のパリ管の「大地の歌」は流石の名演

昨年のライブが無料配信中です

 昨日の大阪フィルのインバルのショスタコの興奮がまだ冷めやらぬ感覚があるが、今日はパリ管のライブ配信の中にハーディングが指揮した昨年の「大地の歌」があったから、それを視聴する。

live.philharmoniedeparis.fr

 正直なところ仕事を終えてからの大阪への車の往復は予想以上に肉体的ダメージがあって、今日の朝は完全にダウンしていた。不思議なのは両足がパンパンに張っていたこと。別に自分の足で歩いて大阪に行ったわけではないのに・・・。まあやはりコロナを警戒して異常に神経を張っていて疲れたというのはあるだろうが。

 昨日の公演でも私の席の周辺がやけに混んでいて、しかも隣があごマスクのおばさんという状態だったので、自ら空いている席に移るなんていうドタバタもあった。それにしてもあれでマスク着用してるつもりなんだろうか?

 

パリ管弦楽団ライブ配信(2020.12.23フィルハーモニードパリ)

ダニエル・ハーディング指揮
アンドリュー・ステイプルズ(テノール)
マティアス・ゲルネ(バリトン)

 

 パリ管弦楽団はそもそも煌びやかな音色を特色としたオケであるが、そのパリ管がハーディングの指揮下に入ると極めて統制の取れた色彩豊かな音色を出す。音色には色気があり、生命感が満ちて躍動感がある。そこに華やかなバリトンのゲルネと力強いテノールのステイプルズが色を添える。

 第一曲など"Dunkel ist das Leben,ist der Tod!"(生は暗く死もまた暗い)がキーワードになった曲なのであるが、あまりにも華麗で煌びやかなのでやや面食らうぐらい。ましてや酒を謳った第五曲などなかなか豪胆である。そして陰鬱の内に息絶えるような終曲までもが、その合間に華麗さを見せる。総じて非常に前向きで生命力の強い「大地の歌」である。無常の中に果てると言うよりは、死ぬまでに豪快に太く短く生きてやろうとでも言うかのような力強さがある。

 正直なところ私はこの曲に対して「陰鬱で冗長」という印象を持っていてあまり好きな曲ではないのだが、この演奏では全く別の曲であるかのように非常に魅力的に感じられた。このような「大地の歌」は果たして正答と言えるのかどうかは賛否があるかもしれないが、とにかく私には非常に魅力的な演奏であった。

 何やらハーディングとパリ管の組み合わせも黄金時代に突入した感を抱かされる。前回の来日時にも極上の演奏を聞かせてくれたが、ハーディングは実に巧みにパリ管の魅力を引き出している。色彩感という点に関しては最強コンビのように感じられる。