コロナ禍の中では音楽はライブ配信で楽しむしかないか
さてコロナの方は未だに収束までにはほど遠く、今後も国内オケはともかく海外オケの来日が可能となるのはまだまだ遠い先であると思われる。こうなるとやはり音楽好きとしては海外のオケのコンサートはやはりライブ配信に頼るしかなくなってくる。
有料配信に力を入れているベルリンフィルなど以外では、ロンドン交響楽団、パリ管弦楽団、ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団、ミュンヘン交響楽団などが定期的に無料のライブ配信を行ってくれている。今回はミュンヘンフィルのライブ配信でフルシャ指揮のドヴォルザークが配信中であったのでそれを視聴することにする。配信は現地時間の2/18の深夜までとのこと。
ヤクブ・フルシャとしてはドヴォルザークはまさにご当地の英雄の曲であるだけに、そこはかなりの共感と理解の深さを持っていると思われる。その辺りが演奏にいかに反映されるかが興味あるところ。
ミュンヘンフィルライブ配信(2021.1.29収録)
指揮:ヤクブ・フルシャ
オルガン:クリスチャン・シュミット
プーランク オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲
ドヴォルザーク 交響曲第5番ヘ長調
プーランクの曲はまるでバッハを思わせるような重厚なオルガンに、管弦楽の現代的な響きが重なっていく独特の曲。最初はいかにもバロックか古典のような雰囲気があるが、曲が進むにつれて段々と年代が近代へと下っていくという印象である。フルシャの指揮は非常に躍動感があって生き生きとしたもの。だから曲自体が非常に明快であるという印象を受ける。輝かしくて魅力的である。
ドヴォルザークの交響曲第5番は耳にする機会の多い曲ではないが、ドヴォルザークの田園交響曲という評があるらしい。そのためか同じく田園交響曲と言われることも多い交響曲第8番と第1楽章などは驚くほど類似が見られる。ほとんど同じ旋律を使い回したと思われる部分まであり、この曲は第8番の元になったのではないかと感じさせられた。
いわゆるスラブの田園風景を連想させるような明瞭で生命感が満ちた曲である。それをフルシャの演奏はまさに生命力で溢れんばかりの表現を行っている。ミュンヘンフィルの音色も実に輝かしくて聴いていて気持ちが良いという印象。非常に色彩的な演奏であり、フルシャがかなり深い部分で作曲家に共感を持っていることが感じられるので、曲の魅力がストレートに伝わってくる。この曲がこんなに面白い曲であったと言うことには今回初めて気づいた。