徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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関西フィル第316回定期演奏会で久しぶりにザ・シンフォニーホールへ

3ヶ月ぶりの関西フィルだ、ザ・シンフォニーホールだ

 今日は実に3ヶ月ぶりに関西フィルの定期演奏会に出かけることにした。関西フィルのコンサートは前回は去年の11月の定期演奏会が最後。12月の第9は大阪のコロナの状況悪化で行っていないし(読響の第9もパスした)、次にコンサートに行ったのは先月末のインバル指揮の大フィル。その後大フィルの2月の定期は行ったものの、関西フィルは実に3ヶ月ぶり、さらに言えばザ・シンフォニーホールを訪問するのも3ヶ月ぶりである。

 世間ではごく一部にワクチン接種が始まったことを過剰にPRしてて、明らかにオリンピックを意識して意図的に「コロナは終わった」という空気を演出している感があるが、実際のところは事態は決して良くはなっていない。やっぱり大阪まで鉄道を利用するのはリスクが高すぎると言うことで、今回も車を利用することにする。

 金曜日の仕事を早めに終えると長駆して大阪まで。例によって夕方の阪神高速は所々で渋滞があったが、早めに出たこともあって予想よりも早めに大阪に到着。予定通りの駐車場に車を置くと暮れなずむ大阪の町をホールに向けてプラプラ。とりあえずは夕食を摂っておく必要がある。

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久しぶりのザ・シンフォニーホール

 

夕食はいつもの店

 ということだが、ハッキリ言って食べるものが思いつかない。とりあえず今日はラーメンだけはなしと言うことしか思いつかない。結局は安直にいつものように「福島やまがそば」を訪問する。

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毎度の行きつけである

 店内は一杯である。ザ・シンフォニーホールに向かうと推測される客の姿が多い。とりあえず席を確保すると私が頼んだのは「カツ丼の定食(900円)」。なんか今日はガッツリ食べたい気分になった。

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今回はカツ丼と蕎麦のセット

 カツ丼はいかにも懐かしいタイプの味。そしてそばはいつものあっさり目の蕎麦である。まあ特別なものは感じないが特に難点のないメニュー。結局は普段使いはこういう店になる。

 夕食を終えるとホールに入る。相変わらずホール入り口は厳重警戒中。ただやはり社会が通常モードに戻りつつあるのか、今までに比べると入場者は多い。ホール全体で5割ぐらい、一階席に限定すると6~7割ぐらいは埋まっているイメージ。以前はこれが3割方ぐらいだった。

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第316回 定期演奏会

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ステージ上も普通に並べるようになった

[指揮]三ツ橋敬子
[フルート]工藤重典
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

シャミナード:フルート・コンチェルティーノ ニ長調 op.107
イベール:フルート協奏曲
シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 op.97 「ライン」

 当初予定は指揮者がリオ・クオクマン、フルートはマチュー・デュフォーの予定だったのだが、例によっての外国人入国規制のために日本人ペアに変更になった次第。

 シャミナードの曲は初めて聞く曲だが、やや現代調でかなり目まぐるしい曲。これを吹くのはかなりの技術を要しそうだ。工藤の演奏はこの曲をアクロバティックに難なくこなすのであるが、曲調もあるのか、音色がやや硬質なのが気になるところ。もう少し色気のある音色を出せないものかと感じる。

 次のイベールのフルート協奏曲も同様の感想。どうも全体的に音色が非常に硬質であり、高音などはキンキンと神経に響くところがある。情感タップリに謳わせているフレーズもある曲なので、そのあたりをもう少し聞かせる演奏になれば好ましいのだが、どうもそういう雰囲気が今ひとつない。

 さて後半はシューマンのライン。何か最近やたらにこの曲がコンサートに取り上げられている気がするのだが・・・。三ツ橋の指揮ぶりはとにかくしなやかであり、この辺りはさすがに女性らしいと言うべきか。身体は小さいが動作は大きく、かなり感情を込めているのが分かる。それに対しての関西フィルの演奏はやや爆音気味。元気よくグイグイと行く印象。ただ三ツ橋のしなやかな指揮っぷりに比すると、その割には演奏がやや硬質なのが引っかかる。また関西フィルがデュメイの指揮を受けなくなくってかなり経つが、デュメイに仕込まれたあの独特の粘っこい音色が弦から消失しつつあるように感じられたのが懸念されるところ。元気さを正面に出した演奏をすると、関西フィルの場合はどうしても管を中心に雑に聞こえる部分が出てくるのが気になるところである。決して悪い演奏というわけでもないのだが、もう少し精緻な演奏も出来るのではというのが正直な私の感想である。