徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

東京交響楽団の定期演奏会をニコニコ生放送で聞く

体調不良の日はライブ配信で

 先週来から体調を崩して寝たり起きたりで半分寝ている状態(風邪症状だったのだが、発熱がなかったのでPCR検査は受けられず)だったのだが、そのおかげで先週来からのコンサートは軒並みキャンセルとなり、チケットをかなり無駄にしたところである。実は本来ならこの週末も金曜の夜の関西フィルの定期演奏会、さらには本日の京都市交響楽団の定期演奏会に出向く予定だったのだが、体調がすぐれないために仕事が終わってから大阪まで車で突っ走る自信がなかったこと、さらにはパフォーマンスだけの無能知事の手腕で順調に第四次感染爆発を迎えつつある大阪で一泊することに対する懸念(私の身体は現在は間違いなく抵抗力が低下しているだろうし)などなどから、この週末の予定は泣く泣くキャンセルとなった次第。

 そんなこんなで今日は悶悶と一日横になっていたのだが、ベッドの上でゴロゴロしながらTwitterをチェックしていたら、本日の6時から東京交響楽団の定期演奏会がニコニコ動画で無料ライブ中継されるとの情報が飛びこんできたので、慌ててベッドから飛び起きることに。

 

やっぱり個人的には固定カメラが落ち着く

 ニコニコ動画の難点は画質があまり良くないことだが、ありがたいのは一般的なカメラを切り替えての映像だけでなく、観客席固定カメラでの映像もあること。私は以前にも言ったように、カメラ切り替えの映像は落ち着かないので嫌いである。そもそも音場と映像がズレる上に、ステージ上をウロウロしながら突然にソリストににじり寄ったりしているような不自然さは落ち着かない(あの映像を見ていると、私は自分が霊になってステージ上を彷徨っている気がしてくる)。ということでメイン映像を固定カメラにし、サブ映像として複数カメラ映像を表示させることにした。これは私が以前から「METのライブビューイングもこうするべき」と言っている構成に近い。

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メインは固定カメラ、サブにカメラ切り替え

 もっとも固定カメラでも音場と映像が完全に一致しているわけでなく、映像は1階席中央付近上方に浮いている(笑)感じだが、音声自体はもっとオンマイクなので、時々ピアノの中に頭を突っ込んでいるような感覚がする(笑)。理想を言えば一階席中央辺りにマイクを立てて、ホールの音場も含めて送信してくれたら良いのだが、無観客ライブならともかく、観客を入れてのライブならマイクセッティングに制約があるのは致し方ないところ。無能政府と無能知事の二重奏のせいで完全に日本のコロナ感染中心となっている東京に出向くことは少なくとも後2年ほどは不可能であることを考えると、東京でのライブを居ながらにして試聴できるのはそれだけでもありがたい。なお映像で見える範囲での観客の入りは5割程度というところか。

 ただ一つだけ難点を言えば、固定カメラの映像と複数カメラの映像でタイミングにズレがあること(固定カメラの方が2秒ほどタイミングが遅いようである)。だから両方の映像の音を出していたら音がぶれることになるので注意。私は開演前の場内アナウンスが時間差で聞こえてきたことから、このことに気づいた。なお当然ながら鬱陶しいコメントは非表示である。

 

トリプルディスプレイ構成は作業の快適さを増します

トリプルディスプレイ構成の顛末はこちら

www.ksagi.work

 なおこういう時にトリプルディスプレイ構成の御利益を実感できるのである。正面のメインディスプレイに映像を表示しつつ、チラチラとサブディスプレイのクローズアップをチェックし、サードディスプレイでこの原稿執筆(笑)。本業はリモートワークとはほど遠いのに、副業の方は順調に快適な作業環境が構築されている今日この頃である。

 

東京交響楽団 第688回 定期演奏会

指揮:井上道義
ピアノ:北村朋幹

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第6番 ロ短調 op.54

 北村のピアノは表現意欲に満ちたもの。メリハリが強く、謳わせるところは徹底的に謳ってくる。ベートーヴェンのこのピアノ協奏曲は第5番「皇帝」に対して「皇后」などと言われることもあるエレガントさを含んだ曲であり、それを正面に出した演奏も少なくないのだが、北村の演奏は甘さよりもややガツンガツンとしたタッチの激しさを秘めたアプローチ。

 もっとも最近の技巧のある若手アーティストにありがちではあるが、乗ってくるとやや早弾きの傾向が出る。本人が謳わせたいと思っているところでは溜を作ってストンとテンポを落としてくるのだが、そうでない部分になると段々とスピードが上がってきて弾き流す傾向がある。

 さらには指揮者の井上道義も乗ってくると突っ走る傾向のある指揮者なので、ソリストと合わせてタコ踊り絶好調で突っ走る。おかげでメリハリは効いているのであるが、ややせわしない感のある演奏でもあった。

 さて後半のショスタコの6番であるが、陰鬱で不気味さを秘めた長大な第1楽章から始まり、雰囲気が一転して明るくなる第二楽章を経て、乱痴気騒ぎの第3楽章につながるという相変わらずのショスタコらしいどこか屈折した難しさのある曲である。

 井上の指揮は第1楽章は重苦しさの中に美しさが垣間見えると言った表現ではあるが、やはりこの楽章はとことん重い。それが第2楽章になって空気が変わると、第3楽章は徹底したお祭り騒ぎで持ってきた。例によってのタコ踊り絶好調である。

 井上らしいキビキビとした演奏であった。正直なところこの曲はやはり私には難しいという印象を受けたが、それでも退屈な演奏にならないのはさすが。会場は大盛り上がりであったが、それもさりなんというところ。


 なおライブは録画映像と違って休憩時間がそのまま存在するので、臨場感があると言えばあるが、ある意味でのかったるさもあるということも感じた次第。まあ人間、あまりに効率効率でせわしないのも心理的負担になるので問題はあるが。特に私の場合、教ドキュネタの番組の視聴は常に2倍速で行っているぐらい、日頃から余裕がなくてせわしない生活をしているので。