徒然草枕

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青天を衝け 第9話「栄一と桜田門外の変」

ワンコ井伊の暴走と尊皇攘夷で浮かれる栄一

 忠誠心だけで突っ走るワンコ井伊。いよいよ反対者を弾圧する安政の大獄に踏み切ります。斉昭は江戸を追い出され、慶喜は強制的に隠居させられて幽閉。ここでまたへそを曲げてヒッキーになる慶喜。やっぱり何考えているか良く分からん。とにかく無意味に頑固なことだけは分かった。これがやはり同じく無意味に頑固な栄一と共感するという展開か?

 一方の栄一は完全に新婚ボケ。そこに帰ってきたのはやっぱり長七郎だったか。長七郎から江戸の現況を聞かされた栄一は「井伊って悪い奴なんだな」という非常に単純な認識。まあとにかくお目出度い奴です。バカ兄貴は井伊が異人を受け入れたせいでコレラが流行った、尊皇攘夷だと勝手に浮かれているし・・・。

 完全に浮かれてしまっている栄一に対し、親父さんは「百姓が公儀のことなんかどうするんだ」というスタンスですが、まあこれが普通の反応でしょうね。千代にしても「うちの旦那を変に唆さないでくれ」という意識が滲み出ていたし。それでなくても浮かれやすい栄一だから、乗せられたらテロリストになってしまう懸念を感じているんでしょう。

 

桜田門外の変発生、呆気なく殺害されるワンコ井伊

 で、主人公周辺が浮かれている内に江戸ではどんどんときな臭い状況に。江戸から追放された斉昭の意志を勝手に忖度した連中が、脱藩しては続々と江戸に集まって極めて不穏な状況に。その不穏な噂を聞いた家茂が井伊に「危険だから大老やめた方が良いんじゃないか」と持ちかけるのだが、ワンコ井伊は忠誠心だけは高く、根拠なしに「自分は大丈夫ですから」と辞める気なし。まあ井伊としてはターゲットリストはほとんど塗りつぶしたから、自分に敵対できるものはもういないと高を括っていたのでは。しかしテロリストなんてどこからでも湧いて出てくるんですが。

 そしてついに桜田門外の変が勃発。井伊は籠に乗ったまま銃撃され、その後に籠から引きずり出されて首をはねられます。ちなみに井伊直弼は実は居合いの達人だったという話なんですが、受けた銃弾が腰のところを貫通しており、恐らくこの時点で身動きとれない状態になっていたと推測されています。まあ要人警護の専門家の観点からは、ここでは騒動が起こりそうになった時に何はともあれ井伊の乗った駕籠を警護して現場から離れる必要があったのに、それが全くされなかったのは警護の完全な手落ちとされています。確かに様々な悪条件があったとしても、あまりに呆気なくやられてるんですよね。それなりの警護の人数がいたにもかかわらず、それも江戸城の目の前で。

 

そしてジョーイの斉昭も去る

 結局はこの事件は幕府の権威を決定的に失墜させることになってしまいます。臣下に勝手に忖度された斉昭は「俺はそんなこと望んでないぞ」と騒ぎますが完全に後の祭りです。まあテロなんてものは往々にして下が勝手に上の考えを忖度して、往々にして過激化していくものです。だから上としては「○○しろ」と言わなくても、「○○なんてことが起こったとしても仕方ない」とかの言い方をしただけで下はその通りにします。まさにトランプが支持者をけしかけた手法で、かつてはナチもこれで突撃隊にユダヤを襲撃させました。この辺りは先週のダークサイドミステリーで登場してます。

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 なおこの番組では斉昭は、水戸藩が幕府に楯突いたことになってしまったと心配してましたが、本音では実際にこのテロを暴挙として反対していたかは微妙なところがあります。

 しかし間もなくこの斉昭も倒れてそれっきりになってしまいます。結局は斉昭は慶喜が将軍になるのを見てません。だけど慶喜が将軍になった時にもし斉昭が生きていたら、かなりうるさかっただろうと思われます。大政奉還なんて実現しなかったかも。

 

にしても、最後の最後まで井伊直弼の描き方がひどすぎ

 それにしても最後まで井伊直弼の描き方が大概だったな。元々それだけの手腕は無かったにもかかわらず、将軍にそのワンコぶりが評価されて大老に任命され、その将軍の無茶な遺言に従うために何の落ち度もなかった慶喜を強引に処分、さらには小者特有の執拗さで叛逆分子になりそうな奴らを片っ端からしょっ引くという恐怖政治を実施と、全く救いようのないダメっぷりを晒してます。だけど実際の井伊直弼と言えば、賛否はあるものの彼なりの筋の通った考えがあり、それに従って身の危険は感じつつも覚悟を決めてあえて強引な手法をとった政治家というところがあるんですが、そんな感じは微塵も出してませんでしたね。実際に井伊直弼を里見浩太朗辺りが演じたドラマにしたら全く印象が変わります。しかしこの作品では、超小者の保身失敗という感じでした。本当にこの描写、彦根市はこれで良いのか? さすがにこの描き方だと「大河にも登場した井伊直弼ゆかりの彦根城」という宣伝もしにくいと思うのだが。

 ところで実は桜田門外の変自体が、血生臭い要人テロ事件にもかかわらず、水戸に行った時にあっちでの扱いが大概なことに私は絶句したこともあります。

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水戸駅で販売されている土産物

 

事件で完全に舞い上がってしまった栄一は順調にテロリストへの道を

 そして桜田門外の変を聞いた栄一周辺は異様な盛り上がり。まあ尊皇攘夷にかぶれた彼らにとっては壮挙という認識なんでしょう。完全に思想がテロリストになってきてます。で、従兄弟の喜作は江戸に行くことになったとのことで、それを聞いた栄一も親父に江戸に行きたいと直訴。果たしてどうなるかというところで次回。

 そして次回は栄一が志士になるとのことで、どうやら栄一テロリスト編に突入の模様。あのお調子者の従兄弟やあのバカ兄貴と共に舞い上がって雑なテロ計画を立てますが、結局はそのテロ計画はあの長七郎の反対で中止になるということは、先週の「英雄たちの選択」でもやってましたね。舞い上がった厨二男の暴走になります。やっと慶喜と出会うのが近くなってきた。今月中には出会うか? ただ栄一は戊辰戦争の最中はバリにいて、結局は本当に歴史に全く絡んでないんですが。

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