コロナの感染爆発で、再度のお籠もり生活を余儀なくされることに
関西では大阪を中心にコロナの感染爆発で、とうとう大阪は1000人越えという事態。今年になってからコンサートは再開されたものの、この状態ではとてもではないが大阪に乗り込んでというわけにもいかない(私はもろに高危険群に属するので、恐らく感染したら終わり)。というわけで既に先月から何枚ものチケットを無駄にしている状態。これはかなりのストレスである。しかもこの先の見えない状態となると、現在発売されているこれから先のチケットの購入も躊躇われる。
こういう時は音楽はネットで楽しむしかない。というわけで1年分の会費を支払ったベルリンフィルデジタルコンサートホールの元を取ることにする。今回聴いたのはペトレンコ指揮によるチャイコとラフマニノフというロシアナンバー。ロシア出身のペトレンコがこれをどう表現するか。
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団演奏会(2021.3.20)
指揮:キリル・ペトレンコ
チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ラフマニノフ 交響曲第2番
まずチャイコの幻想序曲だが、ペトレンコは序盤から抑え目のテンポで結構淡々と描いてくる。この曲はかなり激しさと荒々しさを秘めた曲でもあるのだが、それよりもむしろ美しさを前面に出す。今まであまり気に留めなかったような旋律が時々手前に出て来て、聞き慣れている曲なのに別の曲のように聞こえる時がある。
そして嵐に突入すると、今度は一転してかなり早めのテンポでバンバン煽ってくる。もっともテンポはかなりかっ飛ばすが、荒々しくがなるという演奏ではない。やはりどこかに端正さを秘めている。端正ななりを崩さない上でのメリハリの効いた演奏である。
さて後半のラフマニノフはチャイコに比べるとかなり野卑で泥臭いところのある曲なのであるが、ペトレンコの演奏はそういう印象を一変させる。思わず「あれっ?この曲ってこんなに上品で綺麗な曲だったっけ?」と驚いたのが本音。また泥臭さの最たるものであるような第二楽章でさえもスッキリと洗練してまとめてしまっているのが驚き。
第三楽章となるとまさに美しさが表に出てくる。そして洗練されているとは言い難いフィナーレまでをすっきりとまとめてしまった。
ラフマニノフの交響曲第2番は最近になって何度か耳にしているのだが、とにかく泥臭くて無駄に長いという印象があってあまり良いイメージを持っていなかったのであるが、今回初めて「これはこれで実は結構面白いところがあるじゃないか」と見直さされた次第。ロシア人指揮者がロシア音楽を演奏したら、バリバリと爆演でかっ飛ばすか、ドロドロに泥臭い演奏になるかの二択になりがちなのであるが、ペトレンコの演奏は私の想像外に洗練されたものであった。やはりペトレンコ、ただ者ではない。
公演終了後、ソーシャルディスタンス配置の客席の観客は総立ちで盛り上がっていたが、それもさりなん。やはりペトレンコはなかなかなやる。果たして私がライブで彼の演奏を聴けようになる日はいつになることやら。