徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第11話「横濱焼き討ち計画」

バカ兄貴が立てた雑極まりないテロ計画

 いよいよ舞い上がったバカ兄貴が雑なテロ計画を立案します。高崎城を襲撃して武器を奪い、そのまま鎌倉街道を通って横浜に移動、横浜を焼きはらって異人を襲撃するという極めて雑極まりない計画。

 そもそも高崎城を落とすという時点でそれが可能なのかが疑問。さらにもしうまくいって高崎城を落とせたとしても、すんなりと横浜までたどり着けるのか。とにかく舞い上がったバカ兄貴が突っ走っていますが、実行したら失敗が約束されているような雑極まりない計画。長七郎のことは犬死にだと全力で止めたクセに、自分達は犬死ににはならないという妙な根拠のない自信。

 で、栄一には子供が産まれるのだが、残念ながらこの子供は麻疹の流行でなくなってしまう。この年は麻疹とコレラの流行で多くの人が亡くなったのだとか。またこの時代、生まれてすぐの子供が死ぬなんてのごく普通の時代でしたから。子供が普通に産まれて普通に育つようになったのなんてつい最近で、とにかくまず出産が母子ともに無事に終われば御の字、さらに子供が成長するのは半分程度なんて時代ですから。この時代には兄弟の内の何人かは子供の時に失っているというのは極々普通でしたから。

 

子供が出来たのに何やってるんだこの厨二は

 もう完全に舞い上がっている栄一は江戸で武器と同志を計画のために集める。とは言うが、これも極めて雑。飲み屋で大っぴらに大声で密談やってるんだから、あれは明らかにもう目をつけられているだろう。普通密談ってのはもっと密かにやるものだが、あれだったら「ここにテロリストが集まってますよ」と大声で宣伝しているようなもの。だから密談の類いを酒を飲みながらしてはいけない。ちなみに現代でも、企業機密はセキュリティや何やらでガチガチにロックをかけているが、実は当の機密は近くの飲み屋で当事者の口からダダ漏れって例が少なくありません。

 息子を失った栄一には次は娘がすぐに生まれたようだが、世直しだと舞い上がってしまっている栄一は、それも省みずに親父に「大義のために働きたいから勘当してくれ」と依頼。オカンなんか「この厨二はバカなことを考えてるな」というのは丸分かりだが、結局は何だかんだいいながらも根本的には甘い親父はそれを認めた模様。嫁さんまで栄一と一緒になって親父に頼んでいるのだから、まあ「何と立派な嫁さん」っていうことだろうが、実際には「アホか」というのが本音ですね。無駄死にしようとしている旦那を後押ししてもダメだろ。

 結局はこの雑なテロ計画は、京で世の中の現実を散々眺めてきた長七郎から「そんな雑な計画成功するわけないだろう」とケチョンケチョンにやられて実行前に頓挫することになるようです。最初に無駄死にしようとしていた奴から、今度は計画を止められるというお笑いになってしまうのが次回のようです。

 

ひたすら貧乏くじに振り回されている慶喜

 一方の慶喜は将軍後見職として政治の舞台に返り咲きましたが、本人は完全に貧乏くじを引かされたという意識が強い。回りはジョーイの鬼こと斉昭の息子だけに、これでようやく本格的に攘夷が実行できると喜んでいるのだが、当の慶喜は「日本の実力考えても攘夷なんて本当にやれると思ってるの?」という極めて現実主義的な考え。実際に実力で攘夷実行しようとした薩摩と長州は外国艦隊に報復されてボコボコにされてますから、結果としては両国とも「現状では攘夷は不可能」と嫌でも悟るのですが。まあ長州に唆されて舞い上がっている公家衆がピーチクパーチク盛り上がっていたようですが、慶喜にしたら「そんなに攘夷をしたいのなら、じゃあお前達が戦ってみろ」ってなもんでしょう。

 結局はこの後、慶喜は本人の意向と関係なしにドンドンと貧乏くじを引かされることになっていきます。「こんなのやってられるか」という投げやりな空気が実によく出ておりました。実際に慶喜は、最後の頃になったら本当に面倒臭くて馬鹿らしくなっていたんではって気もします。それにしてもこれが最後の切り札だったわけですから、徳川幕府の一番深刻かつ致命的な問題はやはり人材の枯渇だったような気が。

 

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