徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

オロスコ=エストラーダ指揮のミュンヘンフィルでメンデルスゾーンとモーツァルト

京都市交響楽団の大阪公演も中止に

 緊急事態宣言の延長に伴って関西ではさらにコンサートの中止が相次いでいる。この週末に予定されていた京都市交響楽団の大阪公演も正式に中止がアナウンスされた。払い戻し手続きは6/3からとのことなので、これもまたやっておかないといけない。

www.asahi.co.jp

 さてワクチン接種も今年中には無理だとか、そもそも変異株の出現でワクチンの効果がなくなるだとか様々な情報が錯綜していて、その挙げ句にスーパースプレッダーとなり得るオリンピックだけは強行開催するなどと言っているこの馬鹿げた国では、安心してコンサートに出かけられるのなどいつのことやら。東京辺りでは5000人以下のイベントは再開などと言っているようだが、変異株は空気感染の可能性が高いと言われており、そうなると屋内イベントが本当に安全なのかの疑問はどうしてつきまとうことになる。

 こうなると必然的にまだまだ音楽鑑賞は室内でネット配信なんていう寂しい状況にならざるを得ない。というわけで今日も全世界のオケのHPをグルッとチェック。今日はミュンヘンフィルの配信を聴くことにする。アンドレス・オロスコ=エストラーダが指揮したメンデルスゾーンの初期交響曲とモーツァルトの最後の交響曲の組み合わせである。

 

ミュンヘンフィルライブ(2020.7.4)

指揮:アンドレス・オロスコ=エストラーダ

メンデルスゾーン 交響曲第1番
モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」


 交響曲第1番は早熟の天才にして早逝してしまったメンデルスゾーンが15歳の時に作曲した曲で、謂わばまだ習作と言えるような曲であるのであるが、とてもそうは思えないのが彼の天才たる所以である。

 そもそも古典色が強いと言われるメンデルスゾーンの作品の中でも、初期作品であるこの曲はとりわけ古典色が強い。しかしながらオロスコ=エストラーダの演奏は極めてロマンティックでダイナミックなものである。第一楽章の冒頭から感情爆発的な演奏なので面食らってしまった。またミュンヘンフィルも端正で精緻なアンサンブルをカチッとするというよりは、ガンガンとノリで行くという方が向いているカラーがある。そのために指揮者との相互作用でかなりロマンティックな演奏をしている。しかしこういう演奏で聴くと、今までのイメージとは違って、後のスコットランド交響曲などに通じる個性などが浮上してきたりなどなかなかに興味深い。

 ジュピターも当然のようにかなりメリハリの強い生命感に満ちた演奏になっている。冒頭から非常に色彩的なキラキラした演奏である。活力に溢れて怒濤のように音楽が流れる。第二楽章は喜びに満ちた音楽。楽しげではあるのだが、個人的にはもう少し色気があってもよいかもという気はする。やや慌ただしさがある。第三楽章も同様にややアップ気味のテンポでのサクッとしたもの。そして喜びに満ち、まさに享楽的とも感じられる最終楽章につながる。

 オロスコ=エストラーダについては過去に2回、フランクフルト放送交響楽団を引き連れての来日公演を聴いているのだが、その時には「かなりノリの良い指揮者」という印象を抱いている。そして本公演でもまさにその通りのノリが正面に出た演奏。指揮台の上で踊っているような指揮ぶりは相変わらずである。