徒然草枕

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「アンコール都響」で小泉和裕指揮のベートーヴェン交響曲第4番他

 この週末はコロナに加えて週の半ばから発生した謎の背筋痛のせいでボロボロである。未だに長時間続けて事務椅子に座るのは厳しい状況で、先週は仕事を休むことを余儀なくされた状態。湿布を貼って数日寝込んでようやく社会復帰したが、まだ長時間の作業は困難で、ブログ更新が滞っている状態である(笑)。

 こういう時は椅子にリクライニングを効かせて音楽でも聴くに限るということで、またもネット配信である。先日に聴いた「アンコール都響」の第3回の放送があったのでそれを聴くことにする。例によって関西在住の私にはTOKYOMX2の放送は通常ではテレビ放送が入らないので、エムキャスでの配信を聴くことになる。

mcas.jp

 先日、同番組でインバル指揮のマーラーの大地の歌を聴いたところであるが、今度は小泉和裕指揮でベートーヴェンの交響曲第4番とブラームスの交響曲第3番とのことである。昨年のサントリーホールでの演奏。先日の放送とは違ってかなり近い時期の演奏ということになる。

 ちなみに次回は7/10。ダニエーレ・ルスティオーニ指揮で幻想交響曲とのこと。

 

都響スペシャル(2020.10.25 サントリーホール)

指揮/小泉和裕

ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 op.60
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 op.90

 一曲目はベートーヴェンの地味交響曲でありながら、近年になって急に注目されて演奏機会も増えた曲である。番組の解説でも言っていたが、やはりカルロス・クライバーの超熱演の影響が大きいと思われる(私も実際にそうだった)。

 さて小泉による演奏であるが、クライバーのようなかっとびペースではなく、もっとドッシリと腰を下ろした地に足の付いた演奏である。変に奇をてらわないところは小泉らしくはある。相変わらずの真っ正面からの正攻法である。実に重厚ではあるが決して鈍重ではない。低重心の安定感のある演奏である。さすがに都響は抜群の安定性。

 一貫してドッシリ構えた正統派。もっとも個人的には最終楽章などはもっと躍動感があっても良かった気がする。とにかく安定感はあるのであるが、やや面白味に欠ける部分もあるのが小泉たる所以。

 ブラームスとなるとベートーヴェンよりもさらに重厚になる。ただいささかゴチャゴチャした感がどうしてもある。もう少し旋律を謳わせた方が良いのではという気もするのだが、くそ真面目でそういう茶目っ気にやや欠けた演奏である。感傷に満ちた第3楽章などもっとメロドラマにしても良いような気もするのであるが、どうしてもやや中庸になるところがある。そして最終楽章、怒濤の果てで曲は堂々と美しく終わる。

 いかにも小泉らしい特に難点のない演奏なのであるが、これが私の場合には残念ながら特に魅力も無いになりがちである。さらに都響の安定した演奏も面白味がないというのと紙一重。十分といえば十分なんだろうが、やはり一ひねり欲しいのが私のようなひねくれ者の常である。