徒然草枕

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青天を衝け 第17話「篤大夫、涙の帰京」

禁門の変が発生し、いよいよ攘夷はオワコンに

 関東に出向いて仲間を集めた栄一は意気揚々と一橋家の江戸屋敷に。しかしそこは何やらドタバタと取り込み中。ここで栄一は初めて円四郎が殺害されたことを聞く。恩人の突然の最後にしばし放心の栄一。

ムック本の類いが様々でてるみたいです

 一方の京では長州兵が大挙して攻め寄せてきていたところ。あくまで尊皇攘夷を実行するために天皇を力尽くで奪還しよういう構え。薩摩はこの機に影響力の拡大を目指すべく西郷が「何なら薩摩も協力するけど、禁裏御守衛総督様はどうするつもり?」と慶喜の元に当て付け兼探り入れに。ここで慶喜は断固として天皇を守る宣言。

 こうしていわゆる禁門の変が発生するのだが、実際に慶喜は軍勢を率いて陣頭に立って戦ったらしい。戦い自体は途中で薩摩が参戦して、その火力で長州軍を圧倒してしまうのだが、思いの外の慶喜の毅然とした戦いぶりに西郷は「こりゃ円四郎が言っていたように慶喜は意外と武力もあるぞ」と慶喜侮り難しの感を強めたようである。もしかしたらこれが後の江戸城無血開城の伏線になるかも。

 禁門の変で破れた長州は、今度は4カ国連合艦隊にボコボコにされて砲台を占拠される事態に。長州でも留学経験のある井上馨や伊藤博文なんかは「攘夷なんて出来るわけがない」と分かっていたが、その意見はまだ長州藩では主流ではなかった。しかしこれで長州は攘夷が不可能ということをあからさまに見せつけられ、薩摩に続いて攘夷を断念することになる。これで世間的にも「攘夷はオワコン」というのがハッキリしてしまう。

 

栄一はしばし妻子と密会するが

 一方の江戸の方は円四郎ロスで悲しむ人々。奥方は例の鳥の絵の掛け軸に円四郎の置き手紙を見つける(やっぱり隠してあったか)。そこには仕えるべき主君である慶喜に出会った円四郎の喜びが記されており、これから来る時代への期待を綴っている。そこからは円四郎が自身が殺されることなど微塵も考えていないことが覗える。この辺りが先週の円四郎の「まだ死にたくない」につながって涙を誘うシーンである。

 軍勢を率いて京に引き上げる栄一達は途中で、何とか釈放された馬鹿兄貴の手配で密かに妻子と密会。まだまだ一緒に暮らすのは無理だが、いずれ事態が落ち着いたら必ず一緒に暮らすと約束する栄一だが、実際にはこの後も勝手にパリに飛んでしまったりとか、正直なところ家庭人としては最低な男が彼なのですが、まあそのあたりは健全なる大河ドラマでは触れません(笑)。結局はしばしの密会は、無粋な仲間たちに水を差されることになってしまう。

 妻子を残して再び京に向かう栄一一行だが、その前に現れるのが例の岡部の陰険無能代官。この無能、栄一達に対してよほど恨みでもあるのか、栄一達を引き渡せと要求。しかしこの要求に一橋家の上役が「彼らは一橋家の家臣なので拒否する」と言い放つ。こう言い切られると陰険代官も手も足も出ない。自分達の立場が変わったことを実感し、それが円四郎のおかげだったことを噛みしめる栄一達。円四郎のためにも一橋家に尽くすことをさらに決意したであろう。それにしてもこの無能代官、何かの度にやたらに出てくるが、もう完全にダメになってしまっている幕府の象徴の役割を果たしている。

 

勝手に期待されては厄介ごとに巻き込まれる慶喜の不幸

 京に到着して慶喜と謁見した栄一達に、「円四郎は自分の代わりに殺された」と語る慶喜。確かに慶喜はジョーイの鬼である斉昭の息子であることから、勝手に攘夷派に期待されたのだが、本心では攘夷なんて不可能と分かっていた慶喜はその方向には動かず、結局それは「君側の奸たる平岡円四郎が慶喜の意を勝手に歪めているんだ」になってしまったのは事実。慶喜にしたら、回りが勝手に自分に期待して、勝手に自分の意向を忖度した気になるという迷惑千万な状態。慶喜の苦々しさが滲む。結局、最後の最後まで慶喜は斉昭の息子であると言うのが最大の足枷になってしまったような気がする。死んでからまでも祟るな、竹中直人(笑)。何か回りが総掛かりで慶喜の足を引っ張っているように見えて、流石に可哀想になってくる。

 しかしその慶喜の苦々しさがさらに募る事件が。尊皇攘夷を唱えて決起していた天狗党が、長州も敗北してもう攘夷はオワコンという空気の中、このままだとジリ貧とばかりに京を目指す。慶喜だったら自分達の心が分かってくれるだろうとこれまた勝手な期待を抱いて。慶喜としては彼らを京に入れてしまったら禁裏御守衛総督としての立場がないし、また周囲からも疑いの目で見られること必然。恐らく慶喜は心の中で「何でこうなるんだ!!」と叫んでいたろう。

 結局は栄一達が引き連れてきた軍勢らで天狗党を迎え撃たざるを得ない状況に。これは栄一達にとってもかつての同志(実際に真田範之助なんかもいるのでは?)と戦うという苦しい事態に。それにしても本当に攘夷派って脳筋ばかりだわ。

 

ところでこの番組、顔優先で配役を選んだんだろうか?

 やたらに目をむきまくる博多大吉が意外と西郷の雰囲気が出ているのが印象的。それにしても西郷どんの時にも感じたが、薩摩の連中が「長州が」と言えば、それがイントネーションの加減でどうしても「チャーシューが」に聞こえて中華料理屋の物語になってしまう。西郷は先々週も栄一に薩摩黒豚のセールスをしていたし。

 ところで慶喜の写真見てると確かに草薙剛に似た雰囲気があるんだな。面長で。もしかしてこのドラマ、顔が似ているのを優先で起用してる? 今後気になるとしたら、勝海舟辺りに誰が出てくるかだな。もっとも勝と西郷が江戸城明け渡しの会談やってる頃は栄一はパリに行ってるので、出て来てもちょい役のような気はするが。

この学習漫画なんて明らかに渋沢栄一本人よりも吉沢亮がモデルだな

 

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