徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

東京交響楽団のニコニコライブを試聴する

疲れ切った日曜の午後はネットでライブ

 昨日は大阪まで日帰りで大阪フィルの定期演奏会を4ヶ月ぶりで鑑賞したが、久しぶりの大阪往復は思いの外に体に堪えて、今日は朝からゴロゴロしている状況である。

 昼前まで惰眠した挙げ句にPCを見たところ、突然に飛びこんできたのが東京交響楽団のコンサートがニコニコ生放送されるとの情報。早速視聴することにした。

 例によってメイン画面は視点固定カメラで、サブ画面に視点切り替え映像を音を消した上(両画面の音声タイミングが微妙にずれているので)で出しての鑑賞である。

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いつものパターンである

 

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第80回 Live from MUZA!

指揮:飯守泰次郎
ハープ:吉野直子

ライネッケ:ハープ協奏曲 ホ短調 op.182
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 〈ノーヴァク版(1954年版)〉

 ライネッケは私は初めて聞く名なのだが、ドイツロマン派の正統的な作曲家で、シューマンやメンデルスゾーンの少し後で、ブラームスより若干前の世代に属するようである。そのためか、シューマンなどを思わせるような非常にロマンチックであるが、いささか大仰な曲調である。もっともシューマンよりはもっと保守的な印象である。

 さて吉野のハープであるが、かなり大仰な旋律の繰り広げられる第一楽章はかなりガンガンと行っている印象。静かな第二楽章はもっと聞かせる演奏に転じるが、美しく響きを奏でると言うよりは、かなり粒だった明快な演奏というように感じられる。曲調に溺れきらないクールさを感じる。そしてラストはオーソドックスに美しくまとめたというところである。万事過不足のない演奏であるが、残念なのは曲自体がやや印象に欠ける曲であることか。なおアンコールの曲名は不明だが、これがなかなかに美しい演奏で見事であった。

 後半はブルックナーの交響曲第7番。冒頭から分厚い低弦がなかなか雰囲気を盛り上げるが、その後も重厚にドッシリとした音楽進行がスケールの大きさを感じさせる。第二楽章も同様に分厚くした弦楽陣がなかなかに聞かせる。そして極めて美しい展開を繰り広げる。弦楽の厚みとワーグナーチューバーと持ち替えてのホルンの厚みが非常に魅惑的。そして荒々しさを含んだスケルツォだが、その荒々しさの合間に垣間見える美しさが光る。そして軽快さを含んだフィナーレへと曲は盛り上がりを見せて綺麗に終わる。

 なかなか飯守の指揮が冴え渡っている印象であり、東京交響楽団の演奏も堂々たるものであってスケールの大きなブルックナーであった。

 それにしても飯守泰次郎も御年80才とのことだか、ここに来て巨匠の風格も漂い初めて来た。飯守ここにありを示した今回のブルックナーである。


 なお今回のコンサートについては、ブルックナーの交響曲第7番に関しては明日からタイムシフト放送があるとのこと。一聴の価値ありのなかなかの熱演であるので、生を逃された方はどうぞ。