徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第21話「篤大夫、遠き道へ」

あっさりとパリ行きを承諾する栄一

 さて、前話の最後で慶喜が栄一のことを思い出したようですが、栄一はいきなりパリ行きを命じられたようです。徳川昭武が派遣されることになったが、それに同行する水戸藩士共(攘夷派の総本山だった)が、外国人見たら何するか分からない狂犬みたいな連中だから監視しろとの仰せ。「よく考えて返答しろ」との話に「参ります」と即答する栄一。こりゃ栄一に話を持ってきた原が「おいおい、待て待て、お前元々攘夷だろうが。なぜそんなに簡単に決められる。」と混乱するのは当たり前。栄一は例によって「胸がムラムラする」・・・じゃなかった「胸がグルグルする」とか例によって意味不明のことを言っているが、実際に節操のない奴である(笑)。国内でくすぶっていたから、渡りに船だ僥倖だという世界。ちなみに番組ではわざわざ「僥倖」って文字を出しているが、そんなに示さないといけないぐらい難しい言葉か?(字は馴染みはないけど) まあこれが民放のドラマだったら「これはチャンスだ」とか言いそうだが(笑)。

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 で、パリ行きを決めた栄一は会計係を命じられた模様。また渡航する前に見立て養子を決めるようにと言われる(この「見立て養子」も文字登場)。渡航は危険があるのでもし死んだ時に家が絶えたら困るから後継ぎがいない場合は誰かを養子にしろということらしい。それだけ当時の渡航はヤバいということで、そりゃ原が慌てたはずだ。とりあえずこの時に栄一は成一郞の弟の平九郎を養子にすることを考えたようだが、実は後にこのことが平九郎の運命を決めてしまうことになる。

 

回りで状況は動き始めている

 一方、故郷に帰った成一郞は「もう攘夷はやめて幕臣として幕府を支えることにした」と兄貴に報告。それに対してあっさりと「それでいいんじゃない」と答えてしまう信念も何もない馬鹿兄貴。ついでに成一郞はこいつまで幕臣に誘って「軍師が必要」なんて言っているが、いやいやこんな馬鹿兄貴が軍師したら幕府軍惨敗だろ。何しろあんな雑な攘夷計画立てるようなマヌケだぞ・・・。

 そうこうしている内に、慶喜と比較的良好な関係を保っていた孝明天皇が病をおして無理やりに神事を執り行った挙げ句に体調を悪化させて寝込んでしまう。どうやら天然痘の模様。病床に見舞いに来た睦仁親王(後の明治天皇)を「来るなと申しただろう」と追い払おうとするが、「ワシは既に種痘を受けております」と答える睦仁親王。「種痘か」と苦笑いのようなものを浮かべる孝明天皇。外国嫌いの孝明天皇にとって、西洋の医療である種痘を次期天皇までが受けているという状況はどのように感じられたか。とりあえずこの番組的にはこれが孝明天皇の最後の台詞になってしまう。次期天皇となる睦仁親王の周辺の公家は反幕府の強硬派ばかり、これで慶喜はさらにやりにくいことになってしまう。そして例のド下品な岩倉具視は「よっしゃ、幼帝を立てて王政復古だ!!」と張り切り始める。

 

慶喜や小栗と盛り上がる栄一

 そして栄一はコスプレ慶喜と歓談。なんか慶喜の腹心って栄一しかいない雰囲気になっているが、これは典型的な大河特有の主人公アゲ。先の「麒麟がくる」でも、斎藤道三の腹心はまだガキの明智光秀しかいないようになっていたが、それと同じ。その挙げ句に何やら家康の遺訓の唱和を始める。何となく「流派東方不敗は王者の風よ」と言い出しそうな雰囲気だったが・・・ってすみません、これは「白鷺館アニメ棟」の方のネタですね(笑)。ここの読者さんには何のことやら分からんだろうからやめます。もし何のことか気になる人がいたら「東方不敗」でググってくれたら分かります(笑)。

 そして小栗上野介と面談して、銭に通じた同士で何となく意気投合する二人。ここでこの前の「歴史探偵」にも登場していた600万ドルの借款の話も出ます。栄一は幕府は大丈夫だろうかという懸念を持っているが、小栗も実際に幕府はもう持たないのではないかと感じている一人。幕府がある限りは金は送るが、そうでなくなった場合は分からんという話。いずれ再会することを誓う二人だが、結局はこれも再会はないはず。小栗は幕府がコケた後は田舎に籠もっていたんだが、血に飢えた薩長政権の手によって処刑されたはず。幕閣の時に薩長に対して主戦論を唱えていたことに対する嫌がらせです。こういうことを根に持って必ず陰険な処分をするのが薩長政権の特徴。とにかくあの幕末のドタバタでは、有為の人材が無駄に多く亡くなっており、小栗もその一人です。

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成一郞に後のことを託す嫁思い(嘘つけ!)の栄一

 ずっと成一郞とすれ違いになっていた栄一だが、長七郎の面会に行った牢でしばらくぶりの再会。パリ行きになったことを成一郞に説明して、平九郎の見立て養子の件と嫁のことを頼む嫁を大事にしている栄一・・・ってのは完全に嘘八百ですね。この作品の栄一は家庭を大事にして嫁にべた惚れという家庭人として描写してますが、実際の栄一は愛人は二桁で子供は50人はいるんではないかと言われている外道です。既に嫁のことを放りっぱなしですが、実は嫁はこの後も散々な目に遭います。まあこの辺りはさすがにそんなこと描けないから、主人公アゲのための歴史捏造。この辺りの話は「渋沢栄一 愛人」とググったらいくらでも出て来ますので。

 栄一は成一郞と二人で久しぶりに長七郎に面会して昔のことを語り合いますが、もう長七郎が盛大にフラグを立てまくってます。実際には明治になるまで牢にいたようですが、次に話が出てくる時にはもう死んでいるという雰囲気がプンプン。

 

 というわけで、栄一は慶喜も嫁も放ったらかしてパリに渡ります。これからしばらくは万博での薩摩とのドタバタになるのでしょう。もうその辺りのシナリオも既に「歴史探偵」で紹介済み。本当にNHKの歴史番組を見ていたら、大河の話は見なくても分かるって言われてるんだが、今回ももろにそうだわ。

 ようやく渋沢栄一らしくなってきましたと言うところ。それにしてもここまでが無駄に長かった。本当にドラマとしての構成が悪すぎるわ。ところで未だに徳川家康が出てくるんだが、まさか明治になってまで解説の家康さんが出てくるの? せめて孝明天皇辺りにバトンタッチしたら?

 

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