徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

ノット指揮東京交響楽団のライブをニコニコ生放送のタイムシフトで聴く

ようやく今頃になって聞けました

 7/17にサントリーホールで開催された東京交響楽団のライブがニコニコ生放送で中継されることは知っていたのだが、ちょうどその日は大阪フィルの定期演奏会と日程が衝突していたのでリアルタイムで聞くことが出来なかった。

www.ksagi.work

 そこでタイムシフトで聞こうと思ったのだが、なかなか時間が取れずに今日まで延びることになってしまった。大抵タイムシフトの期限は一週間程度であろうと思うのでギリギリである。

live.nicovideo.jp

 

東京交響楽団第692回 定期演奏会

指揮:ジョナサン・ノット
チェロ:伊藤文嗣
ヴィオラ:青木篤子

R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 op.35
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

 

 ドン・キホーテはゆったり目のテンポで非常に華やかで煌びやかな演奏。オケの音色が輝かしいというか実に冴えているのであるが、それに対して独奏楽器が室内楽器的な音色を聞かせるなどその対象が鮮やかで、実にメリハリの効いた演奏である。また独奏楽器が特に美しくメロディを歌う。正直なところ、「あれ?この曲ってこんなに綺麗な曲だったっけ?」と今回認識を新たにしたところ。また東京交響楽団がここまで艶っぽい音を出すことに驚いた。

 後半のシベリウスの5番も基本的にはその線。ただこのシベリウスは今まで私が馴染んできたシベリウスとはやや異質である。シベリウスと言えば北欧の霧が漂う幽玄な世界が特徴であり、この5番はまさにそういう曲。しかしノットが描くシベリウスはもっと生々しく荒々しい世界である。第1楽章など情念が逆巻くかのような激しさがあり、以降の楽章も同様に軽快でありさざめくような音楽やら、渦巻く波濤が叩きつけるような迫力など変化が激しく、そのままクライマックスに突入してラストはピシャリと締める。正直なところ呆気にとられるうちに最後まで行ってしまった怒濤の演奏である。しかも単に激しいだけの演奏でなく、聞かせるところは非常に美しく聞かせ、所々のソロパートなんかも実に見事であった。緩急自在の非常に集中力の高い演奏。これはノットと東京交響楽団の熱演に見事にしてやられたというところ。

 非常に鮮やかな演奏だったという印象。まさにノットの真価が発揮されていると感じたし、失礼ながら東京交響楽団ってこんなに上手かったっけと驚きもした。