そろそろお籠もりも終わりにしたいところだが・・・
今週になってから私もようやくワクチンの2回目接種を受けられたが、その副反応で週の前半はグッタリであった。中盤以降になってからようやく体調は戻ってきたが、この週末はまだ無理をするのは良くなかろうとということでお籠もりしている。ただ来月ぐらいからは大阪の状況が再悪化しない限りは、ようやく再びコンサートぐらいには行けそうである。
さてこのようなお籠もりの週末にはビデオかネットぐらいしかない。と言うわけで先日は録画で映画を見たのだが、これが呆れるぐらいのとんでも駄作でゲッソリしたところである。
そこで今日は気分を変えて、ここのところ恒例となっているベルリンフィルデジタルコンサートホールの時間差ライブ配信を視聴することにする。
ベルリンフィルデジタルコンサートホール
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー
リムスキー=コルサコフ 《皇帝の花嫁》序曲
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調
ショーソン 交響曲変ロ長調
一曲目はリムスキー=コルサコフらしいいかにも煌びやかな曲。ベルリンフィルがこういう曲を演奏すると結構派手派手になる。その上にソヒエフはかなりネットリしっとりと歌わせる演奏も行う。派手派手のノリノリでいてロマンティックで美しいというなかなかの演奏。
二曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲。あの超有名な第2番と違って、もう少しマイナーな第1番である。チャイコフスキーの交響曲第4番かと思わせるホルンの斉奏から続く音楽は、「サッカリンのハチミツ漬け」と評される第2番ほどではないかもしれないが、やはり結構メロドラマチックである。こういうドラマチックな旋律はネットリしっとり謳わせるのがソヒエフ流。そしてルガンスキーのピアノも基本的に同じ路線のようである。幻想的で甘い第2楽章を経て、続く第3楽章は目まぐるしく始まって、そこからロマンティックな中盤へ、そして怒濤のフィナーレ。ルガンスキーの演奏は一貫して揺るぎない。緩急硬軟自在な印象。
ロマンティックなアンコールピースを経て、20分の休憩の後に後半はショーソンの交響曲。実は私はこの曲を聴くのは初めてである。
重苦しい序奏から始まる第1楽章はすぐに陽性な雰囲気に転じる。美しくも快活さを感じさせる曲調である。第2楽章はややメランコリックな曲調。ソヒエフはこれをドラマチックに盛り上げる。第3楽章も陰から陽に転じるような構成だが、これをソヒエフは実に美しくにまとめあげた。
色彩的な音色でドラマチックな表現というのがソヒエフの持ち味であると私は感じているが、それがベルリンフィルの技倆によって十二分に発揮された内容であった。いずれの曲も私がほぼ知らない曲ばかりという内容にもかかわらず、かなり楽しんで聞くことが出来た上に、まだまだこの世界にはこんな名曲があったのだと感じさせられたのである。