徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第31話「栄一、最後の変身」

栄一は外道な本領発揮、そして見事に転身する成一郞改め喜作

 さて前回の流れで、いきなり妻妾同居なんて外道なことをしてしまう栄一。渋沢栄一の本領発揮ですな。番組では千代が相手を気遣って言い出したことのようにしてますが、実際は無理やり押しきったんでしょう。千代が大きな溜息をつくシーンがありましたが、実際にはこんなもので終わりません。何しろ彼は「無類の女好き」として歴史にも残ってますから、「明治のドンファン?」。ダメだ、これだと最後は女に毒を盛られて殺される。

ムック本が販売されています

 そして成一郞は天下晴れておつとめ終了で娑婆に出て来ました。まあ殊更に何かをしたというわけでなく、多分裏で栄一もいろいろ動いていたでしょうから。やはり同志が目の前で次々と犠牲になっていく様を目の当たりにしてきた成一郞は、いろいろと思うところはあるはずですが、とりあえず気持ちを切り替えて新時代に適応することにしたようです。何だかんだで栄一のコネで大蔵省にまで入ってます。イタリアに留学するとか。まあその方が箔がつくでしょう。ムショ帰りが箔になる世界とは違うので。それにしてもイタリアってのが唐突な印象があったが、イタリアで何を学ぶのかという辺りが少しは気になった。イタリアは手工業的なものが多いから、そういうところだろうか。当時の日本の工業レベルだと、イギリスよりも実はイタリアぐらいのレベルの方が近いはずだから。

 で、成一郞も栄一に倣って、喜作に戻ったようだが。いや、あんたはやっぱり成一郞の方が良いのでは。喜作ではやっぱりどこかの百姓ネームだ。歴史の記録を見ても正式には渋沢成一郞の名の方が残ってるようだし。

 

 

馬鹿兄貴こと尾高惇忠はしっかり経営者になってるし

 一方、成一郞よりも先に時代に対応した馬鹿兄貴こと尾高惇忠は、栄一のコネで富岡製糸場の責任者にしっかりと収まって、キチンと仕事をしております。どうしても異人が絡んだ施設となると良からぬ噂が立つから(当時は異人は人の生肝を食うなんて噂まであったぐらいですから)、自分の娘を動員したようです。富岡製糸場は後の日本の殖産興業の手本となる施設ですので、当時としてはかなりホワイト企業だったようです。もっとも民間の製糸場がバンバンと出てくるようになると、それらは超絶ブラック企業ばっかりで、その結果として「ああ、野麦峠」みたいな滅茶苦茶な女工哀史が起こってしまうのですが。資本主義ってのを何の規制もなく進めるとそうなるという見本で、今でも経団連なんかは労働基準法を廃止させることでそういう世の中にするのを理想にしているようです。で、その路線にもろに乗っているのが「パソナ党」こと維新と。

 それにしてもこの兄貴「攘夷だなんて言っていたが、異人も腹を割って話をしてみたら人間だった」って・・・転向早っ!! まあ大抵は敵対心なんてのは互いを知らないことから起こりますから。実際に対面してみるとこっちも人間、相手も人間です。当然ながら日本人でも外国人でも、良い奴もいるし悪い奴もいるというそれだけのこと。○○人だからまるまる善良と言うことも当然ないし、逆にまるまる悪人なんてこともあるわけがない。まあ当たり前のことにようやく気づきましたか、この馬鹿兄貴。で、この馬鹿兄貴の見事な転向っぷりに、成一郞も影響を受けた模様。

 

 

栄一に退職をフラグを立てまくりつつ、自身の死亡フラグを立てていった西郷

 その頃、栄一は銀行設立のために奔走しているが、はやり三井などの商人は利益にならないと動かない。そこでかなり強権発動したのですが、そのことを三井の番頭にネチネチと「渋沢様も所詮はお役人」と嫌みを言われます。そう言えば自分はお役人のそういう上から来る態度に一番立腹してたんだったと思いだし、一種の自己嫌悪に陥る栄一。新政府のグダグダぶりにも嫌気がさしていたし、いよいよ限界が近づいてます。

 そこに西郷が死亡フラグを立てに現れる。現実には西郷と渋沢がこんなに懇意だったという話は聞いたことがありませんが、まあ大河での主人公アゲとしては普通でしょう。ここで西郷は「自分はもう引き返せないが、お前はまだ引き返せる」という主旨で自身の死亡フラグを立てると共に渋沢の退職フラグも立ててくれます。それにしても博多華丸の西郷、意外なほどにリアリティがあるな。回りの新政府スタッフが妙に表情豊かすぎるところがあるので、その中でこのぶっきらぼうさが、逆に西郷のシラケぶりを現しているようでハマっている。これは起用の妙だな。

 で、西郷に散々フラグを立てられた栄一は、最後の最後に「俺、役人を辞める」宣言です。いよいよ栄一財界人編(別名、栄一女性遍歴編・・・にはしないだろうな、まさか大河ドラマは)が始まることに。それにしても国立銀行がほとんどナレーションだけで設立してしまったな。栄一が全く関与していない明治維新がナレーションだけで終わるのは仕方ないにしても、栄一のかなり大きな業績である銀行設立もこれって、後の話数を考えたら栄一の本来の活躍がバタバタと終わってしまいそう。やっぱり無駄に序盤に尺を食い過ぎたな。

 

 

次話はこちら

www.ksagi.work

前話はこちら

www.ksagi.work