渋滞のせいで帰宅が遅れてドタバタと準備をする羽目に
今日は関西フィルの定期演奏会のために大阪まで行っていたのだが、行きの高速道路の渋滞もひどかったが、帰りの渋滞はさらに輪をかけてひどく、随分手前から道路が全く流れなくなってしまった。やはり宣言解除後の週末と言うことで異様に人出が増えているのではという気がする。
おかげで帰り着いたのは当初の想定よりもかなり遅い時間。慌ててあり合わせで夕食をかき込むとベルリンフィルの時間差ライブに。今まではずっと日曜日だったが、今回はなぜか土曜日である。ペトレンコが久々に登場する。
ベルリンフィルデジタルコンサートホール
指揮:キリル・ペトレンコ
メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調《スコットランド》
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番ホ短調
先日亡くなったベルナルト・ハイティンクに場内全員で敬意を示す黙祷の後に始まったのが今回のコンサート。久しぶりのペトレンコの登場である。
まずはメンデルスゾーンのスコッチであるが、これは大悲劇のメロメロドラマにする指揮者もいるが、ペトレンコのアプローチは徹底的に美しく歌わせてはくるが、決してメロドラマではない。情緒は湛えているが、それはストレートに美しさが正面に出るもので、音楽自体は陽性であり音色も明るい。
全体を通じてゆったりと歌わせ、時にはストンとテンポを落とすなどの仕掛けも駆使してとにかく優美に盛り上げる。テンポには変動はかけるが変なアクセントを入れたりなどの下品なことはしない。溺れず、かといって冷たくはなく終始温かさに満ちた音楽は聴いていて実に心地よい。何となく「これがメンデルスゾーンだよな」という気もしてくる演奏である。
基本的に陽性な演奏というのは次のショスタコーヴィチでも言えること。ショスタコーヴィチの交響曲は不安に押しつぶされそうな重さと羽目を外したヒステリックな乱痴気騒ぎが入れ替わったりする曲調が多く、この曲にもそういう要素はあるのであるが、ペトレンコの演奏は静かでひっそりとした曲調でも決して重くはならず、乱痴気騒ぎも羽目を外しすぎずに節制が効いている印象。ショスタコーヴィチにしては全体的に軽快さを感じさせる演奏である。
とにかく非常にコントロールが効いていると感じさせる演奏である。ベルリンフィルがペトレンコの意を汲んで動いているように感じられ、両者の関係性が反映しているものであると思われる。