徒然草枕

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青天を衝け 第32話「栄一、銀行を作る」

栄一、大蔵省を去る

 不満が鬱積しておりましたが、栄一が大蔵省を去ることを決めたと思えば、栄一の前に上司の井上馨の方が先に大隈にぶち切れて辞表を提出してしまいました。後を託されそうになった栄一も「いえ、私も辞めるつもりなんで」とさっさと辞表を提出。結局は二人揃って政府を去りますが、その後に連名で新聞に新政府のダメっぷりを投稿するというおまけ付き。これには下品な大隈重信が怒り心頭。これが後の展開の伏線になるようです。

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 そこにイタリアから喜作が帰国。さっさと役人を辞めてしまった栄一に対して「お前、毎度毎度転身が早すぎ」と半ば呆れている喜作ですが、彼自身も大蔵省を辞めて生糸を扱う商売を手がけるとのこと。どうも尾高の面々はお蚕様から離れられないようです。

 

 

銀行の経営の方に専心する栄一だが

 栄一が大蔵省を辞めたと聞いたら、早速三井の番頭が栄一を取り込みにかかる。しかし栄一は元より三井に入るつもりなどないのでそれを拒絶。すると手のひら返しをして「それでは敵と言うことで」とすごむ番頭。全く海千山千の商売人は侮れない。だけど栄一しては、現時点では三井に入るつもりはないが、正面から敵対するつもりもないはず。そもそも栄一がこれから手がけていく国立銀行は小野組と三井が出資しているわけだし、ここで三井が手を引いたら経営が成り立たないはず・・・というその辺りはどことなく有耶無耶です。

 とりあえず民間人として銀行の経営に邁進している栄一は、西洋式の簿記を取り入れて銀行システムを近代的なものにしようとしています。ただしソロバンは残したと。「論語と算盤」の一方ですから重要でしょう。欧米人は日本人を未開人として馬鹿にしているところがあるので、ソロバンが日本の知恵ということを知らないようであるが、筆算とソロバンが勝負したら最初から結果は明らか。まあ実際に日本人の指導に当たった外国人の中には日本人の識字率の高さと数学力の高さには舌を巻いた者も少なくないという。江戸時代の実用教育のシステムはかなり有効に機能していたらしい。

 で、親父様が既になくなっているので、やはりそろそろということで、今度は母親が亡くなりました。どうも栄一が明らかにタチの悪い病気を発症し始めていることから、そのこととお千代のことを懸念しながらのご臨終です。しかしこの後も栄一は散々なことをお千代にするのは歴史に残っていますが、そう言ったところはNHKとしては深入りは避けるだろうな。

 

 

満を持して大ボス・岩崎弥太郎が登場

 そして海千山千の商売人の中でも極めつけの政商三菱の頭目・岩崎弥太郎が登場。まるで大ボスめいた登場の仕方ですが、実際に最終的には渋沢栄一の一番の仇敵になります。一方の政府の方は江藤新平が佐賀の乱を起こしたり、西郷も政府から離反して西南戦争前夜という状況に帰国した大久保が大隈と陰険会議中。そこに大隈に取り入った岩崎弥太郎の影が。「岩崎が協力してくれるようだから、小野組と三井はつぶしてしまえば」という方向に話が進んでいる模様。そうなると国立銀行も影響必至なので栄一は大わらわですが、実際にこれで小野組はつぶされるようです。

 いよいよ栄一財界人編に突入で、経営者としての活躍がクローズアップされてきましたが、残り話数もそんなにないのでかなりドタバタとした展開となっています。それにしても敵味方の去就が定まらなくてフワフワした感のある新政府の面々に対して、岩崎弥太郎は結果として渋沢栄一の一番の敵となるので、不動の悪役という印象で登場。そのために目下のところ一番存在感があることになっている。もっとも実際には別に岩崎弥太郎が悪党というわけではなく、渋沢栄一とは経営哲学が違っていたこともあり、結果としてはビジネス的に火花を散らすことになるというだけなんですが。しかし大河的に主人公アゲを徹底したら、岩崎弥太郎を落とさざるを得なくなるんだろう。もっとも落としすぎるといろいろと問題が生じるので、それをどの辺りまでにするのかが政治的なさじ加減という奴である。その辺りは今後見えてくるだろう。それにしてもやはり明治ぐらいのネタは現代と近すぎるせいで、そういう政治的配慮が不可欠になるので大変である(長州閥の新政府をあまりに落としすぎても、その長州閥の末裔である大者政治家が文句を言うのが見えてるし)。

 

 

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