徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

アクリエひめじで原田慶太楼指揮のN響によるガーシュウィンとバーンスタイン

3度目のアクリエひめじ

 昨日、京都から長駆ドライブで戻ってきてまだ疲労が抜けきっていない状況だが、今日は姫路でN響の公演があると言うことなので駆けつける。例によってのアクリエのオープニング公演とのことである。

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アクリエひめじには大勢が押しかけている

 ホールには30分以上前に到着するが、毎度のように姫路市民はやけに行動が早い。既に駐車場はかなり塞がっており、会場内にも大勢が入場済み。なお当日券の販売はなしとの案内が出ていたところを見ると、完売御礼の模様。やはり未だに地方都市ではN響の知名度、人気などはかなりのものか。

 私の席は一階席の中央付近ということでまずまずの席。考えてみるとアクリエには今までに2回来ているが、一階席は初めてである。最初のウィーンフィルの時は三階極貧席だったし、次の「千姫」の時は二階席である。ここでステージを見下ろさずにほぼ正面に見るのは初めての感覚。一階に降りると天井の高さを感じる。この天井の感覚はフェスティバルホールぐらいか。ホールのイメージとしてはフェスティバルホールと兵庫芸文をつきまぜたような感覚である。

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天井のランダムな照明は星空をイメージか

 で、早めに席に着くと原稿執筆活動(笑)。実を言うと金曜の夜からずっと出ていたせいがあって、ブログ用の原稿の執筆が全く間に合っていない。流石に無計画に手を広げすぎたのを感じる。自分で言うのも何だが、文章の執筆に関してはかなりスピードはある方だと思っているが、それでもやはり個人で全くジャンルの異なるブログを3種運営というのは無理があるだろうか。正直、体力及び精神力(含む思考力)に年齢による低下が見られるし、いずれはリストラも必要となるかも・・・なんてことが頭に浮かぶ。

 今回の公演だが原田慶太楼指揮、小曽根真のピアノでバーンスタインやガーシュインということで、ややライト系のメニュー。私としてはもっと重厚長大なものが聞きたいところだが、オープニング記念という一般受けを狙っての「馴染みやすい」メニューと言うところだろうか。もっとも馴染みやすいと言えば、メンコンに運命(もしくは新世界)などの知名度の高い曲を並べるという方法論もあるが。

 なおいわゆるファミリーコンサートではないのに、なぜか未就学児童の姿を見かけるのが奇妙ではある。ちなにみにホールは満員御礼。

 

 

N響姫路公演

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指揮:原田慶太楼
ピアノ:小曽根真

バーンスタイン 「キャンディード」序曲
        「ウェスト・サイド・ストーリー」セレクション
ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー
ロジャース(ベネット編曲) サウンド・オブ・ミュージック
ガーシュウィン(ベネット編曲) 「ポーギーとベス」交響的絵画

 原田は若者らしく大股で颯爽と入場してくる。演奏の方も若さが溢れている。冒頭のキャンディードからノリノリでぶちかますという印象。かなりグイグイと来る演奏で、つかみはOKと言うところか。もっともいささかけたたましい感があり、もう少し情緒とか色気が欲しい。中盤の弦などにもっと艶があればメリハリがついてさらに良くなるのだが、良くも悪くもこの美しいがあっさりしているのがN響の音色。

 続くウェストサイドも同様である。ノリでグイグイ行くのであるが、もう少し艶が欲しいなという印象はやはりつきまとう。バーンスタインやガーシュインとなるとやはり音楽にジャズ的な要素が入り込むのだが、ジャズにはそういう艶は不可欠。そこがいささか薄い。

 ラプソディ・イン・ブルーは流石に小曽根のピアノである。曲調がジャズであるのでこのような自在な演奏が一番ハマる。軽妙で即興性も感じられる(実際は私はこの曲について詳しくないので、本当に即興が混ざっていても分からないが)いかにもジャズピアノな演奏。ただそれに対するバックがどうもガチガチのオケなのでそこにやや感覚のズレはある。

 後半はサウンド・オブ・ミュージックは名曲メドレーという印象の曲なので、ノリと茶目っ気(原田は色気はないが茶目っ気はある)で何とか楽しくまとめるというところ。

 ラストのガーシュウィンは映画音楽のイメージ。スケール大きく、派手にノリノリでいけばとりあえず様になったという印象である。

 今回はNHKポップスオーケストラというところなのだが、残念ながら完全にそうなるには原田のノリがオケにまで完全に伝わる必要があったのが、そこに若干の温度差があったような気がする。原田はノリノリだったが、いささかオケを放って突っ走った感がある。さすがにそれでもN響だけに演奏に破綻は出ないが、N響に良い意味での遊びが少々欠けている印象はあった。

 ちなみに本公演で一番驚いたのは調子に乗った挙げ句にステージから飛び降りて、次にステージに飛び上がった原田の身体能力。ここのステージは若干低めだが、さすがにそのまま飛び上がったのは唖然であった。

 

 

 公演が終わると観客が一斉に駐車場ダッシュを始める。このホールは駐車場のシステムが大馬鹿なせいで、出口が異常に混雑して渋滞するのを皆分かっているようだ。私も実際に「千姫」の時に駐車場から出るのに40分ぐらい待たされるという経験をしている。ウィーンフィルの時は遠距離遠征組及び宿泊組が多かったことから、JR方面に徒歩で向かう観客がかなりいたが、「千姫」と今回は近場の車の客が大半であるので、駐車場の混雑が最初からひどい。

 私は何とか10分程度の待ちで駐車場から出られたが、それでも車の配置の関係で車列の前方に何台も割り込まれて動かないなどもあってストレスが溜まった。それに見ているとやはり出口ゲートで手間取っている者が多い。つまりは事前精算機がたった2台でそこで大行列ができるので、それを見限って出口で精算しようとする者が多いのである。するとそこで手間取るものだから車列が流れずにさらに混雑するという悪循環。すべては最初から設計した奴が馬鹿だったということである。これは早急に改善するべきである。やはりその自治体の行政能力というのはこういう細かいところにも現れるものだ。