定番オケによる定番曲だが・・・
ここのところmedici.tvを久しく放置していたが、年会費を既に納入済みなので、放ったらかしでは勿体ない。そこで久しぶりに覗きに行くと、ビシュコフ指揮チェコフィルによる「わが祖国」がアップされていたのでそれを視聴することにする。
収録は2020年で場所はプラハのルドルフィヌム。チェコでの最初の自由選挙30周年の祝典の演奏会とのことだが、年度的にコロナまっ最中の時のためか、無観客収録のようである。
セミヨン・ビシュコフがスメタナのわが祖国を指揮
セミヨン・ビシュコフ指揮
チェコフィルハーモニー管弦楽団
スメタナ交響詩「わが祖国」
チェコフィルによるいわゆるご当地物。これを曲者ビシュコフがどう演奏するか。
一曲目の「ヴィシェフラド」からいかにもビシュコフらしいかなりドッシリとしたテンポで演奏が始まる。まさに古城を連想させる重心の低い演奏である。
しかしどうもしっくりこない。ドッシリしたテンポが重々しさとか緊張感とかに結びつかない。どことなく弛緩した空気があって締まりが無い。またいつになくチェコフィルのサウンドもばらけて聞こえる。
この違和感は次の「モルダウ」でも続く。相変わらずの遅めのテンポはともかくとして、なぜか川がスムーズに流れずにどこか引っかかったような感がある。さらには時々不規則に流れが跳ね上がっている様子でどうにも落ち着かない。
以降も大体ほぼ同じ感覚である。終盤になるほどにまとまり自体は良くなってきたが、全体的にどことなく弛緩した空気とチグハグ感がつきまとったことは否定できない。一言で言うと「どことなく冴えない演奏」であった。
チェコフィルということこの曲に関してはまずコケることはあり得ないオケに、ビシュコフというこれまたアクは強いが表現力は十二分の指揮者を持ってきていて、また指揮者とオケの関係が悪いというわけではない。それにも関わらずこのしっくりこない演奏は何だったんだろうか? 単に私の耳が悪いというのでなかったとしたら、やはり無観客収録という状況が影響したのだろうか? まあ良く分からない。