徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

下野指揮のPACオケでショスタコのレニングラード

翌朝はホテルでグダグダ

 次に気が付いたのは朝の4時半だった。最近は年のせいか早朝覚醒が増えているのでその一環とも言えるが、単に昨晩就寝たのが早すぎたということだろう。前に2時間ほどズレてしまっている。そのまましばし漫画などを読みながら再び眠気が来るのを待っていたのだが、「アトムザビギニング」の最新刊を読んでいたら読みふけって逆に目が冴える羽目に。結局はグダグダと6時ごろまで起きたままで、さすがにこのまま起きるのはしんどいと考えて目を閉じる。次に気が付いた時には9時前になっていた。

 そろそろ起床することにすると、昨日買い込んでいた朝食用のおにぎりを腹に入れる。さて今日の予定だが、午後3時から兵庫芸文でのPACのコンサートのみである。だから慌てて出ていくこともないのでホテル内でシャワーを浴びたりグダグダと時間をつぶすことにする。このホテルのもう一つの特徴がチェックアウト時刻が午後1時というところで、これは今回のように予定が昼のコンサートしかない時には非常に都合が良い。これが今回このホテルを選んだ大きな理由の一つでもある。

 結局は12時頃まで部屋でグタグダと過ごしてからホテルをチェックアウトする。いわゆるレイトアウトというやつだが、追加料金等は一切不要なのが良いところである。ホテルを10時に追い出されて、それからウダウダと3時間ぐらいをネカフェで過ごしたとしたら1000円ぐらいはかかることを考えると、これは地味に大きい。

 荷物を駐車場に移動すると灼熱する車の中へ。露天の駐車場の難点であるが、これからのシーズンは一番難儀なのがこれである。またこれで地味に体力を削られる。

 

 

本命店に振られたので西宮で適当に昼食を摂ることに

 そのまま西宮まで移動すると、まずは昼食を摂りたい。大体目星をつけていた店はあったのであるが、到着すると駐車場が満車で入れない。こういう時のためにプランBを用意しておくものだが、今回はそういう用意をしていなかったので、やむなく車は兵庫芸文の駐車場に入れてしまって、西宮北口駅周辺で飲食店を探すことにする。西宮ガーデンズ内には大した飲食店はない割に異常に混雑することが分かっているので、徒歩で西宮北口周辺をウロウロとする。

 しばし辺りを彷徨ったが、こちらも異常な混雑は変わらず、目を付けていた店はことごとく行列状態である。大抵しんどくなってきて面倒臭くなって来たところで、目についた居酒屋「どんがめ」に入店することに。お昼メニューの天ぷらそばを注文する。

駅前の居酒屋どんがめ

 店内に入店したところで、この店舗が記憶にあることに気づいた。ただその時は居酒屋でなくて和食の店だったはずである。店がつぶれてテナントが入れ替わったか、業態転換したか。とにかく飲食店は入れ替わりが激しい上に、今はコロナのせいでとにかく廃業も多い。

 そば屋でないので最初からそばには期待していなかったから、まあこんなものと言うところだろうか。コーラをつけてそれで700円なんだから殊更に文句を言うほどのものではない。

ランチメニューの天ぷらそば

 昼食を終えるとホールへ向かう。PACオケは今日が今シーズン最終公演となるらしい。結構入っており、下から見る限りでは8割以上は埋まっている。

 

 

PACオケ第134回定期演奏会 下野竜也 レニングラード

今回は編成が大きい

指揮:下野竜也
ピアノ:石井楓子
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

<オール・ショスタコーヴィチ・プログラム>
 ピアノ協奏曲 第2番
 交響曲 第7番 「レニングラード」
【ソリストアンコール】ショスタコーヴィチ:24のプレリュード Op. 34 より 第10番
【PACアンコール】プーランク(下野竜也編曲):平和のためにお祈り下さい

 ショスタコのピアノ協奏曲については、確かに事前に下野が言っていたとおりに、馴染みやすくて分かりやすい曲である。ユーモラスな第一楽章に、美しいメロディをタップリ歌わせる第二楽章、そして気分を変えて軽妙な第三楽章である。

 石井のピアノは見事の一言。下野がいずれはかなりメジャーなピアニストになることは確実とかなり推していたが、それが単なるリップサービスではない可能性がある。ショスタコについてはかなり軽妙なタッチで軽やかな演奏をしていたと思えば、一転して深いタッチで叙情タップリに奏でることも出来るなど、表現の幅も広い。今回はこの石井のピアノの妙に尽きる。アンコール曲もシットリと抒情タップリで心に染みると感じさせた。

 後半は同じくショスタコのレニングラード。第二次大戦でナチスに包囲されたレニングラードの市民を勇気づけたという伝説の曲でもある。

 正直なところ私はこの曲について詳しくないので、下野の演奏が他に比べてどうこうと言えるレベルではない。ただ感じたのは非常に明快かつ色彩的な演奏であると言うことである。PACオケの音色もキラキラとしており非常に美しい。また14編成という巨大編成にもかかわらず、弦のアンサンブルに乱れがなかったのは感心した。正直「PACオケってこんなに上手だったっけ?」と驚いたのが本音。

 今の世界情勢から見れば、「レニングラード」と言うよりも「キーウ」の方がしっくり来そうであるが、この曲の最後は未来の勝利を暗示しているとの解釈もあるが、確かに激しい戦いと犠牲者への鎮魂を経て、最後は何となく未来に希望を持たせるような展開になっているのは感じられた。

 演奏終了後は万雷の拍手であったが、その中で下野による「平和のためにお祈り下さい」がしめやかにという雰囲気で演奏されたのである。


 これでこの週末の予定は全終了。後は高速を突っ走って家路へとついたのである。正直なところ今回の遠征のコンサートは私には分かりにくい曲がほとんどであったのだが、分かりにくい曲は分かりにくいなりに感じることはあるようである。

 

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