徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

高所恐怖症だったことを忘れて、日本最高の高さを誇る吊り橋に行ってしまった・・・

朝食を堪能してから宝泉寺温泉を後にする

 翌朝は7時に起床、まずは大浴場に行って入浴して体を温める。朝から実に快適である。入浴して動けるようになると、朝食のために一階へ。

龍泉閣の朝食

 朝食はオーソドックスな和食だが、見た目が美しい。こういうところがこのホテルは洒落ている。朝からしっかりと腹に入れるとチェックアウト時刻の10時まで部屋でしばしの作業を行う。

小鉢類が美しい

目玉焼きに

湯豆腐

 さて今日の予定だが・・・皆無。一応一カ所だけ考えている場所がないでもないが、そこで何時間もつぶすのは不可能。ノープランも極まれりである。そもそも九重高原の同じようなところを走り回っているので、行くところが限られるということがある。実際にあいのせ茶屋の前を何度か横切った記憶がある。

 

 

九重"夢"大吊り橋へ

 今日は宿泊先の湯平温泉に移動だが、まっすぐ移動したら1時間とかからないので、どこかに立ち寄る必要がある。で、近辺の観光地を調べまくった結果浮上したのが、「九重"夢"大吊橋」なる観光用吊り橋である。長さ390メートル、高さ173メートルで歩道専用橋としては日本最高の高さだそうな。紅葉シーズンには渓谷の紅葉を見ることが出来るとのことで、純然たる観光目的で建造されたらしい。その建造までには関係者の様々な調整その他の涙ぐましい努力があり(もう少し前ならプロジェクトXネタ)、その結果建造にこぎ着けたことから"夢"大吊橋だそうな。

 とりあえず龍泉閣を10時にチェックアウトすると宝泉寺温泉を後にする。大吊橋は筋湯温泉の北にあり、昨日通った道を引き返すような形。つくづく同じ道を行ったり来たりしている気がする。

九重高原を走り抜ける

 やがて正面に大吊り橋が見えてくる。駐車場も売店もレストランも完備した完全な観光地で、橋を渡るための料金は500円。現地の係の案内によると、1000人以上乗ってもビクともしない頑丈な橋だそうな。イナバ物置の10倍以上頼りになるようだ。

大吊り橋が見えてきた

 

 

あっ、私は高所恐怖症だった・・・

 で、ゲートを潜って橋がそこに見えてきたところで、私は重要なことを忘れていたことに気付いた。「そう言えば私って高所恐怖症じゃないか」。ここに来て本当に渡れるかが不安になってきたのである。ここで思い出したのが、10年以上前のガッテンでの「高所恐怖症克服」の回。そこで高所恐怖症に悩む被験者達を何やら巨大な吊り橋に連れて行ってギャーギャー言っていたが、良く考えてみるとその舞台がここだった気がする。

 もうこうなったら開き直るしかない。まあ死ぬ気になったら(というか、旅費を節約したいという貧乏性が原動力だったんだが)、飛行機にも乗れたのである。吊り橋ぐらい渡ってやろう、今から引き返したら500円が惜しい(結局は私を突き動かす最大の原動力は貧乏性のようである)。

いよいよ橋へ

 と言うわけで必死の覚悟で挑んだのだが、いざ歩き始めると案に反して全く恐くない。と言うのも、吊り橋が一番嫌なのは歩く度に足許が揺れることであるが、イナバ物置の10倍頼りになるこの橋は、強靱なケーブルでガチガチに固めてあるせいか、今日のように10人程度が歩いているという状況では全く揺れない。歩いている感触としてはコンクリートの橋と同じ。こうなると足許を過度に意識しない限りは恐くはない。

 

 

高所恐怖症を忘れて風景を堪能

 橋を歩いて行くと右手に2つの滝が見えてくる。橋の途中で余裕をかまして風景の撮影などに勤しむ。

橋からは2つの滝(震動の滝)が見える

右側が雄滝で

左側が雌滝だそうな

 と言うものの、流石に橋の中央ぐらいに来るとやはり少しは高さを意識して足許がぶるってくるので、こうなると前を見定めてひたすら早足で歩き抜けるのみ。高所恐怖症の原因はとにかく無駄な想像力に富んでいるところ。どうしても橋の中央に来てしまうと、橋が真っ二つに裂けて谷底に転落する自分の姿を想像してしまうのである。こういう時は頭を他に持っていくしかない。

それでも橋の中央付近はやっぱり嫌

 何とかようやく対岸に渡りきる。それにしてもそもそもこの橋は交通の目的で造った橋でないので、向こう岸にもこちら側にも見事に何もない。こちら側もあるのは展望台を備えた売店と、その通りを抜けた奥にある白鳥神社だけ。とりあえず白鳥神社に参拝はしておく。

展望台からの橋の風景

白鳥神社の鳥居

白鳥神社社殿

 これだけ済ませるともう用はない。また対岸に戻るだけである。帰り道はもう慣れたのか足取りは往路よりも軽快。なるほど、確かに成功体験で慣れるということが恐怖症の克服には重要ってのが良く分かる。

 

 

農家レストランで昼食

 まだ昼前だが、とりあえず湯平温泉の方向に向けて走る。どこかで昼食を取る必要がある。途中で「食事処べべんこ」なるレストランを見つけたのでそこに入店する。

食事処べべんこ

 セルフサービスの店で先に食券を買い求めるタイプ。売りは豊後牛のステーキとかのようだが、さすがに高すぎて手が出ないので「豊後牛焼肉丼(1730円)」を注文する。

豊後牛焼肉丼

 かなり待たされてから呼び出されるので料理を取りに行く。牛肉がたっぷり入っていて、下にはキャベツが敷いてあるというソースカツ丼形式。焼肉にはしっかりと味が付いており、肉も結構しっかりとしたもの。味はマズマズ。

豊後牛コロッケ

ホクホクである

 焼肉丼を食べ終わると、ここの名物らしい豊後牛コロッケ(210円)もさらに注文。またかなり待たされて出てきたコロッケは、ホクホクのなかなかに美味いコロッケである。

 

 

急遽由布院に立ち寄る

 これでとりあえず昼食を終えた。しかしまだまだホテルのチェックイン時刻の3時までには2時間ほどある。にも関わらず湯平温泉はすぐそこまで迫ってきた・・・このまま県道537号に乗ってしまうと湯平温泉に直行してしまう。仕方ない、由布院にでも立ち寄るか、湯平方面に向かわずにやまなみハイウェイをそのまま小雨と激しい霧の中を北上する。

 実のところ、由布院には今まで数回行っているので、わざわざ混雑している由布院に立ち寄るつもりはなかった。ただそれでも明日何もすることがないのでもしかしたらということで一応一渡りの計画はないでもない。それを急遽今日結構することになった次第。とは言うものの、さして綿密な計画ではなく、金鱗湖周辺をウロウロしてその辺りで日帰り入浴でもしようかという程度の計画である。

 到着した由布院は案に反してガラガラであった。平日である上に台風も接近してきている折、ここであえて由布院観光に来た者はあまりいないということか。それならそれで都合が良い。金鱗湖近くの「ぬるかわ温泉」で日帰り入浴することにする。

ぬるかわ温泉

 ぬるかわ温泉は入浴料金600円で露天風呂がある。私が行った時には他の客は誰もおらずに貸し切り状態。2000円で貸し切りの家族風呂もあるようだが、その必要はなさそうだ(笑)。とりあえずサッパリと汗を流す。泉質はアルカリ泉らしいがヌメリ感はそうなく、印象の弱い湯ではある。元々由布院温泉の湯自体がそういう泉質ではある。

露天風呂を貸切で

 

 

金鱗湖周辺を散策してから宇治金時ドーピング

 由布院の湯を堪能した後は、金鱗湖の回りを散策する。今までの来訪時は観光客であふれかえっていたのだが、今日は閑散としていて落ち着いた風景。また金鱗湖には温泉の湯が流れ込んでいるので、冬場などなら湖面から湯気が立ち上るのが見られるが、さすがにこの夏の昼間ではそれは見られない。

共同湯の風情ある建物

金鱗湖

静かである

遠くから見ると、巨大なサルが湖岸にたたずんでいるように見えた

 台風接近の影響で今日はカンカン照りではないのだが、それでも歩き回ると体がかっかして疲労してくる。こういう時はやっぱり宇治金時ドーピング。見かけた和菓子店「菓匠 花より」で宇治金時を頂く。

菓匠 花より

 さずに和菓子店だけあって餡子が美味いのであるが、驚いたのはトッピングされているきな粉の美味さ。抹茶風味に香ばしさと深みを添える形になっていて絶品。これは初体験である。これはなかなか上質な宇治金時を体験した。団子なども販売して美味そうだったから心が動いたが、かなり高いのでこれは断念。

絶品の宇治金時

 

 

湯平温泉で宿泊する

 宇治金時ドーピングで復活したところで、土産物を買い求めてから由布院を後にする。由布院を抜けると国道210号線をひたすら南下する。途中で県道537号線に乗り換えると、そこからはひたすら山道。しかもあちこちで大規模な工事中。湯平温泉は2020年の豪雨災害で甚大な被害を受けてまだ復興中とのこと。私が宿泊する予定の高尾荘も、1階が水没する被害を受けた後にようやく営業再開にこぎ着けたという。今回湯平温泉に宿泊するのは復興支援の意味もある。

高尾荘

 高尾荘に到着したのはちょうど3時過ぎぐらいだった。チェックインをすると2階の角部屋に通される。2箇所に窓のある見晴らしの良い部屋(と言っても窓の外は山ばかりだが)である。山奥であるが、経営者が若夫婦ということもあってか、Wi-Fi環境は整備されているので仕事には困らない。

なかなか良い部屋だ

 とりあえずしばし原稿整理などを行ってから、予約しておいた露天風呂に入浴に向かう。ここの風呂は小さな露天風呂とヒノキ風呂があり予約制である。

露天風呂で入浴

 露天風呂は川に面しているが、木の塀で目隠ししてある(でないと対岸から丸見えである)。しかしのぞき窓から川を見ることが出来るようになっている。どことなくハンドメイドっぽさがあり、雰囲気は良いのだが、足許が岩むき出しで起伏が激しいので、歩く時には要注意。若者は良いが、高齢者などには少しキツいかも。で、私はその中間なので足許に気をつけながら歩く。

 泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉とのこと。泉温は42度であって掛け流しである。新鮮なお湯がダバダバと浴槽に注ぎ込まれている。生憎と空模様はドンヨリしているが、屋外の風を浴びながらゆったりとくつろぐ風呂は最高。湯は泉質からネットリベッタリという軽い感触がある。

 

 

湯平温泉街を散策

 入浴でタップリとくつろいで身体をほぐすと、少し温泉街の散策に出る。湯平温泉のメインストリートは石畳の坂道。この道路沿いに旅館がいくつかある。

湯平温泉のメインストリート

石畳の坂道


 

風情はある

 共同湯も橋本の湯、銀の湯などがあるが、橋本の湯は先の水害の影響で閉鎖中、銀の湯も地元民のみで立ち寄り湯は不可。聞くところによると立ち寄り湯を再開するのは再来週ぐらいとか。

橋本の湯は閉鎖中

銀の湯は地元民のみ

 温泉街の裏には急流が流れている。湯平温泉は川筋の温泉街なのである。

建物の裏手は急流

 旅館の部屋に戻ると調べ物及び原稿執筆。特に今回の遠征では昨日、一昨日が疲労でほとんど原稿を書いていないのでかなり溜まってしまっている。それらの執筆にかかる。それとやはり気になるのは台風の進路。とにかく以前には水没しているという場所なので、豪雨には要注意だが、どちらかと言えば雨は台風中心に近いこの辺りよりも、四国や東海などの台風から離れた地域の方が強いようである。なお一番気になるのは明日の帰りのフェリーの運航。風台風ではなくて雨台風のようなので、海が大荒れでフェリーが欠航というようなことはないと思うが、もしそうなったらここから高速を長駆して帰宅するか、急遽別府で一泊する(そうなったら職場復帰が1日遅れるので、職場に連絡をとって上司の許可を貰う必要がある)かを選択する必要に迫られる。

 まあグダグダ考えても意味がないので、明日になったところで出たとこ勝負である。私も殊更に神の天罰を受けることになるような悪事をした記憶もないし。なるようになるしかない。

 

 

美味い夕食を堪能する

 テレビで台風の様子を見ながら原稿を執筆している内に、夕食が出来たとの連絡があるのでレストランに向かう。

夕食は会席料理

豊後牛の焼肉が美味い

 夕食は普通に懐石料理だがなかなか豪華だ。鮭やマグロの刺身は意味不明ではあるが、川魚の塩焼きに豊後牛の焼肉という辺りは定番どころだがいかにも美味い。

ご飯が美味すぎておひつをお代わりしてしまった

 しかし実は一番驚いたのは、地元産のひとめぼれを炊いたというご飯の美味しさ。現地の水で育った現地の米を、現地の良い水で炊いたらこんなに美味いんだろうかと感心する。実のところ、このご飯があったら塩だけでもいけそうである。あっという間におひつで出ていた分のご飯を食べ尽くしてお代わり。久しぶりにかなりご飯をガッツリと食べてしまう。

 非常に美味い夕食を堪能すると部屋で一息ついてから、再び露天風呂に夜の入浴。少し薄暗くなってきた川の風景を眺めながらゆったりとくつろぐ。

 こうしてくつろぐと疲れが出てくる。さっさと布団を敷いてその上にゴロンと横になりながらテレビを見る。何か歴代の偉大な将軍のクイズをやっているが、問題が簡単すぎてほとんどが瞬時に分かってしまう。このクイズ番組も昔はもっとマニアックで難しい問題を出していたはずだが、視聴者のレベルに合わせたのか、それとも問題作成がしんどくなってきたのか、最近は面白さがかなり落ちている。

 そうこうしている内に眠気がこみ上げてくるので、この日は早めに就寝する。

 

 

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