徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

福田美術館名品展を見学してから、大友直人指揮の京都市交響楽団の定期演奏会

朝食をとるとチェックアウト

 翌朝は7時半に起床。ここの部屋の空調は集中タイプで温度設定ができないので、昼に設定したままで就寝したら夜中に寒くなって目が覚めたことも。ベッドの上になぜかこのシーズンには違和感がある毛布を置いてあったので「?」だったんだが、夜中になってその意味を理解した。結局は布団の上から毛布を羽織って再就寝する。まあ私は元々部屋の冷房をかなり効かせて夜中はほぼ死体状態で就寝しているから、毛布さえ羽織れば問題なく眠れたが、これは冷えやすい女性なんかだったら苦情出るだろうな。

 目が覚めるとまずはシャワーで体を温めようとするが、水量がイマイチのためにむしろ寒気を感じたので大浴場に体を温めに行く。

 体が温まったところで朝食のためにレストランへ。ここの朝食は定食形式。ただ問題はレストランを一人で切り盛りしてるようなので、料理が出てくるまでにかなり待たされること。私は今回は特に急いでいないので問題ないが、中にはこれから仕事に出る予定の人もいるようだから、あまりに遅いのは問題。ただ料理の内容自体は悪くはない。

定食形式の朝食

 結局のところこのホテルに一泊しての感想は、特別に良くもないが、ボロカスに言うほど悪くはないというもの。ただ宿泊料に関してはCPは高いとは言えないと思う。これが一泊5~6千円だったら全く文句はないが、実際は7~8千円ぐらい。ルートインなんかと同クラスであることを考えると、それだとややCP的にしんどいかなという印象。一番の魅力は立地であり、それを除くと取り立てての魅力もなかったりするのがツライところである。

 

 

観光客でごった返す嵐山を抜けて福田美術館へ

 9時過ぎ頃にホテルをチェックアウトすると京都に向かう。今日の予定は京都での京都市響のコンサートだが、その前に嵐山の福田美術館に立ち寄るつもり。しかし名神は事故渋滞とのことで京都手前で停止。結局はこれを切り抜けるのに無駄に時間を浪費し、嵐山に到着したのは予定よりもかなり遅れた時刻になる。

 渡月橋周辺の観光駐車場は1日1000円が相場のようだが、それでは美術館だけが目的の私の場合は全く合わないので、渡月橋からやや離れた30分200円(上限1000円)の駐車場に車を置いて移動する。

桂川の風景には心癒されるが・・・

 渡月橋周辺は観光客で賑わっている。食べ歩きのためにマスクをしていない者や、マスクをしていても顎マスクの者など、まるでコロナは過去のもののようにかなり緩み切っているのは明らかで、これは感染爆発間違いなしというのは感じる。混雑の中をなるべくほかの連中と距離を取って歩いて福田美術館へ。

福田美術館

 

 

「開館3周年記念 福美の名品展」福田美術館で10/10まで

 開館3周年を記念して、館を代表する名品に加えて、今まで公開していない近代絵画なども展示するとのこと。

 確かに今までよく展示されていた横山大観、川合玉堂、下村観山、上村松園などの定番処以外の展示も目立つ。

下村観山「海浜乃曙」

横山大観「富士図」

川合玉堂「長閑」

上村松園「長夜」

 今回は高山辰雄、杉山寧、秋野不矩、東山魁夷など、この美術館では目にした記憶のない作家の作品なども展示されており、幻想的な高山辰雄の作品や杉山寧の大作には圧倒される。

高山辰雄「若い人」

東山魁夷「朝光」

秋野不矩「テラコッタ壁画」

杉山寧「慈悲光」

 

 

 さらに二階展示室には先に京都で大規模な回顧展のあった鏑木清方(著作権の絡みか撮影禁止)などの展示もあり、小川芋銭、小野竹喬、村上華岳、入江波光、菊池契月など蒼々たる顔ぶれの作品が並ぶ。

小川芋銭「山姥」

小野竹喬「遅日」

村上華岳「雲中散華」

入江波光「緑陰」

菊池契月「初夏之庭」

 それに加えてパノラマギャラリーでは加山又造の秀品をまとめて鑑賞可。かなり見応えのある内容で堪能したのである。

加山又造「飛翔」

加山又造「月おぼろ」

 福田美術館を後にすると車を回収して京都コンサートホール方面へ。akippaで確保した駐車場に車を入れると、昼食のための店探し。近くに東洋亭があるので立ち寄ったが、大勢の客でごった返していて待ち客が大量にいる状態。とりあえず20組ほど待ちがいる状態。一応は整理券を受け取って様子を見ることに。まだ1時間は待ちがありそうだからその間に以前から気になっていた古田織部美術館を覗くことにする。

 

 

「利久と織部」古田織部美術館で12/11まで

地下にある古田織部美術館

 茶道具店の地下にある美術館である。展示室は1室のみなので展示数はしれており、入場料金500円というのはやや高めに感じないでもない。

地下の坪庭

 展示は表題の通りに利久好みの渋い茶碗と織部好みのへうげた茶碗などを展示している。こうして並べてみると、利久の愛弟子で利休をかなりリスペクトしていたはずの織部の趣味はかなり利久と異なることが良く分かる。本展展示品はあの漫画の影響でその後の織部の作品を多く目にした私からは「説明を受けるまでもなく織部だというのが分かる」というぐらい特徴的なもの。なかなかに面白い。なお茶碗のみならず、最近は茶入れなども面白いと感じ始めた自分に驚いたりもする。

 

 

東洋亭を諦めて進々堂で昼食

 ゆったりと織部を楽しんでから東洋亭に戻るが、まだほとんど待ち客が解消されていない。しばしそのまま様子をみたが、1時間近く経っても半分にも減らない回転の遅さを見て、これでは呼び出されるのは開演の2時半直前になるのがオチと判断して、整理券を返してほかの店を探すことにする。とんかつは昨日食べたし、そばも考えたが気分が洋食になってしまっていたために「進々堂」を覗いてみる。待ち客はいたが2組ほど。今は1時でそろそろ昼食客が入れ替わる頃と考えて待つことにする。予想通り10分と待たずに案内される。ここでハンバーグを注文。

進々堂

 料理が出てくるまで結構待たされるので、その間に取り放題のパンを腹に入れておく。

まずはパンを腹に入れておく

 ようやく料理が出てくる。まあハンバーグは可もなく不可もなく。付け合わせの野菜が意外に美味い。

ハンバーグ到着

 最後はアイスコーヒーを頂いて終了。ちなみにお子様舌の私にはここのコーヒーは苦味が強すぎるのでガムシロップの追加を注文。

ドリンクはアイスコーヒー

 ようやく昼食を終えたところでホールに向かう。この頃から雨がぱらつき始めている。ホール到着時には既に開場後。ホールの入りは6~7割といったところで決して大入りとは言い難い。プレトークで大友が「今日は祇園祭のせいで来訪者が少ないのでは」なんて言っていたが、実際は地味なプログラムというのが一番効いていそうである。

雨のぱらつく京都コンサートホール

 

 

京都市交響楽団第669回定期演奏会

今回は編成が大きめ

指揮:大友 直人

シベリウス:交響曲 第6番 ニ短調 作品104
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲 第2番「ロンドン交響曲」

 シベリウスの交響曲と言えばまずは幽玄さが出てくるものだが、大友が指揮すると美しさと華麗さが表に出てくる。初っ端から京都市響の弦のアンサンブルの美しさが魅了してくる。その後も終始一貫して圧倒的に華麗で美麗であるのは、いかにも大友流というべきであろうか。

 いわゆる北欧らしいシベリウスというのとは若干タイプの異なる演奏という。しかし内容は極めて充実しているものであり、なかなかに聞かせる演奏であった。

 後半のヴォーン・ウィリアムズは私にとっては初めての曲だ。基本的に私はターナーの絵画にしてもエルガーの音楽にしても、どうも英国流のものは好みに合わないことがあって、ヴォーン・ウィリアムズの場合はそれに加えて近代音楽ということもあって、あえて聴こうとしていなかったというところがある。しかし今回聞いた限りでは、そう奇怪な音楽でもなければ分かりにくい音楽でもない。むしろロンドンの町の風景を普通に音楽にしたという印象の分かりやすい音楽である。

 その分かりやすさは、大友の明快な指揮と京都市響のメリハリの効いた演奏によるところも大きいであろう。とにかく私に「ヴォーン・ウィリアムズって、意外と面白いじゃないか」と思わせたのは事実であり、それこそが今回の演奏のすべてだった気がする。

 なかなかの名演だったと言える。昨日の尾高忠明に続いて、今回は大友直人についてもいささか認識を改めることになった。

 

 

今日の宿泊ホテルへ

 コンサートを終えてホールから出てきたときには雨は完全に止んでいた。車を回収すると今日の宿泊ホテルに向かって車を走らせる。今日の宿泊ホテルは守山アートホテル。明日の予定などを考えたうえで、祇園祭の影響で京都近郊のホテルの価格が高騰していることから選んだホテル。

京都市内は祇園祭で大混雑

 京都市中で祇園祭の混雑に引っかかって難儀するということはあったが、概ね問題なくホテルに到着する。ここのホテルは駐車場完備だが、隣の中華料理屋と共有のためか駐車場の利用率がかなり高い。

守山アートホテル

 とりあえずチェックイン。部屋はクレストいばらきと同じくやや照明が暗めなのが気になるところ。なおこのホテルは大浴場はないが、部屋の風呂がトイレとセパレートであるホテル中央オアシス形式。大浴場も温泉などなら意味があるが、そうでないなら大浴場形式にこだわる必要がないと考えて選んだホテルである。私は狭苦しい上に便器を眺めながら水深の浅いバスタブに入浴することになるユニットバスは大嫌いだが、セパレートタイプならわざわざ部屋から出ずに好きな時に入浴できるからむしろ使い勝手が良いというのは、オアシスでつくづく感じている。

部屋の照明はやや暗め

なぜか玄関脇に洗面台

風呂はセパレートタイプ

ベッドは快適

 

 

近くの回転寿司に夕食に出向くが・・・

 部屋に荷物を置いて仕事環境を構築したところで、とりあえず夕食を摂りに一旦出かけることにする。と言っても遠出する気は毛頭なく、立ち寄ったのは近くのはま寿司。しかし行ってみると大混雑である。何やら端末で予約するシステムになっていて10組以上が待っている状態。10分以上待ってみたのだが、一向に順番が回ってくる気配がない。しかしよく見ていると私の前の番号は全員テーブル席希望で私だけがカウンター希望、そして店内を見たところカウンターはガラガラである。「?」と思った私は状況を説明して店員と直接交渉する。店員は「番号順で紹介するようになっているから・・・。」とかぶつくさ言いながら私をカウンター席に案内してくれた。どうやらどこの会社が設計したのかしれないが、システム自体があまりにマヌケに過ぎるようである。またこの予約端末自身も私が操作を戸惑うぐらい使いにくい(しかも突然に「通信中」と出て操作不能になったりする)もので、来る客全員がどう使っていいのか戸惑っていた。そのために混雑整理のための端末が余計に混雑を招いている状況。あれだと店員が自分で捌いた方がむしろ効率はアップするはずである。今どきあんな使えないシステム納入をしたのはどんな会社だろうか? 我が社がIT化を推進する際にはその会社は絶対に外すべきだから、是非とも会社名を教えて欲しいところだ。

 結局ははま寿司で2000円ほど寿司をつまんでホテルに戻る。まあ特に美味くはないが、安いのは確かなので、客が押しかけるのは分からないでもない。もっともその分、コロナ感染対策もかなり怪しい(コロナチェックはほとんどなしで、防御設備も有効性が疑問な形だけのアクリル板だけ)など問題点も多々見えたので、少なくともここの店には今後私は来ないだろう。

 ホテルに戻ると浴槽に湯を張って入浴。ゆったりとくつろぐ。しっかり汗を流して体をほぐすと、原稿執筆作業。しかしこうなると疲れが急激に押し寄せてきて作業が捗らない。昨日分の原稿をまとめてブログ作成してアップしたあたりで力尽きてベッドでダウンする。結局はその後は、寝ているとも起きているともつかない状態で翌朝までグダグダすることに。

 

 

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