徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

西宮で佐渡裕指揮によるPACオケの2022シーズン開幕コンサート

今日は西宮でPACオケのコンサート

 翌朝は外が明るくなりだした7時過ぎに目が覚める。体がズッシリと重くて清々しい目覚めとは言いがたい状況。ただこの全身疲労は恐らくいつまでベッドに横になっていても簡単には癒やされないだろう。年を取ってきて、体に蓄積したダメージは確実にそれだけ体に負担として残ることを痛感する今日この頃である。とにかく無理矢理に体を起こすことにする。

 昨日の帰りに買い込んでいた朝食のおにぎりを腹に放り込むと、とりあえずはテレビのニュースを軽くチェックしてから原稿執筆に取りかかる。気がかりは台風が接近してきていることだが、今日のところは特に問題はないだろう。今日の予定は午後3時からの西宮でのPACのコンサートのみ。だからチェックアウト時刻の13時までホテルで粘るつもり。そもそもこの予定に合わせて、13時まで滞在できるこのホテルを選んだというのが現実だったりする。

 この日は昼頃近くまで原稿執筆に当てると、さっとシャワーで体を流してから着替えてチェックアウトする。台風が近づいてきているとのことだが、そのせいかやけに蒸し暑い。

 

 

 西宮の兵庫県立芸術文化センターに到着すると、地下の駐車場に車を入れてから昼食を摂るために出かける。近くの店を探しても良いが、歩き回るのも面倒臭いので西宮ガーデンズの飲食店街をウロウロ、たまたま待ち客がいなくなっていた「すき焼き・しゃぶしゃぶ すみれ」に入店。ランチメニューという「石焼き牛かつランチ(1600円+税)」を注文する。

すき焼き・しゃぶしゃぶ すみれ

 しばし待った後に料理が到着。牛カツはレアの状態なので、石焼きプレートで好みの加減に火を通して食べてくれとのことらしい。しかし肉がやけに脂っぽいことが気になる。本来はレア牛カツはオージーなどの硬い赤身の肉を柔らかく食べるための知恵であり、しゃぶしゃぶなどの脂身の多めの肉とはタイプが違う。しゃぶしゃぶなどは脂の多めの肉から脂を落としてサッパリとさせてから肉の柔らかさを楽しむ料理だが、その肉をそのまま牛かつにしたら脂の逃げどころがなくて脂っぽくなりすぎる。それは石焼きをしたところで改善されるレベルではない。またトンカツなどなら良い肉の脂の甘さを楽しむということが出来るが、牛の脂は基本的に特に日本人にはしつこすぎるという特性があり、この料理には非常に疑問を感じた。

石焼きビフかつランチ

 とりあえず少々もたれ気味なのでデザートを追加注文したが、これがやけに待たされることに。挙げ句確認したところ「もう少しお待ちください」。ここで「ああ、注文を忘れられていたな」と確信する。その後、すぐに到着(そもそも出来合を盛りつけるだけだから時間がかかるわけがない)。取り立ててどうということはないが、皮肉なことにこちらの420円(+税)という価格の方がメインよりもCP的に妥当感を抱かされてしまう。ここは再訪はないなというのが、正直な感想。

デザートのわらび餅付きバニラアイス

 昼食に予定以上に時間を要したのでホールに急いで移動する。ホール内は佐渡人気かほぼ満席。開演前に佐渡が登場して、相変わらずの名調子ぶりを発揮していた。

観客席はほぼ満席

 

 

兵庫芸術文化センター管弦楽団 2022-23シーズン 第135回定期演奏会

指揮・芸術監督 佐渡 裕
管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

ハイドン:交響曲 第90番
ブルックナー:交響曲 第6番

 一曲目はハイドンの交響曲90番。新メンバーが16人加わってさらに若返ったPACオケは、かなり派手目の明るい音色でガンガンと演奏するというところ。佐渡もその力を特に抑制することはなく、オケが鳴らしたいように鳴らさせているという印象である。その結果として、元気が前面に出たかなり明るいハイドンの演奏となった。

 もっともパワーが前面に出てガンガンとやる分、小編成によるアンサンブルという面は弱いようになる。豪快ではあるがやや精緻さに欠ける演奏という面はある。

 ちなみにこの曲の第4楽章は偽休止がいくつもあり、曲の最後が分かりにくいというハイドン特有のおふざけがあるらしい。それを活かして、佐渡がフィナーレを2回やり直すという悪ふざけ。新シーズン開幕のお祭りムードを盛り上げる辺りはやはりエンターティナー。

 後半はブルックナーの6番だが、これは最初から大編成のメリットを生かしてバリバリと豪快な演奏。音量的にもかなり大きく、さすがに若いオケのPACらしい。とは言うものの、その分ブルックナーに必要な重厚さにはいささか欠ける。派手でノリは良いのであるが、いささか腰の軽い演奏である。

 そのために派手派手にやる第一楽章などは良いんだが、ブルックナーのアダージョになるといささか眠気の出る演奏になってくる。プレスビーチで佐渡は「長い曲なので眠たくなったら寝てもらっても結構」との毎度の調子だったが、冗談抜きでここで落ちる観客が続出。果たしてハッキリと覚醒していた観客は半分いるかどうか(かく言う私も恥ずかしながら、眠気と戦うのに必死だった)。

 まあそれでも後半にバリバリと盛り上げて、ブルックナーとしてどうなのかはともかくとして、一応は祝祭的に盛り上がる演奏とはなったのである。

 満場の拍手に答えてのアンコールは「すみれの花咲く頃」という変化球。曲目が分かった途端に場内に軽く笑い声が上がったのだが、それもさりなん。途中から佐渡がピアニカを引っ張り出してきて自ら演奏するというエンターティナーぶりである。

 まあお祭りとしては成功、演奏自体は例によって佐渡のキャラクターの濃さほどには特別な濃さのないものという相変わらずの感じであった。


 これで今回の遠征は終了。やや重たい体を引きずりながら、我が家まで車を飛ばして帰宅の途についたのである。

 

 

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work