徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

どうする家康 第6話「続・瀬名奪還作戦」

新装半蔵軍団が任務に臨む

 さて、前回は歴史には存在しない(残っていない)瀬名の奪還作戦を描いておりましたが、今回は一応歴史に残っている方の瀬名の奪還作戦です。前回に散々の失敗をした山師・本多正信と服部半蔵は、汚名返上を期して次の作戦を出してきます。上ノ郷城を攻略して、城主の鵜殿長照と息子2人を生け捕りにして人質交換の交渉をしようという計略。鵜殿氏は今川家の親戚衆で今川家への忠誠も篤いので、それでなくても配下の離反が続いている氏真としては見捨てるわけにも行かないだろうとの話。

     
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 なお服部半蔵ボロの軍団は前回の作戦失敗でメンバーがほぼ全滅してしまったので、強制的に代替わりになって女忍者からガキまで加わった寄せ集め感が半端ないですが、実際はこの後の実際の作戦実行の場面になったら、むしろ精鋭になったような印象があって、どうも描き方が「?」だったりします。なおさすがにいかにも急造な半蔵軍団に100%作戦を託すのは心許ないと思ったのか、正信は保険としていかにも忍者忍者した甲賀忍者も雇っていました。結局はこの連中、後で大して活躍した様子もなかったので登場の意味はないのですが、あえてこんな連中を出したのは歴史の辻褄合わせです。と言うのも、上ノ郷城攻略では「甲賀忍者が活躍した」と記録に残っていますが、服部半蔵の配下だったら伊賀忍者になってしまうので。もっと早くから半蔵を活躍させたいというシナリオ上の都合で辻褄合わせをしたということでしょう。この作品、どうも歴史捏造をしたがる傾向はありますが、あからさまに記録に残っている事実まで無視するということはしたくないようです。

 

 

上ノ郷城攻略戦は苦戦

 こうして家康の上ノ郷城攻略は始まるが、昼の部の攻撃はいきなりしゃしゃり出てきた家康のオカン(於大の方)が「攻略は我が夫にお任せを。その代わりに攻略した上ノ郷城を頂戴。」ときたせいで、いかにも頼りなげな久松長家が大将として出陣。そして上ノ郷城攻略が開始される。しかしこの上ノ郷城、どう見ても第1話で登場した大高城と全く同じ城なんだよな・・・ちなみに刈谷城もそうでしたね。まあわざわざ城が変わる度にセットを作り替えるわけにもいかないのは分かるんだが、もうちょっと工夫がないものかと思うが・・・。ちなみにここで久松長家が唐突に登場するのは、史実では実際にこの後にこの城に彼が入ったからだろう。この辺りも辻褄はしっかりと合わせてくる。

 しかし上ノ郷城攻略戦昼の部は大高城・・・じゃなかった、上ノ郷城の堅固な地形に阻まれて大苦戦。その挙げ句に影に隠れて様子を覗っていた久松長家が鵜殿長照直々の攻撃で撃たれそうになって、いかにも弱そうな長家は「今日はこのぐらいにしといたるわ」と撤退という池乃めだか状態。家康は「なにやってんの」とイライラで爪をかむ(これは実際に家康のくせだったのが有名)が義理の父ちゃんだけにあまり強くは言えませんってところ。

 一方、ブチ切れ気味の氏真は「鵜殿を救うぞ、裏切り者の元康の目の前で人質の首を刎ねてやる」と瀬名達を引き連れて出陣してきます。以前には散々家康からの援軍要請を無視した挙げ句にとうとう離反されてしまったので、さすがにここで忠臣・鵜殿長照(回りが家康に寝返る中で孤軍奮闘状態)まで見捨てたら今川家臣団が持たないというところ。今川本隊は吉田城(豊橋市の豊川沿いの堅固な城郭)までやって来る

 

 

夜襲で半蔵軍団が大活躍して人質交換に

 今川本隊まで到着したら上ノ郷城攻略は絶望的な家康は夜襲に賭けることに。ここでようやく新装ボロの軍団が大活躍、敵の見廻り兵を倒して成り代わって潜入すると、回りでは死体に紛れて潜行していた連中が続々と活動開始、「おっ、忍者みたいだ(笑)」と驚くところではあります。そして彼らが火を付けた混乱に乗じてホンダムやチャラい榊原康政らが乱入。包囲された鵜殿長照は自刃してしまうので、それなら代わりに息子たちをと走る半蔵達、しかし捕らえられると考えて海に身を投げる鵜殿兄弟・・・ってダメじゃんと思っていたら、実は捕まえてましたっていう謎の演出。何なんだろうな・・・以前にも「本多忠勝討ち死に!」なんていう無駄な演出があったが。こういう見事にツボを外した演出は意味不明だ。

 で、いよいよ人質奪還交渉だが、命を張る気なんてさらさらない本多正信は逃げて、やる気満々の石川数正が出張ることに。しかしかなりぶち切れている氏真は「2対5の人質交換なんてできるか!首を刎ねてお前の首と一緒に送りつけてやる!」とかなりのヒステリー。うーん、氏真ってまあ戦国大名としての器量はなかったと言われているが、それにしても立派な親父と比べるとあまりにひどい描き方だな。

 

 

関口夫妻が見せ場を作って瀬名は無事に家康の元に

 瀬名危うしというところで立ち上がるのが、前回に散々馬鹿ップリをさらしてしまった母の巴。自分と旦那は処罰を受けるのに残るから瀬名達は返してくれと嘆願。そこで「あなたは私がお守りをしていた子供の頃からそのように感情を抑えきれずに喚き散らすから家臣が付いてこないんだ」とかつて面倒をみてやった恩をチラリと見せながら説得、旦那の方も「前途有望な鵜飼兄弟を救ってやってください、今川を建て直してください」とあくまで今川家への忠臣アピールをしながら「義元様なら交渉に応じたでしょう」という氏真にとって一番痛いコンプレックスを突くという策士ぶり。今までいささか頼りない様子だった瀬名の両親がここで最後の見せ場を作って、氏真はグラッと来てしまって交渉成立という展開。

 それにしても氏真「元康にはどれだけ目をかけていたか」と片思いの未練タラタラだし、「皆がワシを裏切る」と数正の前で今川の現状暴露しちまってるんだが・・・。それに冷静に考えたら、氏真が瀬名を斬ってもなんの得にもならんし、鵜殿を見捨てたとなったら今川家臣団はガタガタになるのが必至だから、ここで交渉に応じないという結論はあり得ないんだが。

 無事に交渉成立で家康の元に戻ってきた瀬名。しかし瀬名は巴から「おなごは大切なものを守るために命を懸けるんです。あなたが命を懸けないければならない時が、いずれ必ず来ます。」との言葉を受けている。母が娘のためを思った感動的な言葉なんだが、これが歴史を知っていたら、後に家康が無情にも息子の信康を切り捨てた時に、瀬名を縛る呪いの言葉になりそうだなという予感がプンプンするところではある。

 にしてもここのところ松潤の出番が全くないのであるが・・・。どうも真面目な話をする時には松潤が邪魔になっている雰囲気が。

 

 

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