この週末はPACのコンサートで西宮に出向くことにした。指揮は久々の準・メルクルである。
土曜の午前中に家を出るが阪神高速は例によってのひどい渋滞、見込み時間からかなり狂うノロノロ運転が続いてストレスが溜まる。今回はコンサートの前に兵庫県立美術館に立ち寄る予定。しかとようやくたどり着いた美術館は駐車場が満車ということでしばし待たされることに。しかし幸いなことにたまたま出庫車が相次ぎ、数分で比較的スムースに入庫することが出来る。
「ゴッホアライブ」兵庫県立美術館で6/4まで
ゴッホの絵をモチーフにして大画面と音楽を使用したインスタレーションというイベント。兵庫県立美術館のギャラリー棟に大スクリーンを設置して、40分程度の映像を流すといった内容である。場内は大入りである。
とは言うものの、この手のイベントが好きな者にはそれなりに面白いかもしれないが、私のように絵画が好きな人間にとっては、大スクリーンにドカンと次々映し出されるゴッホの絵画はそう楽しいものでもない。ゴッホの荒々しいタッチは大写しになるとむしろ粗に見えてしまう。また特に驚くような映像演出があるわけでもなく、そこは結構平凡。
一人でホールの中央でデンとくつろいで音楽と映像に没入できるならまた印象も異なろうが、大勢がホールにザワザワと入場している状態だと落ち着かないし、立ちんぼのせいで足の痛さだけが身に染みる。家族連れだと子供が途中で退屈するのが必至だしと、どうもこのイベントがシックリくるシチュエーションが浮かばないのだが、あえてあげるなら彼女との洒落たデートコースの一環という辺りか。
正直なところ、イベントとしては中途半端で2000円超の入場料を高いと感じずにはいられなかった。その上に後で考えてみると場内は結構密。果たしてこの時期に大丈夫なのかの疑問もある。
美術館を後にすると兵庫県立芸術文化センターまで車を走らせるが、ここも阪神高速が渋滞で流れず、乗ってすぐに降りる羽目に高速ならぬ低速道路で無駄な金を使ってしまった。結局は時間も無駄にして予定よりもかなり遅れてホールに到着。ちょうど私が到着した時には、14時から中ホールでオペラ「森は生きている」(私は以前にびわ湖ホールで見たことがある)を上演とのことで、その客と思われる連中がゾロゾロと車でやって来ている時だった。ちなみに私の方の公演は15時からである。
開演までには後1時間ほどしかない。とりあえず昼食を摂っておく必要がある。さすがにまたケンタは嫌なので、西宮ガーデンズまで足を伸ばす。レストラン街を一回りしたが昼食時間は微妙に外れているはずなのに人気店は待ち客がいる。待っている余裕がないので、たまたま待ち客がいなくなっていた「昔洋食みつけ亭」に入店、「牛フィレビーフカツレツのライスセット(1880円+悪税)」を注文する。
今流行のレアカツというやつのようである。味的にはまあ可もなく不可もなく。典型的な「少し懐かしい感じの洋食」ではある。場所柄CPは少々キツいが、そもそもガーデンズに来た時点でCPは諦めている。
昼食を終えると開演まで30分ほど。ホールへ急ぐことにする。
PACオケ第140回定期演奏会
指揮:準・メルクル
チェロ:カミーユ・トマ
ドヴォルザーク:交響詩「水の精」
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
一曲目は最近比較的演奏機会が増えてきたドヴォルザークの交響詩。オケの音色が華やかな曲である。PACオケはやや管楽器の元気さが過ぎる気もしないではないが、メルクルの指揮のブイブイと来る感じである。ただピアニッシモが絞り切れていない印象があるので、そこをもっと絞り切れたらさらにメリハリの強い演奏になりそうに思われる。
二曲目はフランスの俊英カミーユ・トマをソリストに迎えてのチェロ協奏曲。ドヴォルザークの望郷の念を反映して、スラブ情緒満載の曲であるが、それを彼女はなかなかに謳わせてくる。音色に若干のクセはあるが、なかなかに深いものがある。なお演奏自体は基本的に陽性。過度に感傷的になるような雰囲気ではない。場内の反響もなかなかでアンコールはスコリク(ディモフ編)のメロディとのことだが、私は全く知らない曲。ちなみにスコリクはウクライナの作曲家らしい。実に美しい曲である。
休憩後の後半はR.シュトラウスのツァラトゥストラ。2001年宇宙の旅で有名な冒頭からPACオケはブイブイくるし、メルクルの指揮もかなり溌剌とした印象。こういう非常に色彩的な曲はPACのカラーとマッチするようである。なかなかにメリハリの効いた痛快な演奏である。
以上で本日の予定は終了、帰りも阪神高速は大渋滞で散々な目にあったのである。