徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

中臣城リターンマッチと岡山フィルコンサートは津田裕也のメロメロモーツァルト

週末コンサートの前に中臣城のリターンマッチ

 この週末は岡山フィルのコンサートに出向くことにした。ただその前に少し山城系の寄り道をする予定。午前中に家を出ると姫路バイパスで龍野まで走る。まずは先日の西播磨交響楽団のコンサート時に撤退に追い込まれた中臣城のリターンマッチから始めることにする。

www.ksagi.work

 竜野バイパスの終点のすぐ脇ぐらいを北上すると、正面に小山が見えてくるが、そこの山上にある中臣印達神社が中臣城跡とされている。城の由来が今ひとつ明確ではないのだが、赤松氏絡みの城で、戦国期に英賀城の三木一族の攻撃で落城したとか。

南側から見た中臣城
中臣城は中臣印達神社の場所(もう一箇所候補地がある)

 前回は神社入り口の車止めに阻まれ、自動車を止める場所を見いだせないままスゴスゴ撤退と相成ったが、今回は既に調査がついている。東側の墓地のある山の方に回り込む。墓地のところに駐車場があるが、ここは駐車可能かどうかが怪しいので、さらに先に進んだところにある空き地に車を置く。

神社の入口は車止めで封じられている

墓地の側に回り込んで、この空き地に車を置いた

 ここから歩いて2分ほどで神社に到着する。東側の山は鬱蒼としていて太陽発電パネルが置いてあったりするが、意外に標高が高く。ここからだと神社の境内を見下ろす感じになる。神社のところが城の本体だったとしたら、当然のようにこちらの山上にも何らかの曲輪などがあるのではないかと思われるが、その辺りは定かではない。

太陽光パネルの横の狭い道を進む

道は上がってから下がる構造になっている

 

 

 道は神社に向かって一旦下がる感じになり、そこから一段あがって神社の境内となる。この手前の道はこのまま北参道につながっている模様。なお構造的にこれが一種の横堀である可能性もある。ここが大手道で、南奥に大手門があったとしたら、この大手道に城の本体と東の山上から矢の雨を降り注がせることも可能である。

堀底道? この先は下の段に通じている

北側を進むと北参道口に到着するとか

 神社は拝殿の奥の本殿らしきところを工事中の模様。ここら辺りでも下からそれなりの標高はあるが、あまり堅固という印象でもない。一段下が手水などがある平地。

拝殿のある段へは石段を登る

拝殿、どうやら本殿が工事中

手水などがある下の段が見える

 

 

 西側を見ると山頂が別にある模様。確かに遠くからこの山を眺めた時の高さと、この神社がある部分の高さに差がかなりあると感じたが、それが原因のようだ。

西側に山頂へ登る道が

 ついでだからこの山頂の方にも登っておく。山頂にはたつの市の上水タンクがあるようで、メンテナンス用と思われる道路がついており、軽自動車ならどうにか登れそうな様子である。なお山上まで登ってみたが、上水タンクがあるためにショッカーやオウムのテロを防ぐ目的で施錠されているので内部には入れない(特に入るべき理由もないが)。

山頂には上水タンクが

当然のように施錠されていて立ち入り禁止

 遺構と言えるものが特にないので当時の構造が分からないが、普通に考えると山上がお籠もり用の本丸で、下の本殿があるところが二の丸、一番下の手水などがある部分が三の丸で、ここらが平常時の館なのではというのが妥当な構造か。もしそうだとしたら、この本丸への斜面はよく調べると空堀などの構造があるかもしれない(私の素人目にはさっぱり分からんが)。

あそこが本丸なら、この斜面に何らかの防御設備があるかも

 

 

もう一箇所の中臣城跡

 以上で中臣城の見学を終えて降りてくる。ただ実は中臣城跡と言われているのはここだけでなくもう一カ所あり、Googleマップで中臣城と検索するとそちらの方がヒットする。それはここから少し東に行った住宅地の真ん中。ついでにそこも見学しておく。

中臣城跡で検索すると住宅地の真ん中が指定される

 周囲は路地地獄なので道路事情に詳しい軽ならともかく、よそ者の上にコンパクトカーとはいえ普通車の私では住宅地内部まで車で立ち入るのは立ち往生の危険があるので、そこそこ道が広い手前の浄水場の脇に車を置いて見学に向かう。

浄水場脇のここに車を置いた

住宅地内で水路などもある

 

 

 現地は小さな丘があり、そこに祠と石塔があるという場所。城跡との表記はここに立っている。ただこの丘はせいぜいが見張り台ぐらいと考えるのが妥当。

この丘らしい

城山開発記念とある

石塔が収められている

祠は子安地蔵らしい

確かに見張り台ぐらいにはなる

 さてどう考えるかだが、立地的には私は城としては先程の神社の方が明らかに城郭の構造であるが、こちらも田んぼの真ん中の若干の高地であり、周囲がすべて田んぼと言うことは湿地。防御力皆無の平地ではない。そういう点から、当初のまだ比較的平和な時代はここに館を置いていた可能性がある。そして先程の祠の場所は見張り台。しかし戦乱の時代が訪れてより高い防御が求められるようになった結果、西側に見える山上に移転したのではと推測する。それでなくても何かを恐れているかのように険しい山上に堅固な山城を築きたがる赤松氏としては、せめてあのレベルの山ぐらいないと精神衛生上もよろしくないのではないかと推測する。

東から見た中臣城

 

 

 中臣城の見学は終了。期待ゼロだった割には意外に面白かった。さてこれからだが、正直なところ既に当初の予定との目論見のズレが多々発生していた。まずは出発に手間取ったのとほとんど素通りのつもりの中臣城で意外に時間を食ったせいで、現在時刻が予定よりもかなり遅れていること。さらにはこれが一番かつ致命的な問題なのだが、今日の気温が私の予想よりも遙かに高く、既に頭から汗だくで体力の消耗があり、軽い手のしびれと言った軽度の熱中症の症状と推測されるものが既に生じていること。当初予定ではこの後、岡山への移動の途中でもっと本格的な山城に立ち寄るつもりだったんだが、既にその時間的余裕も何よりも体力的余裕が皆無であると判断するしかない。結局はすべての当初予定を投げ打って、岡山に直行することにする。実は以前の龍野地域山城攻略ですり減った靴がズルズル滑って難儀したことから、今日の遠征に備えてアウトドア用の靴を新調までしていたのだが、ものの見事に空振りである。

 ここからちょっと北にあがったところに山陽道の龍野ICがある。結局はそこから山陽道に乗って岡山に直行することにする。

 岡山の出口で高速を降りた時には既に昼前になっていた。開演は14時からなのであまり時間的余裕はない。予定ではホール入場の前に県立美術館に立ち寄ろうと考えている。県立美術館では本日まで、以前に中之島香雪美術館で開催していた北斎と広重展が開催中である。大阪展では前期しか見学していなかったので、ここで見学しようと考えていた次第。

 しかしその予定もまたすっ飛ぶ。現地手前で人通りが今までになく多いのが気になったのだが、美術館駐車場は見事に満車。それどころか周辺の駐車場も軒並み満車である。時間の余裕もないし、この時点で美術館に立ち寄ることは断念する。

 結局はホールの南側まで移動して、そちらで空き駐車場を探して車を置く。この時点で正午をとっくに回っている。まずは昼食を摂ることにする。

 

 

岡山の商店街で昼食

 岡山の商店街をウロウロ。結局は裏通りにあった天ぷら店「天麩羅ふたば」を発見してそこで昼食を摂ることにする。

商店街裏手の天麩羅ふたば

 注文したのは昼のランチの「天ぷら定食(1600円)」。まずは天ぷら4点と小鉢にご飯が出て、後で揚げたての天ぷらがさらに3点追加されるというシステム。なかなかにこだわりらしいものが感じられる。

最初に小鉢と天麩羅4点

後で揚げたて天麩羅3点が追加

 天ぷらはサクッと揚がっていて実に美味。さらにこれは想定外だが、恐らく辛子を使用していると思われる菜っ葉の小鉢が爽やかで実に美味。料理に工夫が見られる。ランチとしてはやや高めであるが、クオリティは満足できるものである。

 

 

 昼食を終えると13時前。まだ開場時刻まで余裕があるので喫茶店にでも立ち寄りたい。商店街で「Tulipes」という喫茶店を見つけたので入店。「小倉とフルーツのホットケーキ」にブレンドコーヒーを付ける。

商店街の喫茶「Tulipes」

 ここまで何も考えずに注文したところで、出てきたホットケーキを見てハッとする。非常に美味そうであるが、それだけにこれは今の私の体にとっては猛毒なのではなかろうか・・・。暑さで頭がボケているのか、何も考えずに普通の調子で注文してしまった。仕方ないので頂くことにする。ああ、涙が出るほど美味い。まさに背徳の美味である・・・。

美味すぎる猛毒

 

 

 喫茶で一服を終えたところで13時を回っているのでホールに向かう。商店街をプラプラしていると謎のペンギンキャラクターに出くわす。「更正ペンギンのホゴちゃん」とのこと。保護観察のホゴちゃん? 後で調べてみたら法務省のマスコットらしい。更正したヤンキーを世間で温かく見守りましょうというアピールか。まあ本当に心底反省して更正しているのならそれに異論はないが・・・。

更正ペンギンのホゴちゃん

www.moj.go.jp


 今回の岡山フィルの公演はキンボー・イシイの指揮で、ピアニストが津田裕也。正直なところこの二人には特別な興味がないのだが、私が興味を持ったのはプログラムの方。モーツァルトの短調協奏曲は私の好きな曲である(クラシックを聴き始めた頃にはゼルキンがソロでアバドがバックのCDをしょっちゅう聴いていた)。さらにメインが小編成の岡山フィルには珍しいマーラーの5番と言うことで興味が湧いた次第。

本日のプログラム

これは名盤である
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 私の席は3階の安席である。例によってバリアフリーを否定するチャレンジングな構造を撮る岡山シンフォニーホールは3階席まで延々と階段を上る必要がある。いささか疲れるが、それでもせめてもの先程のカロリー大幅オーバーを少しでも(ほぼ気持ちだけだが)埋め合わせれば良し。

3階席はやっぱり高すぎて怖い

 

 

岡山フィルハーモニック管弦楽団 第81回定期演奏会

一曲目は岡山フィル本来の10型

指揮/キンボー・イシイ
ピアノ/津田裕也

モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番
マーラー/交響曲第5番

 モーツァルトのピアノ協奏曲は岡山フィルの通常編成の10型の二管編成で演奏される。キンボー・イシイのアプローチは典型的なモダンアプローチだが、ややアップ目のテンポでかなり振幅を付ける超ロマンティックな調子でいきなり曲を開始するので、これからどんな演奏になるかがこの時点で予測が付く。

 しかし津田のピアノソロが加わると、その予想の遥かに上を行く音楽となった。津田のピアノは溜だの揺らしなどを多用する極めて甘美な演奏。大甘のメロメロドラマである。ファンの女性などを失神させかねないイケメンピアノ演奏というやつだろうか。バックのイシイ率いるオケとの絡みもあって、古典派のモーツァルトではなく、短調協奏曲が大悲劇ドラマのように聞こえてくる。特に弱音での独得の間を置いての囁くような演奏は、ファンならグッとくるのかもしれないが、逆に古手のクラファンからは「下品」という声も出かねないところがある。

 オケと合わせてもこの調子だから、カデンツァとなればさらに甘美極まりないささやき演奏となる。この曲でここまで揺らしや溜を使いまくった演奏は初めて聞いたという印象である。

 万雷の拍手に答えてのアンコールはメンデルスゾーンの無言歌からベニスの舟歌であるが、もうこれがメンデルスゾーンというよりもショパン辺りに聞こえてくる。予想通りではあるが、オケの制約がない分、甘美さが先ほどよりも120%増量という雰囲気。まあこれはこれでありかもしれないが、流石に私などにはいささか胃もたれがして来た感がある。

 

 

 休憩後の後半はオケを14型の四管編成に大増量してのマーラーである。岡山フィルでこの編成を取ろうとすると、トラを増し増しになると思うが、プログラムを見ると新入団メンバーがヴァイオリンだけで4名も記載してあったので、岡山フィル自体も編成を拡大したのかもしれない。

後半は14型拡大編成

 さてイシイの演奏だが、ややアップ気味だったモーツァルトと対照的に、マーラーはやや抑え目のテンポでコッテリしっとりとかなり濃厚に歌わせる超ロマンティック表現である。もっともテンポ変動を曲内でかなり激しく付けるので、大編成のオケが完全には追従しきれずにアンサンブル的にかなりギリギリのところも散見された。この辺りには今回の大編成にやや急造感がなきにしもあらず。もっとも管楽陣などはかなりがんばっている印象である。

 イシイの演奏は一貫してスローテンポ気味のかなりコッテリとした濃厚な演奏である。ところどころ急にテンポを上げたりするメリハリの強い演奏であるが、どちらかと言えば強音よりも弱音の方にこだわりが見えるのは先ほどのモーツァルトと同じ。

 有名なベニスに死すなどは甘美極まりない演奏となったのであるが、美しくはあるのだがゆったりしすぎてやや弛緩した感もなきにしもあらず。贅沢を言えば単なる甘美さではなく、その中に張りつめた切ない緊張感のようなものも欲しかったところ。実際に会場内を見渡すと、この辺りで完全にゴンドラを漕いでいた観客も少なくはなかった。

 総じてややテンポは抑え目で、ラストのクライマックスだけは通常以上に煽りまくって盛り上げて終了というところ。ロマンティックで外連味の強い演奏であるので、これは評価も分かれるところがありそう。私の印象としては、イシイの表現意図が完全100%反映し切れていたわけではないように感じられるところがあった。なお場内はかなりの盛り上がりではあった。


 これで今回の遠征は終了。とにかく異常に暑く、それで体力を削られまくって事前の予定がことごとく完全崩壊してしまった。今回は本格的な夏に向けての私の体力作りも頭にあったのだが、それ以前の段階でしくじった次第。こりゃ今年の夏も大変だ。