万博記念の特別演奏会へ
最近はテレビをつけたらろくでもない維新のカジノ万博の宣伝ばかりで嫌になる。元よりこんな馬鹿げたイベントに参加する気など毛頭ないが、万博にかこつけてのイベントが様々あるようである。今回向かったこのコンサートもその一環。万博記念と銘打って大フィルがエッシェンバッハを迎えて第九を演奏するとのこと。指揮者が変わると演奏がガラッと変わる大フィルが、果たしてどんな演奏をするかに興味があるので出向くことにする。
木曜日の仕事を早めに終えるとJRで大阪に向かう。途中で列車が遅れたりしたが、一応当初の予定通りの時刻に大阪に到着。遅れも見越してやや早めに到着するスケジュールにしているので、まだ時間に余裕がある。夕食を摂ることにしたいが立ち寄ったのは福島駅の向かいにある「鮨・肉・酒 うおしん酒場」。以前に何度か通った「ぶっちぎり寿司うおしん」がどうやら場所を移ってランチを捨てた夜だけの寿司居酒屋として復活した模様。店の性質上、短時間で夕食をかき込むというのには向かないように思うが、今日は時間に余裕があることから立ち寄ることにする。

一応酒場なのでドリンクをワンオーダー(私はウーロン茶を頼んだ)。後は「おまかせ8缶盛」と石垣貝、鉄火を注文する。注文はスマホを利用する今時の省力化仕様。なおこの手のアルコールが入る店にありがちの「注文した、してない」のトラブルを防止する意味もあると推測する。


しばらくの後に寿司が出てくるが、どうやらデフォルトではわさびが無いようなので、別途注文する。この辺りはインバウンド仕様だろうか? 寿司は美味い。ネタも良い。ただトータルで支払い2574円というのはやはり居酒屋飯はCPが悪い。
ランチがない上にコンサート前に夕食をかき込むという用途には適さないことから、なかなか今後この店を使う局面が想像できない。あるとしたら、週末泊まりがけ遠征の金曜日にザ・シンフォニーホールでの公演があった時に、公演終了後にどうしても寿司が食いたくなった時ぐらいだろうか(ここは23時まで営業しているらしい)。
夕食を終えるとホールへ。ホールは既に開場後。ただあまり人影は多くないように思われる。

入場すると喫茶で一服。アイスコーヒーとサンドイッチを注文して原稿執筆。例によっての「堕落した一時」を送る(ホールの喫茶を使うだけでもあれなのに、サンドイッチまで注文するとは堕落の極みである)。喫茶店の混雑具合を見ると、やはり今日の公演は観客が少なそう。土曜日に同一内容の公演があることもあるので、平日の今回は観客が少ないのではと推測できる。私も本来なら土曜公演のチケットを取るところだが、土曜には先約が入っていたことから今日の公演にした次第。もっとも土曜日がどの程度の入りかも気にはなる。なんせエッシェンバッハはどうも地味な印象がつきまとうし。そう言えば私は以前にエッシェンバッハ指揮のウィーンフィルの公演(これが私のウィーンフィル初体験)に行ったことがあるが、小編成のオケに地味な演奏であまり面白くなかったことを思い出した。

しばらく喫茶で時間をつぶすと座席の方に向かう。私は今回はまずまずの座席を確保している。さっきまではガラガラではと懸念していたのだが、どうやら開演時間が近づいてから訪れる客が多いのか(確かに平日の夜公演はその傾向はある)、最終的には8~9割ぐらいの入り(ただし私の座席からは二階正面席の様子が全く見えないので、そこの入りは不明)。
2025年大阪・関西万博開催記念 特別演奏会 大阪フィル×エッシェンバッハ<第九>

[指揮]クリストフ・エッシェンバッハ
[フルート]スタティス・カラパノス
[独唱]アレクサンドラ・ザモイスカ(ソプラノ)、アニタ・ラシュヴェリシュヴィリ(アルト)、工藤和真(テノール)、ヤン・マルティニーク(バス)
[合唱]新国立劇場合唱団
[管弦楽]大阪フィルハーモニー交響楽団
バーンスタイン:ハリル(独奏フルート、弦楽オーケストラ、打楽器のためのノクターン)
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 op.125「合唱付」
一曲目は指揮者としての知名度の方が高いバーンスタインの小曲。私はバーンスタインの曲はウェストサイドとキャンディードぐらいは知っているが、これは初めての曲。弦楽陣をバックにフルートのソロが煌びやかな演奏をし、それの影のような形でフルートとピッコロが一人ずつ加わった曲。打楽器の多彩な音色が結構目立つ。
いわゆる現代音楽的な奇々怪々な曲ではないので、単純にカラパノスの華麗なフルートの音色を楽しめるといういう印象。カラパノスはその音色に若干のクセはあるが、なかなかに深い音色を出す。大フィルも堅実な演奏でナイスアシストである。満場の歓呼に応えてカラパノスはアンコールでドビュッシーを演奏したが、それもなかなかである。
さて後半は第九。エッシェンバッハの指揮は良くも悪くもドイツのマイスターである。若干早めのテンポでサクサクと感情に溺れない演奏。無機質な演奏というわけではないのだが、正直なところ私のような下品な人間としてはもう少し煽ったり外連味があっても良いのではなどと感じてしまうところがある。堅実を絵に描いたような演奏である。
大フィルの演奏も極めて手堅いカッチリとしたものである。ただエッシェンバッハのようにドイツ正統派のガチガチの演奏で来られると、やはり重厚さの点でドイツ名門オケには及ばないということを感じさせられる部分がある。
演奏面で印象に残ったのは、オケよりもむしろ新国立劇場合唱団の上手さか。読響の第九が新国立劇場合唱団なので、その上手さは十分に知っているつもりであったが、今回のような正統派ガチガチの演奏になると、改めてその上手さを感じさせられることとなった。やはり半素人の第九合唱団とは表現力に大きな違いがあることを痛感せずにはいられなかった。おかげで最終楽章はかなりの盛り上がりとなったのである。
なかなかの演奏ではあったが、やはり私のような下品な人間には正統派の王道のようなエッシェンバッハの演奏はやや面白みに欠けて聞こえるかというのも本音。