早朝からまさかの害虫トラブル
その夜は実はゆっくりと寝られなかった。夜中に手足に違和感があるので調べてみたら手や首筋、足などの全身に虫刺されの跡がある。「やられた」と思って調べたら布団の表面を這う数ミリの虫が。つぶしたらかなりの血を吸っている。完全に確認が取れたわけではないが(マジマジ観察する暇もなく直ちに叩きつぶしたので)トコジラミであると推測出来る。部屋は一応調べたはずだったのだが、どうも寝具に付着していた可能性が高い。さらに調べたと0ころこの一匹以外は発見できなかったが、安心して熟睡とも行かず、結局はこの時が夜中の4時頃でその後は部屋の電気をつけた状態(トコジラミは夜行性なので、部屋を明るくすると行動が抑制できる)で布団の上にゴロンと横になって過ごす。

この状態なので6時ごろには起床してシャワーを浴びがてら体のチェック。両腕、両足に首筋など露出部分が噛まれている。これはトコジラミの典型的な吸血パターンであり、いよいよ可能性が濃厚。インバウンドの多いこの地域ではトコジラミの被害がよく言われており、私も一応、部屋の隅などをチェックする警戒はしていた。なおこのホテルの和室は最近になって畳からフローリングに改装されており、トコジラミ対策も理由の一つだとは考えていたのだが不覚を取った。
なおトコジラミについては部屋の清潔さには関係なく、外から持ち込まれたかどうかで決まるので、高級ホテルなどでも発生する例が多いという(特にインバウンドが盛んな昨今ではそうだろう)。ザクっと調べたら、某アンケートによればトコジラミを見かけた観光客は7人に1人とのことで、思ったよりも随分多い。新今宮界隈の安ホテルは特に可能性が高いということは耳にしていたが、この地域で今まで100泊以上しながら遭遇が0だった(ここホテルサンプラザ2ANNEXは特に宿泊数が多い)せいで、いささか油断していたところがあったのは事実。
なおトコジラミに刺されると我慢出来ないほどの強いかゆみに襲われるという報告があるが、私の場合はかゆみはそれほどではない。これは原因として 1.今まで散々トコジラミに噛まれていて反応が鈍っている 2.トコジラミに噛まれるのが初めてなので抗体反応がまだ出ていない 3.老化や病気などで免疫反応がかなり鈍っている の3つが考えられるが、私の場合は1はないので多分2。この場合、2回目に噛まれるとアナフィラキシーショックなどの激しい症状が出ることがあるので要注意とのこと。なお3はまだないが、私は花粉症の関係でかゆみを抑える薬(エバスチン)を常用しているのでその影響もあり得る。
とりあえず7時になったところで朝食のために出かけるが、その時に朝から開いている薬局に立ち寄ってステロイド入りの虫刺され薬を買っておく。とりあえずはこれで応急治療して、それで改善が見られないとかとんでもないかゆみが襲ってくるとかいう状態になれば皮膚科を受診するべしとのこと。
朝食を摂ってからとりあえずは出かけることにするが・・・
朝食は「ラ・ミア・カーサ」でモーニングを頂く。玉子サンドが意外にボリューミー。


部屋に戻ると体に薬を塗っておくが、両腕に首筋、さらに両足と思っていた以上に広範囲に噛まれている。今のところはかゆみはまだ強くないが、もしかゆみが強まったら大変なことになりそう。なおこの広範囲の噛まれっぷりを見ると、果たしてあの一匹だけだったかは疑問。とりあえずホテルの方には事実を伝えて警戒しておくように言っておく。
この状況なのであまり部屋で長居する気も起こらず、ホテルは9時前にチェックアウトする。とりあえずトコジラミを家に持ち帰るという最悪の事態は避ける必要があるので、一応荷物のチェックはしておく。この点、ダニと違ってはっきりと目に見える大きさがあるというのは助かる点である。もっとも卵などを生みつけられていたら最悪である。
今日の予定だがまずは大阪市立美術館で開催される国宝展を見学するつもり。とりあえずキャリーは天王寺駅構内のコインロッカーに預ける。開館が9時半なので、その少し前に到着するようにしていたら・・・既に現地には数百人の行列が。結局はここでしばし待たされることになり、その間にも行列は100人単位で伸びていく感覚である。開館時刻を過ぎて10分以上経ってからようやく入館できる。

「日本国宝展」大阪市立美術館で6/15まで
日本文化を代表する国宝の品々が集結する。展示は縄文土器から始まり、近代に至るまでとかなり幅広い。
第一会場冒頭の有名国宝目白押しのコーナーで、岩佐又兵衛による洛中洛外図屏風などの大作、さらには本阿弥光悦の舟橋蒔絵硯箱、野々村仁清の色絵雉香炉などの銘品、さらには伊藤若冲の動植綵絵から群鶏図など見応え十分の作品が並ぶ。このコーナーには多くの観客が滞留していたが、ここのコーナーの作品は私としては既に何度も目にしているものも多く、比較的あっさりとスルーすることにした。するとここに客が滞留している分、その先の展示は比較的スムースだった。
なお私が印象に残ったのは長谷川久藏(等伯の息子)による桜図。等伯とはまた違った精神性を感じさせる作品で、つくづくその早逝が惜しまれる(なお狩野派によって暗殺されたという説もある)。
次のコーナーからテーマ別の展示となっていく。まず古代編があり、ここは何と言っても縄文火焔土器が圧巻。岡本太郎よろしく「爆発」している作品である。縄文のこの力強い造形は心惹かれる。なお別会場に有名な金印があったが、これは本物もレプリカも今まで何度も見ているのでさして驚かない。どちらかと言えば縄文ヴィーナスを見たかったのだが、これは後期展示らしい。
仏画や仏像の類いの展示もあるが、この辺りのありがたすぎるものは私の守備範囲外。そもそも私が彫刻として好むのは鎌倉期の仏像であるので、今回展示の中心の奈良期、平安期は対象外である。仏画はイマイチ不明瞭なものが多くてピンとこないし、ましてや経文となったら興味が湧かない。同様に次の書もほぼスルー。

中国の絵画と日本の文人画を比較しているコーナーもあるが、正直なところこの手の定型性の強い絵画はあまり興味をかき立てられない。サムライアートとして鎧や刀の展示もあり、これは感心するがまあ私の守備範囲外である。
最後の方のコーナーは大阪ゆかりの国宝と言うことで、大阪の寺院などに伝わる逸品の展示となるが、正直なところこういうありがたさが漂う展示は私の興味外であるところである。
実のところ、国宝という括りはあまりに大きすぎて、内容的には私の興味をかき立てる展示品は少なかったというのが本音。やはり私の嗜好的に一番興味をかき立てられるのは冒頭の美術品コーナーなんだが、超有名作品ばかりなだけに見たことがあるものがほとんどで、その上に観客がごった返している状態であまりじっくり見ること気にならなかったら、そのまま全体的にスルーに近い見方になってしまった。と言うわけで個人的には意外に見所がなかったという印象。
これでとりあえず大阪での予定は終了。この後は奈良に移動して国立博物館の国宝展を見学するつもり。天王寺から大和路快速で奈良まで移動する。この頃になると昨晩は4時前に目が覚めてその後まともに寝ていないという疲労がかなり出てきてウツラウツラ。気がついた時には奈良に到着している。
まずは昼食を摂る必要がある。奈良と言えばやはりあそこか。「天極堂」に入店して葛うどんとくず餅がセットになった吉野セットを注文する。


まあうどんは実にあっさりしているがまあ普通に美味い。そしてやはり美味なのは熱々のくず餅。まあこれを食べるためにこのセットを選んだようなものでもある。

とにかく疲労が既に濃いこともあり、ついでにお茶もしていく。冷やし葛ぜんざいを頂くことに。普通なら寒天になるところが葛餅であるのがポイントが高い。小豆の味も良く、実に美味。ようやく一息つく。

人心地ついたところでバスで国立博物館へ向かう。東大寺を経由するループバスはインバウンドも含めた観光客で大混雑。しかも博物館を前にして車線数が減った辺りから道路も渋滞。予想以上に時間をかけて博物館に到着する。
しかも博物館の方を見ると入場に大行列。どうやらチケットを購入するための行列の模様。私は本展に関してはチケット未購入(その時の体調次第で奈良はパスする可能性もあったために当日購入にした)だったのでここに並ぶことに。

「超国宝-祈りのかがやき」奈良国立博物館で6/15まで

奈良などの寺院が所蔵している国宝の品々を展示。当然のように展示の中心は仏像になる。そういうわけでありがたい内容なので、残念ながら私は今ひとつピンとくる作品が少ない。
そんな中で私の目を惹いたのは重源上人坐像。生々しい人物描写はほんわかした飛鳥仏像や平安仏像などとは一線を画するリアリティである。どうやら制作者は快慶一派ではないかと推測されているとのことでさもありなんというところ。
さらに展示の目玉の一つは法隆寺の百済観音。この像の本体は一本の木から彫り出されているとのことだが、とにかく縦に引き伸ばされたようなひょろ長い造形が印象的。非常に個性的でエル・グレコの絵画を連想させる。この辺りにどういう意図があったのかは興味深いところ。
後半展示は釈迦絡みの像がまず多数。この辺りのありがたい内容も私の守備範囲外。さらには写経とかになってくると個人的には全く興味が湧かないことを否定出来ない。そのような展示の中で目玉としてあったのは七支刀。石上神宮所蔵の神刀の類いであるが、あまりオーラ的なものは感じず。意外にシンプルだなという印象。
どうも見学のために歩いているうちに疲労が募ってきて、やや見方が雑になった気もする。当初計画では後2箇所ほど立ち寄りの予定だったが、昨晩ほとんど寝ていないことからくる疲労がほぼ限界に達しており、これ以上の活動は無理と判断して帰宅することにする。天王寺でコインロッカーから荷物を回収(この時にロッカー内に這い出している虫がいないことも確認)、JRで帰宅の途につくが、帰りの車中ではほとんど意識を失った状態で過ごした。
トコジラミ騒動顛末
なお帰宅してから大変だったのはトコジラミと聞いた家人のパニックぶり。家から追い出されそうな状況となり、とりあえず荷物はポリ袋で隔離した上で、トコジラミ用の殺虫剤を急遽アマゾンで取り寄せ、届き次第殺虫処理をすることに相成った(本来は全処分を要望されていたのだが、そうもいかない荷物が多いので)。さらには「今の散らかりようではもし虫が発生しても分からない」との理由での部屋の完全掃除が命じられた。また「再発防止」の名の下の全面外出禁止令まで出されそうになったが、これだけは全力回避したのである。
以下の3点を急遽購入



結局はGWはトコジラミ対応に忙殺されてしまうことになってしまった。チェックしたところ成虫が這い回るという状況にはないが、最悪は卵が付着していて忘れた頃に孵化するというパターン。これを防ぐには熱処理に限る。一番良いのは乾燥機を回すことだが、我が家には衣類乾燥機がない(縮みが発生するからと家人が嫌って設置していない)。調べたところトコジラミは50度の環境で30分ほどで死滅するとのことなので、風呂に張れる最高温の60度の湯を張ってどぶ漬けで1時間以上という処理を衣類に施し、またキャリー等からはパソコンなどの荷物を慎重にチェックの上で取りだして、残りはキャリーごと風呂にどぶ漬けという処理になった(実はこの過程で処理がかなり雑だったせいで、本来水没させるべきでない器具が水没しての損傷も多々あり)。また一番隠れる場所が多そうなリュックは最初から処理を断念し、貴重品を取りだした上で廃棄処分ということで、結局はこの間に諸々かなりの金銭的負担も出ることとなった。
なお処理したキャリーは屋外で乾燥の上、とりあえずトコジラミの卵が孵化する時間と言われる2週間を目処にポリ袋に密封して屋外放置して監視。また駅から自宅まで荷物を運んだ車もアイドリングでフル暖房循環させて車内温度が50度を超えているのを確認の上で1時間以上熱処理した。なお衣類については処理後もどうも心理的な安心感が得られず、結局は再度の洗濯後にコインランドリーで高温乾燥処理することになったのである・・・。散々なGWであった。なお全身数十箇所を噛まれた私であるが、ステロイド配合の虫刺され薬の処理だけで、幸いにもかゆみはほとんど発生しなかったのである。もっとも2回目以降があったらこの限りではないので要注意ではある。
この遠征の前日の記事