徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

リニューアルした泉屋博古館訪問後、アマオケのアンサンブル・フリーで珍しい曲を聴く

爆睡した翌朝は朝食が美味い

 金曜の夜が寝付きが悪かった上に早朝覚醒で睡眠不足だったせいか、昨夜はかなり爆睡したようである。6時半頃に一旦目が覚めたが、二度寝で目覚ましをセットした8時に起床する。昨日は地味に1万5千歩以上も歩いていたようだし、それも影響しているんだろう。やはり運動は良好な睡眠をもたらす模様。体も各所に軽い痛み(と言うよりもだるさか)はあるが、概ね良好である。

 目が覚めるとまずは朝食。会場は昨日に夕食を摂った会場。バイキング朝食だが、品数はそこそこありそこらのビジネスホテルよりは豪華。とりあえず一渡りしっかりと腹に入れておく。体調が良いせいか朝から飯が美味い。

朝食バイキングは品数もまずまず

 朝食を終えるとそのまま朝風呂に。浴場には多くの宿泊客が訪れているが、私は屋上のルーマの湯でゆったり。ここで再び「ああ、極楽」という言葉が出そうになる。体温を活動領域までに上げると、チェックアウト時刻である10時まではネット部屋にお籠もりして原稿執筆(私の日常は何も知らずに横で見ていると、まさに猛烈ビジネスマンのそれに見えそう)。


 さて今日の予定だが、メインはアマオケであるアンサンブルフリーのコンサート。珍しい曲をやる模様なのでチケットを購入した次第。ちなみに開演は14時半だから、例によって開演までの時間で寄り道をする予定。

 とりあえず最初の目的地は決まっている。目指すは泉屋博古館。最近までしばらく改装休館していたのだが、この度リニューアルオープンとのこと。当初予定では昨日に嵐山からバスで長駆移動も考えていたのだが、流石にそれは時間的にキツいことから、急遽相国寺に切り替えた次第。

 ホテルをチェックアウトすると祇園のバス停から東天王町まで移動。キャリーを転がしながらしばし坂道を登った先に目的とする美術館はある。

泉屋博古館に到着

 

 

「帰ってきた泉屋博古館 いにしえの至宝たち」泉屋博古館で6/8まで

 リニューアルオープン記念で、所蔵の名品からの選抜を展示するとのこと。改装で若干拡張した展示室に名品がズラリと展示されている。

 仏教絡みの展示もあったが、お寺などの展示物と違ってありがたみではなく美術品としての価値を優先しているのか、なかなかに見応えのあるものが多い。その中でも毘沙門天像が目を惹く。私の目を惹く時点で予想はついたが、鎌倉時代の恐らく慶派の流れを汲む作品だと思われるとのこと。

 隣の展示室では絵画、茶器、小物等様々な展示がされている。書画は中国の者が多いが、その中に一点、伊藤若冲の「海棠目白図」があり、これが私的には目を惹くもの。


 ついでのこの美術館の目玉でもある青銅器展示の方も覗いていく。驚くような名品集合から始まり、最後は東洋(日本を含む)への影響を示す展示までなかなかの物量。

殷後期の象文兕觥(酒器)

殷後期から西周にかけての様々な青銅器

 

初唐の海獣葡萄鏡

日本に渡った青銅器文化が産み出した弥生後期の広型銅矛

弥生後期の袈娑襷文銅鐸

 ここの青銅器展示を見ていると中国文明の奥深さを感じるところ。昨今は歴史の知識もなく(というよりも歴史そのものから目をそらして)中国文明の存在自体を否定して、日本は中国の影響を受けていないとか中国文明の源は日本だとかのナンセンスな主張をする「残念な愛国者」が増えているとか。この手の偏狭な思想は、日本の価値を高めるどころか価値を落とすこと著しい。実際に少し前にその手の思想の暴走で亡国寸前まで行ったことも忘れてはいけないところ。

 

 

 美術館を一回り。ここはマッタリと出来るなかなかに良い美術館である。とは言うもののいつまでもマッタリしているわけにもいかない。美術館の見学を終えるとバスで移動することにするが実を言うとあてはない。仕方ないのでとりあえず地下鉄沿線に戻ることにして、バスで烏丸丸太町まで移動。ここから地下鉄での移動を考えたが、北山まで行ってしまうと何もない(どうせ東洋亭はまた行列だろう)。そこで辺りを見渡したところ飲食店がいくつかあるようなので、そこから適当にみつくろうことにする。

 「京うまれ」という店を見つけたので入店する。メニューを眺めたが、京都でトンカツや牡蠣フライを食べる気はしない(そもそも昨晩がカツ丼だし)。すると「さわらのゆうあん焼定食(1580円)」なるメニューを見つけたのでそれを注文する。

丸太町の「京うまれ」はなかなかの人気店の模様

 さわらは単に塩焼きにするとあっさりしすぎでやや物足りなさを感じるのだが、こうやって何かを付けて焼くと抜群に美味くなる。これがさわらの偉大さ。この年になるとやはり和食が一番体に優しい。

ゆずあんを使ったサワラの定食

 

 

 昼食を終えると昼過ぎ。開演時刻が14時半で開場が14時なので、まだ少々時間をつぶす必要がある。美術館は京都文化博物館が・・・「和食展」。これは全く興味が湧かない。そこで隣にある京都御所を覗くことにする。

 落ち着いた空気に心癒やされる感。私の中に潜む高貴な血が反応したのか、妙な懐かしさを感じる。とか言ったものの、私の家系はかつて四国の神官だったということは聞いているがそれ以上は知らない。もっとも2000年も遡るとどこかで皇室とつながっていても不思議ではない(笑)。

すぐそこが京都御所である

 京都御所は今では都会の中の貴重な森林スペースになっているようである。こんな空間は、維新に任せると「無駄で採算性が悪い」と木を切り倒してモールにでもするのがオチ。また入口周辺にはキッチンカーでも並べるところだろう。

落ち着いた良い場所だが、残念ながらここではキャリーを牽けない

 時間はあるのでじっくりと見学していきたかったところだが、残念ながら砕石を敷き詰めた通路は足には優しいがキャリーの走行が不可能。御所の見学は次の機会にすることにして引き返す。

 

 

 こうなったら喫茶ででも時間をつぶすしかない。ザッと調べると近くのホテル内に喫茶があるようなので、その「noku CAFE」を訪問することにする。ケーキセットを注文する。

近くのホテル内の喫茶「noku CAFE」を訪問

 モンブランを頂きながらマッタリと落ち着く。しばしここでアイスコーヒーを頂きつつ原稿執筆で時間をつぶす。

和栗のモンブランとアイスコーヒーでマッタリと時間をつぶす

 適当に時間をつぶすと地下鉄で北山に移動、ホールに到着したのは開場直前。キャリーを引きずっているからと2階にエレベーターで上ったが、上がってみると開場待ちの観客が数百人延々と行列を作っており、最後尾に付くにはキャリーを引きずりながらスロープを降りていくしかなく、これなら最初から素直にスロープに行けば良かった。なお会場にクロークがあるかが気がかりだったが、一応はクロークはあるようでキャリーは預ける。

二日続けての京都コンサートホール

 

 

アンサンブル・フリーWEST 第40回演奏会

大編成のオケにパイプオルガン、さらにオルガン席にバンダが並ぶ

[指揮]浅野亮介
[チェロ]近藤浩志
[オルガン]富田一樹

 

西村朗:管弦楽のためのファンファーレ
薮田翔一:Symphony -Recollection-(委嘱新作、世界初演) 
チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲
ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」

 

 アンサンブル・フリーは指揮者の浅野が立ち上げたコンサートごとにプロジェクト的にメンバーを集めて編成しているオケとのこと。ザッと見渡したところでもメンバーの平均年齢はかなり若く、若手のプロ演奏家か音大生辺りが中心ではないかと思われる。

 その編成の特徴は最初の一音を聞いただけで感じられる。いわゆるアマオケの音とは少々違う。特に管楽器などは明らかにプロか少なくとも音楽を生業とする者の音であるし、弦楽器のアンサンブル精度も通常のアマオケよりは高く、プロオケに近い音色を出している。

 ただ最初の2曲はいわゆる現代音楽であり私の管轄外。そう奇っ怪な曲でもないが、かと言って私が興味を持つタイプの曲でもなかったので、演奏の上手さは感じつつも今ひとつピンとこなかったのは事実。

 後半はまずはソリストに近藤を迎えてのチャイコのロココ。実際はチェロ協奏曲と言って良いこの曲に対し、近藤の演奏はとにかく音が綺麗で音色が深い。その音色自身が圧倒的説得力を伴ってこちらに迫ってくる印象。そしてバックのオケもそのチェロに良く絡んで音楽を盛り上げている。

 観客の歓呼に答えての近藤のアンコールはサン=サーンスの「白鳥」。これがまた圧倒的な美しさ。これについては流石の一言。

 そしてラストがハチャトゥリアンの3番という比較的レアな曲。バンダのトランペットを15本にパイプオルガンまで加えるという派手派手な曲。第二次大戦の戦勝を祝して書かれたというだけあって華々しいファンファーレでもある。しかもバンダの大音響の中をパイプオルガンが超絶技巧で奏でられるというある意味でのとんでもない曲でもある。まあそういう意味では、流石にあの「剣の舞」の作曲家という気もしないではない。

 なおハチャトゥリアンはスターリン政権下のソ連で、いわゆるジダーノフ批判の対象となり「形式主義的退廃音楽家」と非難されることになったとか。多分にこの曲の大編成もその批判の一因になっているとの評もあるとか。

 など様々あるが、決してブンチャカと五月蠅いだけのつまらない曲というわけではない。またアンサンブル・フリーの演奏も、個々の奏者がなかなかに聞かせる演奏をしていてそれなりに冴えのあるものであった。とりあえずこの毛色の変わった曲をなかなかに楽しませてくれたのである。

 

 

この遠征の前日の記事

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