徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

正倉院展などを見学してから大フィルの定期演奏会へ

近くの喫茶で朝食を摂ってから出かける

 翌朝は長年のサラリーマン生活の性で、いつもと同じ時間に自動的に目が覚めてしまう。ここでダラダラと無理やり二度寝してもだるいだけなので、とりあえずは朝食のために繰り出すこととする。

 立ち寄ったのはこの界隈で早朝から営業している「喫茶マルフク」。ミックスサンドのモーニングにアイスコーヒーをつける。これで370円というのは驚異的。この界隈の喫茶店モーニングは侮れん。ただここもこの界隈の喫茶店の常で喫煙可なので、それだけは私のような者にはツライところ。

早朝から営業の「喫茶マルフク」

370円のモーニングセット

 朝食を終えて帰ってくると、まずは昨日の原稿を仕上げてアップ。後はシャワーを浴びて体温アップ(これは近年変温動物化している私が朝から精力的に活動するには不可欠)、出かける準備をすることにする。

 さて今日の予定であるが、メインはフェスでの大フィルの定期演奏会だが、まずは大阪歴史博物館で開催中の「正倉院展」を見学、その後に昼食を摂ってから東洋陶磁美術館を訪問、後は時間次第で出たとこ勝負である。

 小雨がぱらつき始めた中を谷町四丁目まで移動。心なしか周囲に人が多い印象。会場の大混雑を懸念していたが、本日から開催とのことでまだメディアなどで大々的な宣伝がなされていないこともあるのか、特に行列などもなくスムーズに入場できる(券売所の前には明らかに大勢が殺到した時の行列用の装備までなされていたところを見ると、主催者側の方にも肩透かしであったかも)。

歴史博物館方面は通常より人は多め

 

 

「正倉院 THE SHOW」大阪歴史博物館で8/24まで

 まず最初に重要なのは、本展で展示される物品は全て復元品であるということである。正倉院は厳重に封印されていて、毎年秋に内部のチェックが行われるので、本来の物品の展示は秋の時期に奈良国立博物館で行われる。

正倉院の扉はこのような厳重な封印がなされている

 ただ復元品だから価値がないかといえばそんなことはない。これらの復元品は正倉院事務所が綿密な研究の元で当時の素材や技法を再現して制作しているので、むしろ経年劣化を経た本物よりも忠実に往時の姿を伝えているとも言えるだろう。螺鈿細工などは極めて鮮やかで美しい。私のように考古学的興味よりも美術的興味の強い者にはむしろこの方が楽しめる感もある。

螺鈿紫檀五弦琵琶

螺鈿箱

大仏開眼に使用された巨大な筆

 

 

 正倉院宝物はいわゆる国産品だけでなく、シルクロードを通ってもたらされた物品もある。そのようなインターナショナルな銘品も復元展示されている。

中国からのもたらされた絢爛豪華な太刀

ガラス製の瑠璃杯

 また復元蘭奢待なんてのもあったが、これだけは形態を復元しても・・・と思っていたら、しっかりと化学合成で蘭奢待の匂いを復元という展示もあった。まあいわゆる普通にお香の匂いで、どのあたりが崇高なのかは下賤な私には理解不能ではあったが。

復元蘭奢待、奥に見えるガラスの器で復元した匂いを体験できる

この銀香炉は地球ゴマのような構造で内部が水平に保たれる

 

 

 もっともそれでなくても広くはない会場を映像展示で大きなスペースを割いていることでも予測できたように、展示点数自体は決して多くはない印象であり、最後は正倉院宝物にインスパイアされたアーティストの作品とか、篠原ともえがデザインした衣装(どうも最近は彼女も芸風が迷走している)とかなどの意味不明の展示(要は水増しである)もあり、2000円という高価な入場料を考えるとやや割高感はなきにしもあらずである。

正倉院宝物にインスパイアされた器

篠原ともえデザインの衣装

 

 美術館を出た時には雨はかなりの豪雨に変化していた。その中を駅までトボトボと歩くことになる。

外はかなりの豪雨になっていた

 

 

洋食の名店で昼食をとる

 とりあえず昼食を摂ることにする。店の方は既に見込みを付けている。南森町近くの「復刻西洋食堂紅梅ダイナー」。いわゆる町の洋食屋だが、以前にテレビで紹介していた時にピンとくるものがあったので訪問することにした次第。とは言うものの、それでなくても日頃から行列が出来ると言われている店が、テレビ放送直後などはどうせ野次馬が殺到するのが分かりきっているので、ほとぼりが冷めるのを待っていた次第。

私の退店時にはこの行列になっていた

 店へは南森町の出口から5分と言うところか。天候が悪いことと開店直前というタイミングを狙ったことが功を奏したか、待ち客は全くなく(先客は既に店内に多数)スムースに入店できる。ランチメニューはオムライス(これも名物らしい)とのことだったが、名物だという海老フライ(1210円)を注文する。

プリっとしたエビフライ

 プリッとした立派な海老が3本入っている。価格を思えばお値打ちものか。昔はさらに安かったようだから行列が出来るのも分からないではない。ただ自家製らしいタルタルソースは、ソースと言うよりはゆで卵をつぶしたものという印象で、個人的にはもう少しマヨネーズ分が欲しい。

 確かに行列が出来るわけも分かるが、私としては「まあ普通に良い洋食店」という認識。例えば岩屋の「洋食SAEKI」や福島の「レストランイレブン」とかと比較した時に、特段の優位性があるというわけではない。まあ近くに来ることがあれば再訪することに躊躇いはないが、わざわざ出向くと言うほどの魅力もないというのが本音。

 

 昼食を終えると南森町から北浜に移動。ここから最寄りの美術館を目指す。

中之島の東洋陶磁美術館

 

 

「CELADON-東アジアの青磁のきらめき」東洋陶磁美術館で11/24まで

 中国で発祥し、その後に朝鮮半島や日本に広まって発展した青磁は、その翡翠の青で多くの人々を魅了してきた。ちなみにCELADONというのは欧米での呼称だという。これらの青磁作品を紹介する。

 中国からもたらされて篠山藩主の青山家で伝わってきた鳳凰耳花生は重要文化財である。さらに古代の青銅の鼎を模した金時代の香炉など。

重要文化財の鳳凰耳花生

金時代の香炉

 高麗では美しい色彩や文様にこだわった青磁が登場。瓜を模すなど形態にこだわった作品もある。

高麗の蓮唐草紋壺

瓜型水柱

これは古代の青銅器を模している

牡丹蝶文浄瓶

 

 

 また複数の土をこねてマーブル状にした練上、さらには象嵌によって絵柄を刻んだ作品なども制作される。

練上碗

青磁象嵌六鶴文陶板

青磁象嵌竹鶴文梅瓶

 青磁の一方で白磁も制作された。この白磁は高貴なものとして王室の官窯で制作されたという。

動物の角の酒器を模した白磁

 

 

 さらには日本でも中国や高麗の青磁を模した作品が制作されている。

鍋島藩が伊万里で制作した獅子形置物

 最後は本館が誇る銘品の数々の展示。これで観客を圧倒して終了である。

呉~西晋の青磁神亭壺

後漢の印文四耳壺

明の刻花牡丹文梅瓶

 以上、様々な青磁についての展示。なかなかに魅了されるような作品も多く、見ごたえありであった。

 

 美術館の見学を終えたのは正午過ぎぐらい。フェスの開演が15時からだから時間が余りすぎである。実は今日は正倉院展と昼食の店で行列に並ばされる可能性を考慮して早め早めに動いていたのであるが、そのどちらも予想外にスムーズに進行したことで、スケジュールが想定外に前倒しになってしまった次第。喫茶で時間をつぶすにも長すぎるし、もう一箇所立ち寄れるぐらいの時間。そこでプラプラと淀屋橋まで歩くと、そこから心斎橋に移動する。目指すは商店街内にある美術館。アーケードがあるので濡れなくて済むのもポイント。

入り口は焼肉屋の方が目立っている

 

 

「べらぼうな浮世絵師18人展」大阪浮世絵美術館で7/13まで

焼肉屋の上の3階にひっそりとある

 コレクションから厳選した浮世絵師18人の作品を紹介するとのことだが、選ばれた絵師はなぜか幕末~明治にかけての人物が多いのが特徴。

 最初に登場するのは長谷川小信が明治になって描いた風景画だが、観光絵葉書的な作品である。次の野村芳国の明治の作品は、どことなく後の大正版画を連想させる。歌川貞秀の幕末の作は俯瞰図になっているのが斬新である。

 幕末の絵師がしばし続いてからそれよりもやや遡った天保年間の広重の作品がまとめて登場。彼の作品については今更改めて言うまでもない。

 その後は再び明治の絵師になって、次に幕末前の大物歌川国芳が登場。この人は役者絵の類が傑出しているの言うまでもない。

 次は明治から大正にかけての月岡芳年周辺の最後の浮世絵師組。そして芳年自身の作品も登場。やっぱり弟子筋の作品とは一線を画している。

 最後は葛飾北斎、喜多川歌麿というあたりのド定番で締めとなっている。

 かなり有名な絵師に混じって知名度の落ちる絵師も登場という内容で、私としては「誰?」という絵師が少なくなかったが、各人それなりに個性があって面白かった。

 

 

 美術館の見学を終えた時には、ちょうどどこかの喫茶店で少し時間をつぶそうかというぐらいのタイミングになった。そこでプラプラと心斎橋にまで戻りつつ店を物色。しかし手頃な店がない。その内に大丸に差し掛かったので、どこか良い店が入っていないかと調べたところ「都路里」が入っている模様。そこで立ち寄ることにする。

大丸8階の「茶寮都路里」

 行列でも出来てたら嫌だなと思っていたが、大丸の8階という立地の悪さ(とにかくエレベーターが来ないのでやたらに待たされる)のためか、私の来店時はガラガラですんなりと席に案内される。何を注文しようか迷ったが、パフェばかりも芸がないなとメニューを見たら「都路里氷」がある。そこでそれを注文することにする。

都路里氷

 氷蜜の抹茶がなかなか濃くてこの辺りは流石に都路里。かき氷で熱くなっていた体をクールダウンする。

 しばし喫茶でまったりした後、四ツ橋から地下鉄で肥後橋へ。それにしても心斎橋と四ツ橋は遠すぎ。まるっきり東京の地下鉄の乗り換え距離。まあ元々別の駅だから仕方ないのか。

 大阪フィルの定期演奏会は本来はフェドセーエフが指揮のはずだったのだが、体調不良で来日が中止となり、急遽バーメルトに変更。フェドセーエフを楽しみにしていた私としては極めて残念。フェドセーエフも既に高齢で昨今は目に見えて衰えたことを感じていたので心配である。

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第589回定期演奏会

オケは16型編成

指揮:マティアス・バーメルト

グラズノフ:バレエ音楽「四季」作品67
チャイコフスキー:交響曲 第1番 ト短調 作品13「冬の日の幻想」

 一曲目はグラズノフだが、正直なところ短い曲が次々と連なっているようなとりとめのない構成の曲なので、何ともとらえどころがない。バーメルトの指揮もオケをうまくまとめているのは感じられるのだが、どうもはっきりとその効果が分からないところもある。私がこの曲を全く知らないこともあって困ったのが事実。一つだけ感じられたのは、いわゆるロシア情緒はないということ。この辺りはフェドセーエフなら全く変わったろう。

 二曲目はようやく私もよく知っている曲になる。どうやらバーメルトの指揮について言うと、手堅いという印象。バーメルトの名に覚えがあったので私のバックナンバーを繰ってみたところ、以前に群響と札響で聞いている模様。しかし指揮者についてはあまり言及していないようであることを見ると、やはり地味な指揮者という印象だったようである。

 どちらかと言えば強弱の対比に注意しているようであり、特に弱音に対してかなり気を使っている様子がうかがえる。一方の強音に対しては野放図に鳴らすのではなく、一定の抑制をかけているようである。またテンポは抑えめでどっしりと重厚に構えるが、強音になるとテンポが上がるやや時代がかったところがある模様。総じて安定感はあるのであるが、渋くて地味ではある。

 大阪フィルの演奏に関しては、安定感があってまた管楽陣などはなかなかに良い音を出していた。非常にまとまりのある演奏という印象が残った。ただやはりいわゆるロシア風味は皆無だったのは事実。

 

 

 コンサートを終えるとホテルに戻ることにするが、途中で夕食を摂ることにする。寿司でも食いたいとじゃんじゃん横丁の大興寿司を覗いたが、インバウンド勢が押しかけていて行列ができている状態。待つ気もしないし今日は串カツの気分でもないので、新世界は諦めることにする。気分としては今は和食。ということで結局はホテル近くの「らいらいけん」を訪問して「日替わり定食(850円)」を注文する。

ひさしぶりの「らいらいけん」

 例によって小鉢を一つ選び、それをつつきながら料理の到着を待つ。

小鉢はカニカマ

 今日のおかずはエビ玉と豚の天ぷら。どちらもなかなかに美味くてご飯が進む。毎度のことながらこの店はCP最強である。

ハイCPな日替わり定食

 夕食を終えるとホテルに戻る。さて今日の原稿作成をと思ったが、どうにも頭が回らない。部屋に戻ってきたら異常に疲れていることを感じている。どうやら今日は1日で1万7千歩以上歩いていた模様。自覚はなかったのだが、よくよく考えると美術館と駅の間などが意外に遠かったところばかりである。これは明らかに私の限界突破。要するに体力が尽きてしまっている模様。

 とりあえず風呂に入ることにするが、そうなるといよいよ疲労が表に出てきた。結局は部屋に戻るとしばし何もできずにベッドでゴロン。タブレットを自宅のBDレコーダーにリモート接続して、録画した昨晩のアニメをチェックする程度の思考力しか残っていない状態。

 途中で起き上がって若干の原稿作成などもしたが、やはり完全に頭脳が停止してしまっている。諦めてかなり早めに就寝することにする。

 

 

本遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

本遠征の前日の記事

www.ksagi.work