徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

京都の美術館を回ってから京響の定期演奏会へ

京都の美術館をはしごする

 翌朝は休みにも関わらずいつもの時間に自動的に目が覚めるサラリーマンの悲しい性。とりあえず朝食に繰り出すことにする。

 朝食はバイキング。和洋両用と言うよりも和洋合盛の内容。まあ良くも悪くもない。

和洋合盛の朝食

 朝食を終えるとシャワーを浴びてから原稿執筆作業。昨日の原稿をアップする。

 さて今日の予定であるが、美術館を2カ所ほど立ち寄ってから京響の定期演奏会である。まず最初の立ち寄り先は福田美術館。9時過ぎに出かけると地下鉄と阪急を乗り継いで嵐山へ。京都はもうこの時間から蒸しているが、相変わらず嵐山はインバウンド混雑。目的地へは開館直後に到着する。

今日は天気が良い(つまりそれだけ暑い)

 

 

「京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯(後期)」福田美術館で7/6まで

 以前に見学した木島櫻谷展の一部展示替えをしての後期である。

 初期作の「双美図」はやや素朴な味わいのある一品。また櫻谷が手本とした歴史画家菊池容斎の作品は今回は「楠公村上義清図」が展示されている。

櫻谷の初期作品の「双美図」

菊池容斎「楠公村上義清図」

 さらに櫻谷の花鳥画を代表する鶴を描いた「鶴図屏風」の大作、さらには「月下衛図」などの作品を展示してある。

「鶴図屏風」右隻

「鶴図屏風」左隻

「月下衛図」

 

 

 さらに動物画として虎を描いた「幽渓猛虎図」は博覧会で一等をとった友禅の刺繍の下図とのこと。鹿を描いた「秋野孤鹿」も印象深い作品。

「幽渓猛虎図」

「秋野孤鹿」

 一風変わっているのが墨一色で描いた「遅日」。白黒にも関わらず色彩が見えるような気がしてくる。また農村風俗を描いた大作「和楽」もほのぼのと印象深いところ。

モノクロの「遅日」

「和楽」右隻

「和楽」左隻

 以上、元々木島櫻谷の作品は好ましく感じていたのだが、今回まとめて櫻谷の作品を大量に鑑賞したことで、よりこの画家の神髄に触れたような気がしてきた。とりあえず嵐山まで足を伸ばした価値はあったというものである。

 

 

 美術館の見学を終えると次の目的地への移動。次の目的地は泉屋博古館だが、京都の西から東までを大横断することになる上に、目的地はバスしか足がない僻地。調べたところ嵐山から東山方面まで93系統のバスが大横断している模様なので、それで移動することにする。

 予定通りにバス停に到着するが、京都名物の「渋滞のせいでバスが時刻通りに来ない」という現象で、一向にバスが到着しない。結局はバスは7分遅れで到着。その間は先程自販機で買い求めた麦茶がライフライン。しかしそのライフラインはこの灼熱地獄でみるみる温くなっていく。

 ここからバスでの長い移動。このルート自体は以前に自家用車で何度か通っているからよく知っているのだが、そもそも長くて信号も多い上に渋滞もあり、さらにバス停がかなりの密度であるから各駅停車。最初はガラガラだったバスがみるみる混雑していく。

 とにかく長いというのが正直な感想。烏丸丸太町を過ぎた頃から乗客が減り始め、道路の混雑も緩和されるものの、各駅停車は相変わらず。結局は1時間近くをかけてようやく東天王町に到着、その時には遅れは当初の倍になっていたという次第。

 ここから目的の美術館までは徒歩で数分だが、外の灼熱地獄が体に堪える。京都名物殺意を持った夏の暑さというやつである。とりあえず熱中症になる前に目的地に逃げ込む。美術館の駐車場には多くの車が停まっている。確かにこの気候でこの場所だったら車で来るのが正解。私も京都近郊に住んでいたら車で来るところだが、兵庫からだとガソリン代とそれ以上に高速料金で破産する。

熱中症直前でようやく目的地に到着

 

 

「続・帰ってきた泉屋博古館 近代の美術、もうひとつの在り方」泉屋博古館で8/3まで

 泉屋博古館が所蔵する名品を展示。前回よりも絵画の比率が高いので、絵画が最も好きな私向きではある。

 第一部は展覧会向けに制作された作品で、これはいわゆる「映え」を意識したものであるという。いきなり日本画と西洋画の折衷のような香田勝太の作品に驚かされるが、淡い色彩の板谷波山の花瓶から東山魁夷の絵画まであって驚かされる。

 さらには大阪での第5回内国勧業博覧会絡み作品も展示。精緻な刺繍作品にいきなり驚かされるが、原田西湖の絵画なども印象深いところ。

 さらには住友家とのサロン的交流の中から生まれた作品は、田能村直入や富岡鉄斎、岸田劉生など蒼々たる面々の秀作ぞろい。

 最後に実際に住友邸を飾るために制作依頼された作品なども登場。木島櫻谷の「燕子花図屏風」は伝統的な琳派の燕子花作品を意識しながら、装飾的であるにもかかわらずなぜか生命力のようなものを感じさせるところは流石に櫻谷と感心。また強烈に印象に残ったのが狩野芳崖の「寿老人図」。狩野派を通り越して雪舟を思わせるようなバキバキの線に思わず圧倒された。

青々とした美術館中庭

 

 

 美術館の見学を終えるとホールに向かうことにする。ルートとしては丸太町までバスで移動してそこから地下鉄か。行きのルートを逆にたどって烏丸丸太町まで。ここから地下鉄移動だが、その前に昼食を摂っておくことにする。以前にも立ち寄った「京うまれ」に入店、以前にも注文した「さわらのゆうあん焼の定食」を頂く。

丸太町の「京うまれ」

 さわらが実に美味。しっかり火が通っていながら硬くならない焼き加減も絶妙。やはり最近はこういう和食の方が体に優しくて口に合う。私も確実にジジイ化していることを感じる。

最近はこういう和食が一番ホッとする

 満足できる昼食を終えるとホールに向かう。現地到着はちょうど開場の直前だったので少し待ってからゾロゾロ入場。熱さでかなり参っているので、とりあえずアイスコーヒーでクールダウンする。

アイスコーヒーでクールダウン

 

 

京都市交響楽団 第701回定期演奏会

[指揮]沖澤のどか(京都市交響楽団常任指揮者)
[ヴァイオリン]アラベラ・美歩・シュタインバッハー★

G.レンツ:ヴァイオリン協奏曲「...to beam in distant heavens...」★ (日本初演)
タイユフェール:小組曲
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」

 一曲目はオーストラリア在住の作曲家レンツが、シュタインバッハーの依頼で作曲したという協奏曲。沖澤が好む日本初演曲である。

 いかにも現代音楽らしく、いきなりハンマーの一撃で始まったり、ソロヴァイオリンと客席後方に控えるバンダのヴァイオリンの掛け合いがあったり、エレキギターまで加わった多彩な楽器陣など、音響効果だけでなく視覚効果の演出まで加わった曲である。

 かなりの難曲にも感じられるのだが、そこは流石にシュタインバッハー依頼の作品だけに、彼女のソロ演奏には全く揺るぎないものを感じるし、それを受けての沖澤の指揮及び京響の演奏も実に適切なものであるようである。

 なおこの曲は作曲家の地球環境に対する思いなどの様々な思想が込めらたれもの・・・とのことであるが、正直なところ私には「意外と派手な曲だな」という印象だけで、残念ながらそのメッセージはなかなか読み取れない。いかにも現代音楽でメロディライン等が明確でない曲であるだけに、本音を言うと聞いていてしんどい。40分近くの長大な現代音楽は私には少々きつかったが、何もこれは私に限った話ではないようで、周りを見渡してもガックリと首が落ちてしまっている者が少なからず。なかなかに凝ったすごい曲であることは感じられたのだが、残念ながら私のような低俗な者には「現代音楽は短いものに限る」というのが正直な感想だったりする。

 場内の反応はなかなかのものだった。どうやら流石に京響の公演の観客には、私よりも遥かに高尚な耳を持つ方々が多いようだった。鳴りやまない拍手を受けてシュタインバッハーのアンコールはクライスラーのかなりテクニカルな曲。これは現代音楽というよりも近代音楽ぐらいのものであり、正直なところ私にはこちらの方がありがたい。これはシュタインバッハーのテクニック及び表現力を感じさせるに十分だったのである。

 後半は沖澤らしいフランス系作曲家の小洒落た小曲集。タイユフェールの作品は非常に美しい小品。完全に忘れ去られた作曲家になってしまっているが、沖澤はあえてそこに光を当てたようである。京響の演奏も実に煌びやか。

 そしてオーケストレーションの名人ラヴェルの逸品。これもラヴェルの名人芸を感じさせるに十分な曲であるが、京響が実に美しい音色を出すし、強音でも乱れないアンサンブルは見事。

 最後はディズニーの「ファンタジア」で有名なデュカスの作品。ユーモアあふれる作品でもあるのだが、これを愉快にかつ華麗に演奏した。

 流石にこの手の曲は沖澤の真骨頂であることを感じさせられた。もっとも沖澤のプログラムはこの手のおしゃれで軽めというものにやや偏っている気がするので、それ以外のものも聞きたいとは思う。前回の「英雄の生涯」とかがかなり良かっただけに。

 

 

 コンサートを終えるとホテルに戻る。何だかんだで今日は1万3千歩も歩いているし、外の暑さも結構堪えたので、部屋に入るとぐったりしてしまう。しかしとりあえず夕食は済ませておく必要があろうということでレストランへ。

夕食はどことなく社食感がある

 ここのホテルは朝食だけでなく夕食もつくのが最大の特徴。まあ社食に毛が生えた程度のものであるが、この周辺には飲食店が少ないので意味がある。時節柄おかずが少なめだが、ご飯は結構がっつり盛ってあるので、それで腹を膨らませろということか。こういうところも社食感が半端ない理由でもある。

 一応の夕食を終えると今日はとにかく汗をかいたので大浴場で入浴。汗を流してサッパリするとともに明日に備えて体をほぐしておく。

 部屋に戻ると執筆作業・・・と思ったが、とにかくしんどすぎて体だけでなく頭がサッパリ回らない。仕方ないのでしばしベッドでゴロンと横になる。執筆作業についたのはしばしの休憩の後。

 結局この日は疲労がかなり濃いこともあって、いつもよりも早めに就寝したのだった。

 

 

この遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work