夏も終盤? コンサートシーズン再開
この夏は暑さで死にそうな状況だったが、この暑さのせいとオケが夏休みに入るせいで、かなり永らくコンサートとご無沙汰になっていた。しかし盆を過ぎて夏も終盤、気候に涼しさを感じられるように・・・全くなっていないんだが、ようやくコンサートのほうも再開の頃となってきた。というわけでかなり久方ぶりに私も遠征である。と言っても訪問先は神戸国際会館。大阪フィルの神戸公演を聴きに行こうという次第。
コンサートは金曜日の夜。金曜日の仕事を早めに終えるとさっさとJRで三宮に向かう。それにしても8月終盤とも思えない暑さである。表を歩いたら日差しに焼かれる感覚。吸血鬼とは程遠い私(こんなに体格の良い吸血鬼なんていなかろう)でも、焼かれて灰になるんではって気がしてくる。顔の表面がチリチリと痛む状況で、そりゃこんなことを続けていたら皮膚がんもあり得るかなんて気がしてくる。こういう状況下では帽子なんかじゃ間に合わない。というわけで最近の私は日傘男子(正確に言えば日傘ジジイなんだろうが)になっている。

なお私が使用しているのは上記の傘だが、この傘は一応晴雨兼用となっているが、雨天時に用いるにはいささか軟弱なうえに何より径が小さい。そういうわけで私は実質的に晴天専用で使用している。なおこの傘には妙な癖があり、閉じるときにもボタンを押して閉じるようになっており、ボタンを押さずに閉じようとするとパイプが縮められないので要注意。
新快速に弱冷車を避けて乗り込み(以前に間違ってこれに乗ってしまったせいで、体の芯に熱気が残ってしまってへばったことがある)、ウトウトしながら三宮まで移動。三宮直前でギリギリ目が覚めると慌てて降車する(いつも大阪までなので乗り過ごしそうになった)。国際会館はここから地下伝いですぐだが、途中で夕食を摂っておくことにする。何となくふらっと入店したのは通りすがりのミント地下の牛カツ京都勝牛。

サーロインの膳の大を注文する。ここのカツの最大の特徴はいわゆる真っ赤なレアカツであること。これをわさび醤油、山椒、ソース(どうやらウスターソースの模様)、カレーを好みによって付ける。なお別注で生卵をつけるパターンもあるようだ。ちなみに私の場合はわさび醤油がベストで次がソース、カレーはどうも合わない。

ただサーロインのレアカツは思いのほか脂がコッテリしていて、老化によって衰えた上に夏バテでとどめを刺されている私の胃には持たれる。そこでこういう場合に用意されている鉄板でレアカツに火を通してできる限り脂を落としてからわさび醤油でさっぱり頂くことにする。

とは言うものの、やはりこれでもいささか胃にもたれるのは否定できない。私ももう少し若いころならこれを喜んでガッツリと頂いたのだろうが、今はそうはならない悲しさ。「認めたくないものだな、老化ゆえの衰えとは・・・」と某大佐のように格好つけてぼやいたところでしまらない話である。味は悪くなかったのだが(汁ものだけは感心しなかったが)、ややムカムカした状態で店を出る。
この時点で開演の1時間前。既に開場はしているが、ホールに直行したところで中で延々と待つだけである。胸のむかつきを抑えるためにも喫茶にでも立ち寄りたい。さんちかの「神戸珈琲物語」に入店してモンブランのケーキとミルクティーのセットを頂く。

甘ったるいモンブランケーキがさわやかに思えてくるから驚きである。紅茶の方も特に癖のない味で飲みやすい。マニアではない私には変に凝ったものよりもこのぐらいのものの方が飲みやすくあったりする。

喫茶で一息ついたところで開演30分前、ホールに入場することにする。国際会館はここからは目と鼻の先。ホール入り口に到着した時には続々と入場中。ここから長いエスカレーターで上階まで上がることになる。

なお私の購入した席は3階席の前から2列目の天井桟敷。かなりステージから遠いがほぼ正面に近くはある。今回のコンサート、行くかどうか最近まで迷っていたのでチケットを押さえるのが遅くなり、良い席はとっくに完売していたので高い端の席よりは安いのこの席の方が良いという総合的判断である。なお国際会館を私が訪問するのはこれで2回目か。前回は秋山で大フィルだった記憶があるが、あの時は1階の前の方で頭の上を音が抜けていく席だった。あれよりはここの方が聞きやすい。

場内は7割程度の入りというところか。大フィルはエルガーのチェロコンは12型編成で、後半のブラームスは14型編成という構成。コンマスとして崔氏が出演しているので2軍ということはないと思うが、私は大フィルの面々の顔を覚えてない(そもそもステージににじり寄って見るわけでないので顔など分からない)ので正確な判断はしかねる。プログラムの出演者を見れば分かるんだろうが、私はそこまで細かいことをする気はない。
大阪フィル神戸特別演奏会
指揮:松本宗利音
チェロ:花崎薫
エルガー/チェロ協奏曲ホ短調作品85
ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68
どちらかと言えば尾高のイメージのあるエルガーの曲とブラームスの有名な第1番を組み合わせたプログラム。指揮は新進気鋭の松本宗利音(まつもとしゅうりひと)。彼の名はドイツの往年の名指揮者カール・シューリヒトの奥方による命名とのこと。シューリヒトは1967年没なので私は生演奏は当然、録音さえも聞いた記憶がない。
さて一曲目のエルガーであるが、やはりエルガーらしいどことなく茫洋としたところのある曲である。ただ協奏曲という構造上、チェロに明確な主旋律が出てくるので、私としては非常に聞きやすい。オケ曲だと主旋律を捉えることができず、茫漠とした音楽世界の中で方向を見失いがちになってしまうのだが、この曲の場合はチェロを追っかけていれば道に迷わなくて済む。というわけで私のようなエルガーの音楽とターナーの絵画は苦手という人間でも問題なく楽しむことができる。いったんそういう風に姿勢が定まると、哀愁を帯びたチェロの音色がなかなかに心地よい。
花崎のチェロは強烈に個性を訴えるタイプではなく、しみじみと深く鳴らすタイプの演奏。単純に「ああ良い音だな」と楽しむことができる。なお私はこの曲は全く知らない曲なので、どういう演奏であるかという深いところまでは残念ながら語れない。ただ耳につくような妙な癖や演出はなかったようである。
おなじことはアンコールのバッハの無伴奏でも言える。とにかくしみじみとゆったり聞かせる演奏であった。
20分の休憩後の後半はブラームスの1番。非常に重厚で分厚い曲なのであるが、松本の演奏はそれをどっしりと聞かせるよりはいささか軽めの音楽となっている。大フィルのサウンドも重厚な音の重なりよりも、躍動する旋律を聴かせるというタイプの音となっている。
ただこのホールの多目的ホールらしいややデッドな音響特性のせいもあって、やや音色がキンキンと硬めに聞こえてしまうことがかなり災いしている。ザ・シンフォニーホールのように反響過剰目のホールだと、鋭さが丸まってちょうど良いバランスになりそうに思うのだが。
終盤はかなりテンポを上げ気味にガンガンと捲ってきたという印象。この辺りはいかにも若い演奏というようにも感じられる。ただ私のような者にはそれはいささかせわしなく感じられ、もう少しどっしり構えても良かったのではという感が無きにしも非ず。
好みが分かれるタイプの演奏だったかもしれない。帰り道でもかなり興奮気味に「これは良かった」と言っているやや若めの観客もいた。私のようなジジイではなく、若向きの演奏なんだろうか。まあ躍動感を表に出しているタイプの演奏なので、そういうのが好きな向きにははまりそうにも思う。