夏の京都は灼熱地獄
さて先週より遠征再開と相成ったのであるが、この週末は京都に出向くことにした。目的は京都市響の定期演奏会。デ・フリーント指揮でモーツァルトのレクイエムという結構濃い内容。
家を出たのは土曜日の午前。今日はそんなにスケジュールがタイトではないのでややゆっくり目の出発。コンサートまでの予定は一か所だけ。嵐山の福田美術館に寄って万博展の後期を鑑賞するのが目的。阪急で嵐山まで移動するとそこから美術館へ。
それにしても暑い。もうとっくに盆を過ぎているのに焼けつくような暑さである。直射日光でおかしくなりそうので、最近の私はもっぱら日傘男子(ジジイ)。

この暑さのせいか、流石の嵐山も夏休み最終週末にもかかわらず人出はやや少なめである。これがまた秋の行楽シーズンにでもなったら馬鹿みたいに混雑するんだろうと思ったらいささかうんざりする。暑さでぼんやりとしながら美術館に到着する。

「万博・日本画繚乱 ー北斎、大観、そして翠石ー」福田美術館で9/28まで

明治時代、万博に出展した日本画家たちの作品を展示した展覧会の後期である。一部の作品に入れ替えがある。
葛飾北斎の作品や岸竹堂の龍虎、望月玉渓の鳳凰図などは前期でも展示のあった作品だが、なかなかにインパクトの強い作品。




後期展示の特徴としては横山大観の作品が多く加わったこと。いかにも大観らしく富士を描いた大型作品が目立つが、渋い秀作も展示。




また橋本雅邦、川合玉堂、上村松園らの名品も展示されている。



二階展示室はタイガー大橋コーナーとも言える状況だが、後期には二点がさらに加わった。迫力満点の「月下双虎之図」と応挙の影響が見られるという「猛虎之図」。さすがに大橋翠石らしい見事な虎の絵である。


そして第三展示室には万博時には既に日本画家としての評価を確立していたのに、大橋翠石の金賞に対して、自身は銅賞にとどまってしまったことに衝撃を受けるとともに、いたくプライドを傷つけられたらしき竹内栖鳳による執念ともいえる虎の絵。

福田美術館の見学を終えると、第二会場の嵯峨嵐山文華館も覗くことにする。しかしこの炎天下ではこの長いとは言い難い工程が非常に体力を削ってくる。

こちらも一部作品入れ替え。一階展示室には横山大観の「春夏秋冬」が加わっている。

二階の展示室には野沢如洋の躍動感あふれる馬の屏風絵が登場。また上村松園の人形遣いを描いた作品。



さらに下村観山や山元春挙の静かな作品も美しい。




そしてタイガー大橋は虎の絵のみならず、カンガルーに白熊、さらには狸とバリエーション豊かな作品が登場する。





決して両館共に大幅に展示入れ替えというわけでもなかったのであるが、それにも関わらずなかなかに楽しめる秀作が目白押しであった。それにやはり大橋翠石の虎の絵には圧倒されるものがある。
美術館の見学を終えたがこれだけで既にかなり疲れている。再びこの灼熱地獄の中に繰り出して行くには一準備必要そう。喫茶の方に移動すると「宇治金時(700円)」でクールダウンを行う。

それにしてもこの界隈にはありうべからざるまともな価格である。下手な店に入ったらこれで2000円以上は取られかねないのがこの界隈の異常な常識。何しろ私が以前にあまりにひどすぎて呆れた店にまで行列ができている始末。インバウンドの一見客が多すぎるせいで、本来淘汰されるべき店が淘汰されないという資本主義のイレギュラー状態。こんな状況だから当然目をつけて参入してくる中国資本なども多く、それがさらにインバウンド向けボッタクリに拍車をかける始末。
とりあえずクールダウンが終了したら、意を決して灼熱地獄の中に繰り出す。京福電鉄と地下鉄で北山まで移動だが、京福は単両編成だったせいで車内はごった返しの地獄の惨状。太秦天神川での地下鉄への乗り換え時に付近の店で昼食を考えていたが、さっきの喫茶で時間を取ったせいで余裕がなくなった上に、そもそも頭にあった店がなぜか閉店していたので結局は昼食を摂れずにホールに直行することに。

ホールに到着したのは開場後。今回のチケットは完売とのことで、場内は大勢の観客でごった返している。天才少女HIMARIがやはり世間の注目を集めているのだろう。
昼食を摂っていないのでやむなく喫茶で超高級サンドイッチとアイスコーヒーを頂く。しかしテーブルが空いていないのでカウンターの隅でコソコソとサンドイッチを腹に入れる状態。何となく惨めである。

京都市交響楽団 第703回定期演奏会

[指揮]ヤン・ヴィレム・デ・フリーント(京都市交響楽団首席客演指揮者)
[ヴァイオリン]HIMARI ★
[ソプラノ]石橋栄実 ◆
[メゾソプラノ]中島郁子 ◆
[テノール]山本康寛 ◆
[バス・バリトン]平野 和 ◆
[合唱]京響コーラス ◆
ドヴォルザーク:ロマンス ヘ短調 op.11★
ヴィエニャフスキ:ファウスト幻想曲 op.20★
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626◆
ソリストは日欧のコンクールを弱冠14歳にして総なめしたという天才少女HIMARI。今回の公演はチケット完売だというが、それもHIMARI人気によるものか(デ・フリーントの人気とは、先の公演での入りを見ると考えにくいし・・・)。なお今回はNHKのカメラが入っているが、いずれNスぺかプロフェッショナル辺りで特集でも組まれるんだろうか。
さてその天才少女の演奏だが、確かに堂々とした弾きっぷりには早くも巨匠の風格さえもある。とはいうものの音色の美しさはあるものの、やはり弱冠14歳では体力的にも制限があるだろう。その音色はやや繊細に過ぎて力強さはまだ少ない。また今回は曲調もあって、美しくはあるがいささか陰影に欠けるようなところが感じられた。まあこの辺りは彼女がこれから年齢を重ねて人間的に成長していくにつれて充実していく部分であると感じられる。未来の大器たる予感を抱かせるには十分である。
アンコールはイザイの無伴奏ソナタでテクニック的なものを聴かせてくれたが、あくまでテクニックをこちらに押し付けてくるタイプの演奏ではない。やはりまだまだ優等生的であまり突き抜けた感はないが、変なアピールや押し付けのない素直な演奏はむしろ好感が持てる。今後人間的成長に伴う表現力の向上が見られると、かなり期待できる才能であるといえるだろう。
後半はデ・フリーントによるモツレク。デ・フリーントは以前に読響での第九で、ピリオド演奏でありながら極めてロマンチックでドラマチックという演奏を聴かせたのであるが、今回もそのスタンスである。その演奏は極めて明快であり、その音色はシンプルでありながらも非常にシャープな変化を含むものである。
そのドラマチックさは「怒りの日」などに端的に現れている。音色は古典的で淡泊にもかかわらず、そこから繰り出される音楽は大スペクタクルとなっている。大スペクタクルと言えば近代オケの大編成でブンチャカやるのが通常だが、ヴェルレクならともかく、それだとモツレクではない。あくまでピリオドの「モーツァルトも聴いたかもしれない状況での大スペクタクル」というのが最大のポイントとなっている。この辺りはデ・フリーントの真骨頂とも言える。
またオケの構成を10-10-8-6-4の変形10型という比較的小型にしたことで、声楽部が正面に出てきて声楽協奏曲的な色彩を帯びている。独唱陣も実力者ぞろいであるので、その環境を生かして歌唱で魅了してくる。
京都市響も小規模編成で各人の技量を見せつけてくる。特にソロトロンボーンなどはその音色でかなり魅了してきた。全般的にオケの技量がハッキリと出ており、その辺りはデ・フリーントの誘導でもあるのだろう。
ただ全体のレベルがそのようにかなり上昇している故に、京響コーラスにももう1レベル上の表現力とまとまりを求めたくなるのが本音。決して京響コーラスにケチをつける意図はないが、正直なところこれが読響の第九で登場した新国立歌劇場合唱団だったらという無い物ねだりを思わずしてしまいそうになるのも事実。
コンサートを終えると今日の宿泊ホテルに移動することにする。今日宿泊するのは以前にも利用したことのあるルーマプラザ。男性専用のカプセルホテル付きのサウナである。
ホテルは祇園界隈にある。地下鉄で四条まで移動すると、夕食を摂る店を探しがてらキャリーを引きずりながら河原町方面までプラプラ散策。例によってこの界隈は店自体は多いのだが、相場が異様に高い。ここという店は大行列だしと、結局どこにも入れないまま河原町を通り過ぎてしまう。
南座のある界隈にまで到着。南座の出し物はルパン三世だとか。なんじゃこりゃと思うが、実際には歌舞伎は昔から赤穂事件を題材にして仮名手本忠臣蔵が誕生したりなど、実は世間の動向に敏感なので、ある意味では歌舞伎の原点にはかなっている。まあ石川五右衛門や銭形平次の子孫が登場する作品なので、ある意味ではONE PIECEなどよりは歌舞伎向きかもしれない。


間に合わせの夕食の後、祇園のサウナで宿泊
なんだかんだでルーマプラザに到着してしまう。もう面倒くさくなったので、ルーマプラザのビルの地下にあるスシローに入ってしまう。またも京都間に合わせ飯になってしまった・・・。

寿司を数皿にあさりのうどんを注文。しかしこれを食べていたら丸亀製麺に行きたくなってしまった・・・。




間に合わせ夕食を終えるとホテルにチェックイン。何はとりあえず入浴して汗を流したい。このホテルは階上にサウナや浴場がある。アルカリ泉の露天風呂でゆったりと汗を流す。ヌルヌルしたアルカリ泉が心地よい。これがこのサウナがいうところの男前の湯らしい。これで私の男っぷりもさらに磨かれるというもの。
入浴して汗を流すと、ネットブースなるワーキングスペースにPCを持ち込んで作業。流石に週末のサウナで仕事をしようという者はほとんどいないようで、ここにこもっているのは私だけ。とはいうものの、私も入浴を終えると疲れが出てきて全く頭が回らない。結局はおこもり時間の大半はKindleでコミックを見たり、ゲームをやったりで無為に過ごしてしまう。
ちなみに最近のネットワークゲームはとにかく課金誘導やCM挿入でウザい。私は最初の寺銭代わりのわずかな課金だけをする微課金派(今時のゲームはとにかく当初に数百円程度の課金をしないと、その後のゲーム進行が不可能ではないが異様に大変になる仕掛けがある)。


なんだかんだでぼんやりしているうちに夜も更けてくるので、お仕事セットをロッカーに押し込むと、カプセルに移動して就寝する。
この遠征の翌日の記事