徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

京都の秋音楽祭開幕コンサートに出向くと共に民藝美術を堪能

京都まで出向く

 この週末は京都方面に出向くことに。京都では「京都の秋音楽祭」に関連して京都市響のコンサートが開催されるのでそれに出向くことにした。この三連休はコンサートの予定3件に美術館を絡めるつもりである。

 出発は午前だが、出発直前にドタバタがあったせいで予定よりも遅い出発。京都山科に到着した時には当初の予定よりもかなり遅れていた。地下鉄に乗り換えてとりあえず最初の目的地である京セラ美術館を目指す。それにしても既に9月も半ばに差し掛かるというのに相変わらず暑い。

京セラ美術館に到着、この時点で汗だく

 

 

「民藝誕生100年-京都が紡いだ日常の美」京セラ美術館で12/7まで

 柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らが京都に結集し、日常に潜む美に注目して始めた芸術運動が「民藝」と呼ばれるものである。

 民藝が誕生したのは1925年、関東大震災で被災して京都に転居した柳が、ここで木喰仏について河井らと意気投合したのが始まりであるという。本展は最初にこの木喰仏が登場するが、正直なところ私の趣味とは言い難いが何となく愛嬌があって、非技巧的なところに自然な魅力を感じさせる像である。

木喰明満「葬頭河婆跏像」

木喰光満「十王坐像」

 次に登場するのが人間国宝である黒田辰秋による家具類の数々。素朴で実用性がありながら、装飾性にも優れるという民藝の精神に叶った作品である。奇をてらったり過剰装飾などによる芸術のための芸術にならず、あくまで正面には実用が出ているのがポイントである。なお黒田辰秋にいつては2024年12月に京都国立近代美術館で大規模な展覧会が開催されており(私はスケジュールの関係で未訪問だが)、そこで展示された作品の一部であると推測できる。

黒田辰秋「黒漆鞍掛」

黒田辰秋「螺鈿卍文蓋物」

朱漆の三面鏡及び円卓

 

 

 さらには博覧会の民藝館パビリオンとして出品された作品や、柳らが全国から蒐集した日常使いの工芸品などが展示。大津絵や唐津、沖縄の衣装など素朴な民芸品らの展示となる。

伊万里の壺

河井寛次郎「スリップウェア線文鉢」

大津絵

唐津の緑釉の鉢

沖縄の衣装

囲炉裏で使う自在鉤、このようなものにも美を見出していた

 次が個別の作家らの作品。富本憲吉は金ぴかの派手な器のイメージがあるが、ここで登場するのは白磁などの彼にしては比較的地味なもの。

富本憲吉「白磁八角壺」

どちらかと言えばこのような作品の方が富本憲吉らしく感じるが

 

 

 さらに河井寛次郎のいかにも彼らしい陶芸作品が登場。この後にさらに濱田庄司、バーナード・リーチ、芹沢銈介、棟方志功といったいかにもの面々のいかにも作品が並ぶが、この辺りは版権の関係か撮影不可。

河井寛次郎「白地草花絵扁壺」

河井寛次郎「鉄薬丸紋隅切鉢」

黒田辰秋「屋久杉棚」

 最後は彼らの理念に基づいて建てられた建物、河井寛次郎の自邸(現在は河井寛次郎記念館となっている)などの紹介があって終了である。確かに民藝の理念は建物と一体となってこそ完成するものであり、その方向に運動が向かうのは必然ともいえよう。なおこれらの建物は今でも多くが京都に現存しており、情緒ある建物で知られる料理屋「十二段家」などもそれに含まれるそうな。

向日庵について伝える当時の雑誌記事

現在の模様

このような品が使用されていたとか

 最後には河井寛次郎の次の世代に当たるという上田恒次の作品も登場。民藝の意識は今日にも残っているようである。

上田恒次「赤絵陶箱」

上田恒次「色絵大皿」

 民藝運動については河井寛次郎や芹沢銈介絡みなどで知ってはいたのだが、未だに私の頭の中には体系的なイメージは出来ていなかった。今回、本展によって初めて私の頭の中で民藝についての系統的なイメージを形成することができた。そういう意味では予想外に収穫があったと感じた展覧会である。

 

 

昼食は京都のおばんさい

 美術館の見学を終えたところでちょうど正午頃。コンサートの開演が14時からなのでその間に昼食を取る必要がある。どうも京都の昼食といえばここのところ抜きか間に合わせばかりだったので、今回は事前に下調べをしてきている。東山にある「卯sagiの一歩」に向かうことにする。

住宅の中の一角にひっそりと看板が出ている

 目的の店はいかにもの飲食店的な店構えはしておらず、普通の町家の中でひっそりと看板を出している模様。実際に店内も普通に町家を使用している模様。客は女性のグループか落ち着いたご夫婦というところなので、おっさん(もうほぼ爺さんだが)一人の私はやや浮いているか。いささかアウェイな空気を感じるが、カップルゾロゾロよりはまだマシか。

店の構造ではなく、明らかに普通の町家

 ランチメニューは数種類。私は「豚バラ大根(2500円)」を注文する。いわゆる京都的なおばんさいの店である。

 注文してから「もし京時間採用の店だったらやばいな」ということが頭を過る。普通に昼食を摂るには十分な時間を確保しているはずだが、京都にはたまにその想定を上回る雅な京時間で料理が出てくる店がたまにある。以前にそのような店に出くわして、美術館訪問前に立ち寄ったら美術館を見学する時間がなくなって(料理が出てきて食べ終わるまでに2時間近くを要した)予定変更したという経験がある。まあその時には料理自体はうまかったのがまだ救いではあるんだが・・・。

 なんてことが頭を過っていたが、無事に数分という常識的な時間で料理が出てきて安心する。まず豚バラ大根の大根から頂こうと思ったが、ここで驚いたのは大根がかなり固くて箸で切るのも難儀するレベルだったこと。しかしこれでは味が染みてないのではと思えば、味はしっかりついている。これには驚いた。大根らしい辛みやかすかな苦みも感じられてなかなか美味。おばんさい類が総じて味が良い。もっとも本来の伝統的京都味付けからみると、今時のやや濃いめに感じないでもないが。庭を眺めながらゆったりと摂るオシャレな贅沢ランチというところか。

庭を眺めながらゆったりといただく豚バラ大根

 まあ女性に受けるのはよく分かる。量も明らかに女性向き。今の私にはちょうど良いが、これが10年前なら間違いなく不足を感じ、20年前なら迷わず昼食をはしごしたろう。

 

 オシャレでやや贅沢なランチを堪能するとホールへ向かう。今回の公演は京都の秋音楽祭の開幕コンサートとのことだが、入場料が3000円というお祭り価格で安価なので(その上に京都市民には抽選で無料招待とかもある模様)、チケットは完売。私もチケット争奪戦に出遅れた(発売日の昼頃まで気づかなかった)せいで1階席の確保は断念、結局は毎度の3階席になってしまった次第。京都市響もだんだんとチケットの確保が難しくなりつつある。

京都コンサートホールには大勢の観客が押しかけた

 プログラムはエルガーのチェロ協奏曲とホルストの惑星というポピュラー曲とマニアック曲を組み合わせた内容。一応テーマはイギリスか。

 

 

「第29回 京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート」

いつもの三階席しか確保できなかった

[指揮]沼尻竜典
[チェロ]上村文乃
[管弦楽]京都市交響楽団

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
ホルスト:組曲『惑星』 作品32

 エルガーのチェロ協奏曲は、先にちょうど大阪フィルの神戸公演で聞いたところである。ただ上村の演奏はかなり表現力豊かであることを感じる。音色に振幅があり、かなり多様なニュアンスを含んだ濃厚な表情付けが行われている。

 ただそのことがこの曲の場合に最適であるかどうかは判断が難しいところ。私は個人的にはエルガーはその茫洋としたところが苦手であるので、このような表情付けはその茫洋さに拍車をかけている感があり、そういうところにエルガーの音楽の魅力を感じる者には良いだろうが、私のように最初からエルガーが苦手な者の場合は、茫漠たる音楽の荒野に案内なしで放り出された感があり、行方を見失ってしまったような感覚を受けた。これはあくまで好みの世界の話であり、決して上村の演奏が悪いわけではないのであるが・・・。

 後半はホルストの有名曲。沼尻のアプローチはややアップ目のテンポでサクサクと明快かつ簡潔な演奏という印象。決して無感情で淡泊なものではないが、かと言って過剰に濃厚な表情付けはしなかったように感じられた。トータルで言うと非常にわかりやすい演奏であると感じた。もっともいささかあっさり目の味付けだったので、これが広上とかだったらいかにもお祭りらしい虚仮脅しな演出も入っただろうななんてことが頭を過った。

 

 

 コンサートを終えるとホテルに移動だが、今日の宿泊は祇園なのでバスで河原町まで一気に行こうかと思ったが、ちょうどバスが出た直後で次は20分後。とても待っていられないので地下鉄で四条に移動してから、夕食を摂る店をプラプラと探しつつ向かうことにする。

 とはいうものの夕食を摂る店の目星は全くついていない。大丸のレストラン街に上ってみて看板を見渡す。正直なところ洋食の気分ではないしガッツリと中華を食う気分でも、ラーメンという気分でもない。で、眺めるとそば屋「よしむら」があるようなのでそばにすることにする。ちょうど夕方からの営業が17時からで今は5分前ほど。入店待ちの客が行列を作っているのでその最後尾につく。間もなく開店して順に問題なく入店。

大丸最上階の「よしむら」

 注文したのはとろろそばに親子丼をつけたもの(2000円)。ただここに来て、「よしむら」 という名前に覚えがあることに気づく。そう言えば、北山にあるそば屋が「よしむら」だったような・・・思わず「しまった」という言葉が口から出そうになる。北山からやってきて、わざわざ北山の店に入ったんでは意味不明である。

とろろそば

加えて親子丼

 出てきたそばを見て「ああ、やっぱりあのよしむらだ」と確信する。細めのそばがいかにも覚えがある。なお私の好みから言えば、もっと太めの武骨でいかにものそばの方が好きなので、ここのそばは実はやや好みからずれる。ただそんなことよりも今日は体調の悪さが想像以上だったようで、どうも食欲が今一つで正直なところそばがあまり美味くない。結局のところ丼はなんとか完食したが、そばは少し残した状態で店を出ることに。店が悪いわけではないのだが自分の体調が考慮に入ってなかった。これは失敗だ。

 

 

 大丸では「世界ふしぎ発見展」を開催するとかで仁君人形が立っている。仁君が実際にこの人形のモデルだった頃のように元気なら良いのだが、最近見かけた草野仁氏はめっきりと衰えていたから心配なところ。マッチョ草野もさすがにもう年か。そもそもこの番組、だんだんと出演者の高齢化が目立って近年では見ていて痛々しい感が強かった。

往年のマッチョ草野を連想させる仁君像

 とりあえず夕食を終えるとホテルまでキャリーを引きずりながらトボトボと歩く。今日の宿泊ホテルだが、以前にも利用したルーマプラザを確保している。どうも最近はカプセル率が増えてきている。それもこれもインバウンドの影響によるホテル価格の高騰が原因。私は参政党のような差別主義者とは違うので外国人は日本から出ていけなどという気はないが、さすがに京都とかは過剰なインバウンドによるインバウンド公害の対策も考えた方が良さそう。実際にここ最近は国内観光客が京都を避ける傾向が出てきているとか。もっともインバウンドの問題だけでなく、アホノミクスによる庶民貧困化の結果、観光なんてする余裕がなくなっていることもあるだろうが。

 それにしても暑い。8月の灼熱地獄という感じはなくなっているが、それでも気温としてはそこそこ高く、地味に体力を削られる感覚。ようやくホテルに着いた時にはヘトヘト。これはチェックイン前にクールダウンが必要そう。ホテルからさらに足を伸ばし、「茶寮都路里」に立ち寄ることにする。「都路里氷(1694円)」を注文する。

都路里のカフェに立ち寄る

 流石に美味い。価格がかなり高めなのと小豆がもう少し欲しいのが気になるところだが、氷の味自体が非常に美味いのは流石に都路里。そのおかげで小豆がやや少なめであることが気にならなくなってくる。

都路里氷は高いが流石に美味い

 

 

 これでサッパリとクールダウン。心なしか体調もやや戻った感じ。風邪を疑っていたのだが、もしかしたら単に暑気が体に入っただけだったのかもしれない。もっとも老化に伴う体力の衰えで、少しのことで体調を崩しやすくなっているので要注意である。特に来週は仕事の関係で体調を崩すわけにもいかないので。

ルーマプラザは今日も満室

 ホテルにチェックインすると、とりあえず荷物をロッカーに押し込んで管内着に着替えると最上階の風呂に直行する。体中が汗でベトベトなのでまずはそれを流す。そして信楽のアルカリ天然水を運んで沸かしているというルーマの湯に入浴(ローマなら分かるんだが、ルーマって何だろう?)。ヌルヌルした湯が心地よい。曰く男前の湯だそうなので、これで私の男っぷりをしっかりと上げておく。

 入浴をしたら後は疲れが一気に出てくるもの。当初予定ではこの後はインターネットブースにお籠りするつもりだったが、この状況だと椅子に座っているのがツライ。とりあえずカプセルに直行してゴロンと横になりながらタブレットで漫画でも読みつつ英気を養う。2,3時間後、ようやく活力が出てきたところで機材をまとめてネットブースにお籠りする。

カプセル階の一角にあるネットブース

仕事環境を構築してお籠り

 そのまま日付が変わる手前まで作業。眠気がこみ上げてきたところでカプセルに潜り込む。

 

 

この遠征の翌日の記事

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