徒然草枕

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関西フィル定期は久々のデュメイ節炸裂にフルネルの名演で盛り上がり

関西フィルの定期演奏会に出向く

 今日は関西フィルの定期演奏会である。今回は今や年に一度にまで減少してしまったデュメイの公演。デュメイも高齢化でここのところキャンセルが多かったので、本当に来日するかを危ぶんでいたが、現在のところ来日中止のアナウンスは出ていない。

 金曜日の仕事を早めに終えるとJRで大阪まで移動する。通い慣れた道という気もするが、それでも長時間の乗車は疲れる。福島に到着するとホールに向かうが、その途中で夕食。ここは何の工夫もなく「福島やまがそば」に入店、そばセットを注文という毎度のパターンである。

いつものやまがそばに入る

 写真を撮り忘れたが、まあ毎度の同じ内容なので別に必要なかろう。いわゆる天ぷらそばとおにぎりのセットになる。それがどうしたことか、今日はやけにそばが美味い。多分体調が影響してるんだろう。年齢のせいで最近は体調不良がデフォルト状態なので、食欲が低下しているのが常態化している。今日はどうやら結構腹が減っていたようだ。

 夕食を終えるとホールへ。それにしても日が沈むのが早くなって、6時になるともう真っ暗である。こういうのはどうも気分が沈むのが良くない。太陽エネルギーで稼働している華奢ーンとしては、お日様が見えないというのは心身の不調につながるところである。

 ホールに入場するととりあえず喫茶で一息。夕食が軽めであったのでサンドイッチで補う。場内は関西フィル定期にしては入りが多め。やはりデュメイ効果か? それにしてもデュメイの登板はかなり久しぶりである。

喫茶でサンドイッチをつまみながらマッタリ

 なおプログラムに来年度の内容が記載されているが、それによると11月がデュメイでシューマンとメンデルスゾーン、デュメイのヴァイオリン演奏もある模様。そして6月がクオクマンでショスタコの5番とのこと。後は藤岡が2回に、鈴木優人、スダーン、ロフェ、さらに新進気鋭の八嶋惠利奈、コバケンで第9、3月は高村によるドイツレクイエムとのこと。正直なところ可もなく不可もなくだが華もなくである。目玉が不在なように思われる。来年度は私の困窮ぶりもより一層悪化することが確定しており、これはいろいろと考える必要がありそう。

 開演時刻が迫ってきたところでシートの方に。流石にデュメイ登板を受けてか場内の入りは9割以上というところ。久しぶりに見るデュメイは髪をバッシリと整えている(髪の量が急に増えたように思えるが、もしかしてヅラか?)せいか、今までよりも遠目には若々しく見えた。足取りも以前に足を痛めた時のようなふらつき感がなくなっていたようである。

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第360回定期演奏会

最初は10型でその後は12型

[指揮]オーギュスタン・デュメイ(関西フィル名誉指揮者)
[ピアノ]ジョナタン・フルネル
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

モーツァルト:交響曲 第29番 イ長調 K.201
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a

 一曲目はモーツァルトの中期交響曲。編成が10-8-6は普通だが、ここでチェロが7というのが変則的(コントラバスは3)。この変則編成にはデュメイの意図が含まれているのだろうか。

 もう冒頭から「ああ、デュメイの音だ」と感じる演奏。しっとりねっとりとした弦楽陣の音色はまさにデュメイが鍛えた関フィルサウンドである。美しくしなやかでいてややクセがある。管楽器が最小限のために弦楽合奏曲のようにも聞こえる交響曲であるが、弦楽陣の音色だけで十二分に聞かせる。演奏自体はかなりロマンティック寄りで、無味乾燥な演奏になりがちなピリオドなどと対極で、思いっきり歌わせるタイプの演奏。自在に奏でるヴァイオリンを低弦が支える構造となっており、これがデュメイがチェロ陣を強化した理由かなどと納得する。さすがにデュメイである。なかなかに独特かつ魅力的な演奏を繰り広げてくれた。

 二曲目はフルネルをソリストに迎えてのベートーヴェンのピアノ協奏曲である。この曲は初っ端からかなり幻想的な雰囲気を漂わせるのだが、フルネルはそれを見事に甘美かつ抒情豊かに奏でる。この時点でなかなかやるなと感心したんだが、驚かされたのは第1楽章のカデンツァ。装飾音山盛りの華麗にして手数の多いアクロバチックな演奏を繰り広げたからである。こういうアクロバチックが得意なピアニストは往々にして技術先行で表現自体は浅くなりがちだが、アクロバチックな演奏と抒情溢れる表現力を両立させているのがフルネル。第2楽章などはゆったりめのテンポでしみじみと奏でるかと思えば、第3楽章になると一転してアクロバットそのものの演奏になる。この表現の幅の広さは圧巻。流石にデュメイはいつも半端ないソリストを引っ張ってくる。

 フルネルの演奏に場内は大盛り上がりである。デュメイに促されてのフルネルのアンコールはバッハ=ジロティ編の前奏曲という私の全く知らない曲。しかし非常に美しくて哀しげかつ甘美な曲で、まさに心に沁みるという印象。今回はフルネル劇場に完全に魅了された。

 休憩後の後半はブラームスのハイドンの主題による変奏曲というやや変化球。これにデュメイは、変奏のたびに表情を変えてくる多彩な小曲集のような演奏を持ってきた。まさに関西フィルの表現力に挑戦するかのような演奏。関西フィルの演奏は概ね良好であったのだが、贅沢を言えば切り替えがパシッと行かずにややのんべんだらりに感じられる部分があったので、この辺りにもっとメリハリが付けられれば完璧であったのだが。特に前半部分に比べて後半部分がやや一本調子になった感がある。

 場内はまずまずの盛り上がりで、久しぶりのデュメイ節を堪能した観客も少なくなかったと思われる。何度かのカーテンコールの後、デュメイが引っ込んだところでコンマスがこれで終わりとばかりに頭を下げて引き上げにかかったのだが、そこで突然にデュメイが「えっ、もう終わったの?」とばかりに舞台袖から顔をのぞかせて慌てて引っ込み、観客から笑いが起こるという一幕もあったのである。