徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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2025年度クラシックライブベスト5

 さて今年も年末恒例の本年度の年間ベストライブを選択することにします。私の方は順調に収入は減少中にもかかわらず、追い打ちをかけるように高市不況の直撃と高市円安による貧困化著しく、この秋の訪日外来オケも一流どころを中心にほとんどパスせざるを得ないことになってしまいました。ハッキリ言って「ベルリンフィルやウィーンフィルも聞いてないくせに、偉そうに何を評価するんだ?」という声が聞こえてきそうですが、元々「私的な」チョイスであることから貧乏くさい内容であることはご勘弁願います。今後、私が高額宝くじでも当選するか、何かの間違いでスポンサーが付くかでもしない限り、状況の劇的な改善は期待出来ないのがツラいところではあります。

 

 

ベストライブ

第5位
オッコ・カム指揮 山形交響楽団

 フィンランドのベテラン指揮者によるご当地シベリウスを、ご当地オケではないが北欧音楽に共感の強いオケが演奏することで、情感豊かな感動的音楽となった。オケと指揮者が一体となって盛り上げた交響曲第2番が極めて感動的であった。

 

第4位
シャルル・デュトワ指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団

 例によってデュトワが大阪フィルを駆使して圧倒的なパフォーマンスを披露してくれた。とにかくデュトワが振るだけで大阪フィルの音色が根本から変化する。極めて色彩的で煌びやかで艶っぽいラヴェルの音楽は圧巻であった。願わくはこれがデュトワの最後の大フィル公演にならないことをだが、N響復帰も果たしたデュトワとしては、これ以上大フィルにはもう義理はないんだろうか・・・。

 

第3位
ヴァレリー・ポリャンスキー指揮 NHK交響楽団

 ポリャンスキーが日本トップオケのN響を駆使して、十八番中の十八番のチャイコフスキーを披露。ポリャンスキーの統制の強さはN響相手でも発揮されており、N響がいきなりロシアのオケの音を出したのには驚いた。緊張感漲るチャイコの5番はまさにポリャンスキー節。例によってのピアニッシモの繊細さとフォルテッシモの迫力のダイナミックレンジの広さに圧倒される演奏であった。久しぶりに高次の音楽に胸を打たれた。

 

第2位
セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコフィルハーモニー管弦楽団

 今回は協奏曲がラヴェルでメインはチャイコという若干の変化球で来たが、さすがにチェコフィルの能力の高さを見せつけてくれた。複数の楽器が巨大な1つの楽器として聞こえるチェコフィルの驚異のアンサンブル力は相変わらず。ビシュコフとオケの意思疎通も阿吽の呼吸であり、ビシュコフがまさに自家薬籠中の物とばかりの圧巻のチャイコを披露してくれた。今回もチェコフィルは期待を裏切らなかった。

 

第1位
クラウス・マケラ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

 フィンランド若手の真打のマケラが、世界一流オケであるロイヤル・コンセルトヘボウの実力を遺憾なく引き出した名演。極端に抑えめのテンポは賛否両論があったようだが、それで弛緩してしまわないのはロイヤル・コンセルトヘボウのプロフェッショナルの力量と、それを計算の上で限界まで能力を引き出したマケラの実力。若くして既に鬼才の風格が漂っている。

 

番外
リオ・クオクマン指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団

 クオクマンのアーティスティック・パートナー就任のお披露目特別公演だが、ここで極めて色彩的な「シェエラザード」を披露して、クオクマンの実力だけでなく、関西フィルの今後の新たな可能性を見せてくれたことが印象深い。

 

 

 

ワーストライブ

 本年度のライブの中で不本意な結果であったものをリストする。なおあくまで私の中で残念度の高さに比例するので、必ずしも絶対的な演奏レベルとは比例しない。

第3位
久石譲指揮 日本センチュリー交響楽団

 決して悪い演奏ではないのだが、とにかくアクが強いのが久石の演奏。特に今回は40分足らずで終わってしまった超高速田園に度肝を抜かれてしまった。田園にはややダルさを感じる私としては、これはこれでありかもしれないが、流石にあまりに邪道だろうという気はする。

 

第2位
ダンカン・ウォード指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団

 イギリスの新進気鋭ウォードの指揮だが、どうにも下品な私には品が良すぎるというか不完全燃焼感が強い。特に「春の祭典」が野獣の叫びではなく、飼いならされた動物園の猛獣の叫びに聞こえてしまったのはどうにも不満。下品な私には紳士の国の指揮者は上品すぎて合わないか。そう言えば昨年度のワースト2位も、イギリスの新進気鋭のベイジェントだった。

 

第1位
マキシム・パスカル指揮 読売日本交響楽団

 冒頭から違和感全開で緊張感が全く感じられない第九が大いに疑問。その後もことごとく私の考えの逆ばかりをやるというタイプの演奏で、趣味が合わないのもかなり極まれりというところ。とにかく彼の指揮のために、私には読響や新国立歌劇場合唱団まで下手になったように聞こえてしまった。ここまで心に響かなかった第九は初めて。

 

 

 

総評

 予算不足の中からギリギリで捻出した来日一流オケのチェコフィルとロイヤル・コンセルトヘボウは、いずれも期待を超える名演でそれに関しては良かったというのがまず最初の本音。

 それ以外ではやはりポリャンスキーにデュトワとなる。彼らの特徴は自身に確固たる音楽スタイルがあり、どこのオケを振っても自らの音を引き出すということ。とにかくオケの音色を一変させるだけの力を持っている。

 第5位には北欧の巨匠と北の地方オケのコンビを。山形響は技術的には必ずしも高いと言い難い部分はあるのだが、毎回味わい深い音楽を披露してくれる。今回は山形響と北欧音楽との関わりあいも感じさせてくれた名演である。なお番外として、関西フィルの今後の新たな可能性を垣間見せてくれたクオクマンを挙げた。

 さてハズレの方であるが、久石については悪い演奏というよりも変な演奏。決して私的にはダメだと思っているわけではないが、流石に今回は邪道に過ぎたろうというところ。2位のウォードについては野性味の全く感じられない「春の祭典」は、流石に私にはあまりに退屈に過ぎた。ワースト1のパスカルについては、あまりにことごとく私の逆をやることから「わざとかよ!」と言いたくなったぐらい。あまりの違和感に途中で完全に気が抜けてしまった。実のところ演奏終了後に全く拍手する気にならなかったのはこの公演ぐらい。

 なお私の財政的困窮はさらに切実さを増しており、正直なところ大阪フィルや関西フィルの会員を維持できるかさえギリギリなところ。秋にはまた外来オケも来るだろうが、高市円暴落でよりチケットの高騰が予想されることから、相当に厳しい状況になるのは確実。また多くの涙を呑まざるを得なくなるだろう。かなりストレスである。

 

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