関西フィル定期に出向く
この週末は関西フィルの定期演奏会に出向くことにした。当初予定では京都で一泊して、翌日は京響の定期演奏会というものだったのだが、なんとチケット発売日を忘れていて気がついたのは発売日の夜。その時点では最近人気の京響のしかも人気の沖澤の公演ということでチケット完売、諦めざるを得なくなったのである。
ただ既に大分前にホテルは手配しているし、京都方面の美術館を回る予定も組んでいた。そこで京都行きはそのまま実行して、二日目は京都の美術館だけを回ってくる予定に組み替えた。
木曜日の仕事を早めに終えると大阪に向かう。今週は正直なところ体調がガタガタ。特にメンタル面がかなりやばく、仕事にも集中力が欠けてミスは出るし能率も上がらないという状況。それにも関わらずこんな時に限って大事な外との会議があって資料まとめの必要があったりなどでてんやわんや、今週は4日しかないにも関わらず異常に疲れてしまった。こういう時にはやはり良質の音楽で心を癒やしたいところ(実際にこれがなかったら私はとっくの昔にメンタルが崩壊していたと思う)。
大阪に到着すると福島へ。さて夕食だが、このパターンだと今までは圧倒的に「やまがそば」なんだが、今日はお昼がそばだったせいもあってそばを食べる気分でない。しかも日本そばに餃子というメニュー(滅茶苦茶な組み合わせだが)だったので中華もなし。そこで久しぶりに「上等カレー」に立ち寄ることにする。注文したのはとんかつカレー(1000円)。

口当たりが甘口だが、後でピリピリとくるというパターンのカレーである。またここのカレーは不思議と玉子が合うのが特徴。私は元々はカレーに玉子は邪道と考える人間だったんだが、ここのカレーを食べたことで「場合によってはあり」に変わった。明らかに口当たりがまろやかになってコクが増す。

夕食を終えるとホールへ。どうもまだ少し早すぎたか、しばし開場時刻まで待つことになる。18時になるとゾロゾロ入場、例によって喫茶に直行して堕落タイムを送ることにする。

今日は高関によるブルックナーの8番。ブルックナーといえば何版を用いるかというのが話題になるところだが、今回はノヴァーク版を元にして2025年にホークショー教授が校訂した第2稿の「最初の試演」だそうだ。高関は既にこの曲のホークショー教授による第1稿を2024年に東京シティフィルと演奏済みで、この時に自筆資料などとの比較によって記載の違いなどを発見、ホークショー教授に質問を送って以降、数度に渡ってメールのやり取りがあったという。その時に未完の第2稿がほぼ完成していることを伝えられ、今回「出版前の試演」を申し出たところ快諾されたのだという。この辺り、いかにも研究者としての側面の強い高関らしい話である。
関西フィルは14型4管の増強編成。3台のハープとホルンの後ろにずらりと並ぶ4人のワーグナーチューバが特徴的な編成として目立つ。場内の入りは9割方は入っていて関西フィルにしてはまずまずの入り。マニアックな曲ではあるが、それだけにマニアックな聴衆も集まったと推測できる。
関西フィルハーモニー管弦楽団 第362回定期演奏会

指揮:高関 健
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 〔第2稿(1890年)・新全集ポール・ホークショー校訂版(2025年)〕(※最初の試演)
まず最初に私はブルックナーがあまり得意でないことを述べておく。だからホークショー版と言われても通常のノヴァーク版とどこが違うかを指摘するなんて不可能だし、そもそもメリハリの弱い演奏だと、ブルックナーの魔のアダージョで意識を失ってしまうなんてこともしょっちゅうであることを白状しておく。
結果から言うと、その私が最後まで結構退屈することなく聴き通せたということが、まずは評価の基本だともいえる。トラによる大幅増量によって通常の関フィルサウンドと違ってややにぎやかさを増したオケを、高関はかなりの緊張感を持ってドライブしている。
先にも述べたように、指揮者の中でも高関はかなり研究者としての性格の強い指揮者である。それだけにいわゆる感情先行ではない理知的な演奏をする。今回も増強版関西フィルからどっしりとした低重心のサウンドを引き出し、決して焦らない非常にじっくりしたスケール大きなブルックナーを展開している。
その演奏が深い音楽理解に根差していることは言うまでもないが、往々にしてそのタイプが陥る無機質で機械的な演奏に高関は陥ることはない。ここ一番になると大きな感情のうねりを現すなど、感情の渦に溺れることはないが、感情の表現を抑えているわけではない。そのバランスが実に絶妙で安定感がある。
増強関西フィルもいつもの編成のような緻密さは若干欠けている感はあったが、破綻なくまとめてグイグイと重厚なサウンドを聞かせていた。その一方で躍動感もあり、結果としてなかなかに聞きごたえのあるブルックナーとなっている。
終了後の盛り上がりはなかなかのもの。関西フィルの公演でこれだけ声が飛ぶのは珍しい。押しかけたブルックナーファンが納得した証拠であろう。
京都の定宿で宿泊する
コンサートを終えると今日の宿泊ホテルに向かう。今日の宿泊は明日に備えて京都。となったらいつもの定宿京都ユニバーサルホテル烏丸である。JRと地下鉄を乗り継いで移動。今日は80分曲一曲プログラムで終演がやや早かったので、いつもよりはホテル到着が若干早い。部屋はいつものようにシングル禁煙ルームである。

さっさと仕事環境を構築してから一休みすると、とりあえずは大浴場で入浴。今日は先日よりは寒さがマシなのと、今回の部屋はエレベータから近いので、ここのようにほとんど屋外廊下になっているホテルでは移動が助かる。大浴場で引きつりかけている足を中心に良くほぐしておく。
部屋に戻ってくると寝るまでの間に原稿執筆である。こうしてこの夜は更けていく。