徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

「豊臣兄弟!」第12話「小谷城の再会」

信長と微妙な思惑の違いを感じ始める名君義昭

 信長は義昭のために二条御所を三か月で建造、天下人の石まで運び込ませてこれで義昭の権威を天下に知らしめる・・・などと言っているが、その本音は義昭でなくて自分の権威を見せつけているということを、名君義昭はしっかりと理解している。しかも二条御所は義昭の動向を監視するための抜け穴だらけという特殊仕様。信長の自分を傀儡にしようとしている意図を十二分に理解したうえで、今は力で反抗しても無駄だから、周りが信長に対して不満を感じ出すのを待とうと光秀に告げる名君義昭。ホントにこの作品の義昭ってかなり優秀な描き方をされていて、今までのバカ殿のイメージを一新しているな。まあこの作品、全体的に登場人物が全て美化される傾向はあるが、それにしてもこの義昭像が一番の驚きである。で、名君義昭は既に信長の意図と自分の目指すところにズレがあるのを分かったうえで、今は雌伏の時という深謀遠慮。

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京都奉行として振り回される秀吉

 一方の秀吉は信長から京都奉行の大役を与えられて奮闘。しかし寺社との評定では「毅然とした態度が大事なので、自分の真似をしろ」と大見え切った丹羽長秀はさっさと逃げ出してしまう始末。どこの会社でもいる大事なところになったら頼りにならない先輩そのもの。まあ丹羽長秀は本能寺の変の時でも一番近くにいながら何もできず、結果として秀吉の下風に立ってしまうようになる人物なので、まあこの描き方もありだな。

 僧達には散々な恫喝(完全にクレーマー状態)をされ、挙げ句が公家の対応では成り上がり者の悲しさで、和歌を詠んだらあまりの稚拙さに失笑を買うし、毛鞠をやったらボコボコにされるしとかなり悲惨な有様。そこを万事にそつがない光秀にフォローされる始末。やはり元々の教養の差が露骨に出る。

 ここで光秀は義昭からの「あの二人を引き抜けないか」の命を受けて、秀吉にかまをかけてみるが、秀吉が完全に信長に心酔してしまっている様を見て無理だと判断した模様。ここで光秀の自分語り。牢人になって食うにも苦労していた頃に義昭に出会い、義昭にこの出会いも運命と言われた時に義昭に付いていく決心をしたという。どうも光秀も義昭に心酔している模様・・・しかしそれならなんで信長に乗り換えるんだ? という話になるが、それはこれからの展開だろう。どうも本作は光秀の本能寺の変の動機は、将軍黒幕説をとるんじゃないかってのが何となく感じられるな。「麒麟がくる」では巷で言われている諸説をフルコンプしていたのには驚かされたが。

 

 

小谷城でお市に再会する豊臣兄弟

 で、ストレスフルな生活をしている秀吉となれば、女遊びの悪癖がムクムクと湧いてくる。というわけで無理矢理小一郎を連れていわゆる風俗店へ。その頃、岐阜では寧々とまつがなぜかマウント合戦をしている。通説では寧々とまつは友人ということになっているのだが、どうも本作での関係性はかなり微妙で、いかにも現代的な表現になっている。タワマンで旦那の出世を競い合っている奥方という雰囲気である。ここで秀吉の女癖の悪さをあげつらわれる寧々。まさかそんなことは・・・と思おうとする一方で、不安は尽きない。で、実際にはこの頃に秀吉は強引に小一郎を連れ出してドンチャン騒ぎしているというギャグ展開になるのだが・・・。

 そしてお姉ちゃんと一晩楽しんで爆睡していた秀吉はいきなり乗り込んできた信長に連行される(こんなこと実際にはあり得んわな)。信長は小谷城を訪問することにしたが、かなりしばらく放置されていたブラコンのお市がへそを曲げているのが確実だから、その気をほぐすには猿兄弟を連れて行くのが一番と判断したらしい。本作の秀吉はなぜかお市と親密な関係なんだよな・・・この辺りが本作が「登場人物を基本的にかなり美化する」の最たるもので、歴史的にはお市は成り上がり者(しかもブサ面)の秀吉を嫌っていたと言われている。まあ実際に後に秀吉の元でなくて勝家の元に行っているし、秀吉に対してあまり良いように思っていなかったのは多分間違いないんだよな・・・。ここで秀吉は赤子の茶々と初体面するという展開にしている。女癖の悪い秀吉は、既にこの時点で茶々にロックオンしていたのではなんて声もある(笑)。まあ秀吉の女癖の悪さは、イエズス会の宣教師に「異常」と記述されているぐらいだから。

 お市はすっかりイケメン長政に惚れ込んで浅井の人間として生きていこうという気持ちを固めている。しかしそこに暗雲が・・・。元々織田との同盟に反対の立場の父久政が朝倉氏の朝倉景鏡と密談中。そこに信長が乗り込んでくるという一触即発の事態に。このシーンだけで織田と朝倉の板挟みに合う長政という微妙な立場を表現している。さらに後の悲劇の伏線というわけではある。で、暗殺の危険を感じた信長は猿兄弟を引き連れて早々に岐阜に引き上げるという展開。

 

 

秀吉の女癖に翻弄される寧々と、ここで登場する小一郎の正室

 岐阜に戻ってきた秀吉を待っていたのは怒りの形相の寧々。要は京都での秀吉の乱行が前田利家→まつ→寧々のルートでバレてしまったらしい。毒を飲んで死ぬとまで騒ぐ寧々に秀吉は「二度としません」と土下座。結局なんだかんだで収まるんだが、秀吉の誓いなんて三日も持たずに破られる。なんせ二度や三度で済まないので。実際に寧々が信長に宛てて秀吉の女癖の悪さを訴えた書状まで残っているらしいから、彼女は生涯これに苦しめられることになる。それはともかくとして、やっぱりこの辺りのやり取りって完全に現代劇になっているんだよな・・・。なお寧々は「私は子供を産めないみたいだから、本当に良い女性が現れたらその時は仕方ない」というようなことを言っていたが、この辺りは一応戦国の女性という設定が反映か。まあ後に茶々が登場することに対する伏線なんだろうが。ちなみにこの時代は子供が出来なかったら一方的に女性の責任にされていたが、実際にはどう考えても秀吉に欠陥があったのは確実ですから(秀頼は秀吉の子ではないというのは現代の常識だし、当時でさえそう思われていたようだし)。

 そして直の墓参りをしていた小一郎はそこで謎の美女を見かける。何やら意味ありげなんだが、小一郎のこの反応はもしかして一目惚れか? と思っていたら、信長から嫁を取るように言われて現れたのが、先ほどの美女。西美濃三人衆の一人安藤守就の娘だと言っている。彼女が歴史上に秀長の正室として残っている智雲院こと慶のようで。歴史に登場する女性の常で彼女も記録がほとんど残っておらず、その出身から結婚した時期までほとんど不明の模様。それだけに創作の余地が大きい。本作では何やら裏がありそうな登場である。で、ここで吉岡里帆登場ですか。彼女ってそのタレ目が特徴なんですが、本作ではかなりメイクが濃くて、アイラインをしっかり描きすぎているせいで目の形が違って見えて、ぱっと見では誰が分からなかった(笑)。それにしても秀吉の妻が浜辺美波で、秀長の妻が吉岡里帆か・・・圧倒的ではないか、豊臣の女性陣は。

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