徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

「豊臣兄弟!」第14話「絶体絶命!」

大混乱で暴走するツンデレ信長をあり得ぬ方法で諫める藤吉郎

 浅井長政のまさかの裏切りで窮地に追い込まれる織田軍の面々。しかし信長は勝家からの報告に納得がいかない模様。本作の信長はツンデレ属性が強いが、長政には完全にデレてしまっていたので、なかなかそこから切り替えが出来ない模様。また勝家の報告だけでなく、合わせて市から例の「袋のネズミ」の小豆袋が送られてくるが(送っとったんかい!)、その意味について半兵衛がわざわざ読み解いてくれているのに、それにも耳を貸さず「お市がこんなものを送れること自体が長政が裏切っていない証拠」などと言っている始末。デレ長さんはなかなか現実を受け入れられないようで。しかし小一郎が市からの白紙の文を見つけて、それを「何も書けないお市様の苦悩そのもの」と読み解いた途端、なぜか小一郎の言葉だけは聞く信長はようやく現実を受け入れる。

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 しかしそうなったら今度は可愛さ余って憎さ百倍で、このまま小谷城を攻めて長政を討ち取るなどと言い始める。これは朝倉軍との挟み撃ち確実で命が危ないが、信長は「刺し違えてでも」とまで言い始める状況。必死でいさめる家臣をどなりつけ、光秀に至っては足蹴にして「公方の飼い犬ごときが指図をするな」と暴言を投げつける始末(いよいよもって光秀が信長になびく理由がなさそうになったんだが・・・)。で、ここで飛び出すのが藤吉郎で、いきなり自分の足を刀で刺すと「うっかり傷を負ってしまってすばやく動くことが出来なくなったので、自分がここに残ります」と殿を志願する。で、これでようやく信長も正気になってようやく撤退を決断する・・・という展開。

 

 

ちょっとあり得ない展開が多すぎる

 いやいやこれはファンタジーが過ぎるだろ。まあ主役連中の上げを狙ったんだろうが、小一郎の話だけは聞く信長とか、藤吉郎が自ら足を刺すとか(殿ならまさに逃げ足が最重要なのに、それを自らケガしてどうする)、「あり得ねぇ!!」とか叫びたくなる展開が多すぎ。流石に「ファンタジーの極致」と歴史ファンから酷評を浴びた(逆に女優の熱演で歴史なんてどうでも良いと考えている層からは絶賛されたらしいが)という「どうする家康」のあずきマラソンはやらなかったようだが。

 それにしても殿に加わったという説もある家康は「当家の秘伝の薬だ」と言ってかゆみ止めを渡しただけでさっさと逃げ出すし、これは殿に参加したと記録のある明智光秀もさっさと逃げ出している。なお家康は「傷薬」と言っておらず、「これを塗ったら痛みが和らぐ」と言っていたので、かゆみ止めがいくらか気休めになる可能性は無きにしも非ず・・・。それにしてもこの作品の家康って、裏表のある底意地の悪さを感じさせるボケ役という微妙な位置づけである。

 

 

必死の足止め工作・・・にしても緊迫感は皆無

 とりあえず二刻を稼げと言われた藤吉郎たち。ここで「竹中半兵衛の脳筋(主にツンデレハニーちゃん)でも分かる戦術講座」が始まる。要は要所要所に伏兵やトラップを仕掛けて全力で足止め工作をするということで、前回に半兵衛が地図を記録していたのが伏線として回収されるという次第。実は半兵衛はこの可能性まで考えていたという智謀の深さを示していることになる。もっとも常に一人で独断専行の半兵衛に小一郎は「もっと報連相をしろ」とブチ切れていたが。なぜかこんな時に「楽しいおさるファミリー」の兄弟漫才。

 藤吉郎達は「酒壺に見せかけた火薬壺」なんかのあり得ないトラップ(普通こんなものにひっかかるか?)などを駆使してボロボロになりながら徹底した時間稼ぎ。緊迫の戦闘シーンのはずなんだが、合間に藤吉郎と小一郎の漫才が入ったり、なかの指の棘で大騒ぎしている間抜けな木下ファミリーの話が挿入されるなどイマイチ話が深刻にならないのは、重たい話を嫌う今時の若者を意識したか? もっともそんな小細工しても最初から若者は大河は相手にしないし、従来の大河ファンは「軽すぎる」とそっぽむく可能性が強いのであるが・・・。なおどさくさ紛れに、咳込む半兵衛という後に病気で早逝する伏線はしっかりと張ってはいたが。

 そしてボロボロになりつつもようやくもう少しというところまで来た藤吉郎達の前に現れるのが浅井軍・・・どころが長政本人登場・・・ありえねぁ!!どこまでファンタジーやねん!! そして鉄砲隊に狙いを付けられていよいよ万事休すというところで、突然に倒れる浅井の鉄砲隊、そこに現れたのは浅井を押しとどめるために殿を命じられたという光秀・・・一応光秀も殿に参加しているという辻褄は合わせたんだが、あまりにファンタジーとご都合主義が多すぎてこれは絶句。おいおい、どこのヒーローアニメやねん!!

 

 

いよいよ牙をむきだした将軍義昭

 一方、京では信長が挟み撃ちに合ったとの報に「よっしゃあ!チャンス到来!」と将軍義昭が浅井や朝倉に信長討伐を命じる文をしたためていた。しかしそこにボロボロになった信長が現れる。信長のあまりのボロボロぶりに、義昭は思わず「生きて帰ってくると信じておった」などと心にもないことを言っているが、心の底では舌打ちしているのは明らか。しかし信長のタイプの男があからさまに惨めなボロボロの姿で将軍の前に出るか? いくら逃げ帰ってきたと言っても、身なりぐらいは整えてから将軍の前に現れると思うのだが・・・。その後の藤吉郎達を迎える宴席ではしっかり着替えてるし・・・。

 で、命を懸けて信長を守った藤吉郎達に、彼らを引き抜くのは無理と判断した義昭は、逆に光秀に信長の家臣となってスパイをしろと命じる。こう来たか。どう考えても光秀が信長になびく理由がないという描写ばかりを重ねていたが、本作では本能寺の変は将軍黒幕説を取るというのがこれで確定か。

 

 うーん、ドラマとしての演出は分かるのだが、昨今の大河らしいファンタジーが強くなりすぎて、正直ドン引きする展開が増えてきたな・・・。本作は久しぶりに見る気になったのだが、あまりこの調子でファンタジー重ねすぎたら、そのうちに落ちるかも。流石にここまで軽すぎる金ヶ崎の退き口は歴史ドラマとしてはどうだろうという疑問もあるし。

 

 

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