徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

関西4オケは想定外の名演でかなり盛上がった

4オケ祭りのために急遽前泊

 この週末は関西4オケに出向く予定でチケットを確保していた。しかし金曜日に急遽大阪方面の出張に出向く必要が出来たことから、金曜の夜は自腹で大阪に宿泊することに相成った。

 金曜日の仕事を終えるとホテルに向かう。急遽確保したのはホテル中央オアシス。トイレ・風呂セパレートの個室のある、新今宮では高級グレードに属するホテル(星野リゾートなどは最初から考慮にも入れていない)。週末は宿泊料が高騰するせいでなかなか利用できないでいたが、平日出張などの場合は宿泊料が妥当であることから利用することが度々ある。もっとも一つだけ難点は、場所が場所だけにスーツを着てウロウロしていたら、何となく周囲から浮くことである。

室内に直ちに仕事環境を構築する

 部屋に入るととりあえず勢いで仕事環境の構築をするが、そのまま原稿執筆をするだけの余裕がなく、しばし休息。ここのところ体調不良が著しい(先週末の遠征記事の公開がかなり遅れたのはこれが理由)のだが、そのせいか今日は出張先で普通に仕事をしただけなのに妙に疲労がキツい。

 ただいつまでも部屋でボーっとしていたら夕食を摂る店が閉まってしまうので、19時を超えたころに慌てて出かける。新世界まで繰り出す元気もなければ串カツを食う気もないので、結局はいつもの「らいらいけん」を訪問して「日替わり定食(850円)」を注文する。

いつもの「らいらいけん」を訪問する

 小鉢は冷ややっこをつける。おかずはエビ玉と豚天。体調が悪いせいかいつもよりも味が濃い目に感じる。相当に胃腸がへばっている模様。実際にホテルに着いたときにウェルカムコーヒーを頂いたら、刺激が強すぎたのか腹も壊しているし散々である。

小鉢は冷ややっこを

メインが到着

みそ汁は少し遅れた

 夕食を腹に入れるとファミマに立ち寄ってからホテルに戻る。そう言えば一番近くにあったファミマがつい最近に閉店したので、遠くまで足を伸ばさないといけなくなっている。コンビニも過当競争の模様。それにアホノミクスの結果としての貧困化が進んだ今の庶民には、最早コンビニさえも贅沢になってきているのだろう。そういう時の庶民の味方スーパー玉出も新今宮にはあるのだが、このホテルからは少々遠いのでそこまで足を伸ばす気力はない。

 ホテルに戻ってくると風呂に湯を張って入浴。これのためのトイレ・風呂セパレート部屋なんだから、ゆったりとくつろぐことにする。

 風呂で体を温めると少し血の巡りが良くなってきたので、ようやく執筆作業に入る。とはいうもののあまり本調子ではない。とりあえず作成しておく必要のある記事だけなんとか作成して就寝することにする。

 

 

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 翌朝は7時半に目覚ましで起床。しかし朝から体が重くて調子が悪いのは明確。とりあえず体を動かすためにシャワーで体温を上げ、そのまま朝食に繰り出すことにする。

 朝からガッツリと食べれる状況ではないので、久しぶりに近所の「神戸屋ウーピー」を訪問してモーニング(500円)を頂く。

久しぶりの訪問の「神戸屋ウーピー」

 トーストにゆで卵とフルーツ、それにコーヒーというシンプルな内容だが、今の体調だとこのぐらいが限界。気になるのはコーヒーで腹を壊さないかだが、そう刺激の強いタイプではなさそうなので何とかなるか。

ワンコインモーニング

 さて今日の予定だが、とりあえずメインの関西4オケはフェスティバルホールで14時から。それまでに美術館を2か所回る予定。

 

 

 最初はハルカス美術館の「古代エジプト展」。私の経験による混雑する展覧会の法則「エジプト、浮世絵、印象派」から考えると混雑が予想され、実際に展覧会HPにもその旨の記載(券売所に行列が出来ることがあるので、事前にネットなどで入場券を手配してください)があることから、10時の開場時刻の前に到着するようにホテルを早めにチェックアウトする。

 天王寺駅で地下鉄を降りると、既にハルカスのエレベータに今まで見たことのないような大人数がゾロゾロと乗り込んでいる状態。もろに嫌な予感がするが、会場に到着すると予感的中で既に大行列。どうやら混雑緩和に開場予定時刻よりも前に開場した模様で、既に改札制限をかけた状況で順次入場中。私はしばし待たされて会場に入場したのは10時ちょうどぐらい。

入り口前で行列に並ぶ

 会場内は大混雑である。第一会場の滞留がひどく、これが第一会場だけ撮影禁止になっている理由の模様(エジプト関係の遺物はまさかファラオが著作権を主張したりしないので)。場内には「自由な順序で鑑賞ください」の札を持った係員が巡回している。その意味を察して第一会場は一旦スルーして第二会場以降に向かう。

私が訪れた時の第三会場はこの様子

 私の読み通り第二会場から急激に観客が減り、第三会場に至ってはガラガラの自由に撮影し放題の好環境であった。もっともこれも早期入場者ボーナスであり、30分も経過したらかなり人が増えてくる。とりあえず私は第二会場、第三会場を見学してから第一会場に舞い戻るルートで見学することに。展覧会の見学というものは、常に二手、三手先を読んで行う必要があるのである。

しかし30分後にはこうなる

 

 

「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」ハルカス美術館で6/14まで

 ブルックリン博物館が所蔵する古代エジプトコレクションから、古代エジプト文明を物語る秀品を展示。

 エジプトの巨大ピラミッドはかつては奴隷を使役して建築されたと考えられていた。しかし近年の研究では、労働者に賃金(貨幣制度がなかったので、ビールやパンなどの現物支給)を支払って公共事業としてなされていたということが分かってきた。第1会場はそのようなエジプトの民の生活を示す様々な品々が展示。

 石像の類いがかなり写実的なのに驚く、それに対して壁画の方は例の顔は横向き胸は正面を向いて、下半身は横を向くというチグハグな描き方がされるのが特徴。これについては、エジプトでは絵画は目に映るものをそのまま描くのでなく、それぞれもっとも特徴が現れているものを描くものとされていたのだとか。どうやら古代エジプトでは紀元前に既にキュビズムの思想に至っていたようである。

ラメセス2世の石碑、絵画になると体がねじれたような描写になる

 第二会場は「ファラオの実像を解明せよ」と銘打って、ファラオの姿を現した像、レリーフなどが展示されている。1つ高官の彩色木像があり、それを見たら古代エジプトは黒人系の国であったことが分かったりするのが興味深い。もっともかなり地中海系との混血が進行していたとのことだが。

王の頭部

高官の彩色木像

神殿の模型

アーモンド形の目が特徴的

 

 

 第三会場は「死後の世界の門をたたけ」とあり、いわゆるミイラに関する展示。凝った木棺や石棺が展示されている。またミイラの作り方を解説したアニメなども公開。それによると鼻から脳を掻き出した後、左脇を切って内臓を取り出して専用のカノプス壺に入れて保存、体は傷口を縫い合わせた後に塩漬けにしてしばし放置、その後に油で磨いて布でくるむのだという。かなり手間がかかっているのは間違いなく、対象は一部の権力者や富裕層などに限られたという。なお内臓は大事に取り出すのに、脳は掻き出してしまうのは脳が臓器として重視されていなかったことを感じる。もっとも脳をキチンと取り出そうとすると、頭を割る必要があるのでそれはまずかったのだろう(頭蓋骨があるから作業が困難である上に、顔などを傷つけてしまうことになる)。

ミイラの木棺

ミイラ、顔の部分には肖像画が付けられている

 また副葬品や神像などの彫刻も併せて展示される。エジプトでは動物神がほとんどなので、結果としてはかなりリアルな動物像ということになる。なかなかにエジプト文明を堪能したのである。

スカラベ

護符などの類

副葬品の数々

猫のミイラと木棺

イシス女神とオシリス神の小像

 最近は老化に伴う記憶力の低下に悩まされている私だが、本展を見ていると「猫はパステト神、はやぶさはホルス神、ジャッカルだからミイラ製造の神のアヌビスだな」と専門用語がスラスラと頭に浮かぶのに驚き。そう言えば私もなんだかんだでエジプト関係の展覧会はのべ二桁ぐらいは訪問しているか。かなり刷り込まれたようだ。

私が会場を出た時にもこの混雑

 ちなみに次回展ももろに先の混雑の法則に合致している上に、キラーネームのゴッホの上に誰もが知っている名画「アルルの跳ね橋」というキラーコンテンツを看板にかざしていることから、これもかなりの危険が予測される。今から戦略を練っておく必要がありそう。ちなみに今年の大阪はさらに「フェルメールの真珠の耳飾りの少女」というこれまたキラーコンテンツを看板にした展覧会の予定もある。

次回展もかなり混みそう

 

 

昼食はフェスティバルゲート地下の洋食店で

 美術館の見学を終えるとホールのある肥後橋に移動。次は中之島美術館の予定だが、既に11時半、不調な胃腸もようゆく動き始めた様子があることから、混雑する前に先に昼食にする。立ち寄ったのは久しぶりにフェスティバルゲート地下の「キッチンジロー」。2品選べるランチセットで、ハンバーグとホタテのクリームコロッケを指定。このランチも数年前は1000円だったのだが、今ではアホノミクス効果のせいで1300円である。

フェスティバルゲート地下のキッチンジロー

 まあ可もなく不可もなくの内容だが、昨日のらいらいけんと同様にやや塩っぱめに感じてしまう。やはり体調がかなり良くない。

今日に限ってどうもしょっぱく感じる

 昼食を終えると美術館に向かう。見学するのは「高島野十郎展」。なお「たかしま やじゅうろう」であって、「たかの じゅうろう」ではない(私は間違っていた)。ちなみにpomeraの変換では「高島屋 十郎」になってしまった。

 なお森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわの展覧会が近々ここであるらしいが、森村泰昌のコスプレはキモくて嫌いだし、ヤノベケンジのフィギュアは飽きたし、やなぎみわに至ってはそもそも最初から面白いと感じたことがないしなので、この展覧会はパスする予定。

左側の展覧会は興味が湧かない

 

 

「没後50年 髙島野十郎展」中之島美術館で6/21まで

 

 「蝋燭」や「月」などの作品で知られる福岡出身の洋画家・高島野十郎の大回顧展。

 高島野十郎は独学で絵を学び、美術団体などに所属せず生涯独身で一貫して自分の絵画を追究したという。最初に展示されている自画像などから、その徹底した写実の技法から彼の絵画の特徴を、そこに描かれた風貌からやや偏屈でコミュ障気味の人格が読み取れる。

大正9年の自画像

 本展では彼の特徴とも言える蝋燭の作品に加え、月の作品、からすうりの作品など代表的な作品が網羅されている。

有名な蝋燭の一作

太陽

これも良く用いられたモチーフの「からすうり」

 孤高の画家と言われた野十郎であるが、ゴッホなどの影響は受けたという(写実を目指していた画家がなぜゴッホなんだろう?)。実際にゴッホを意識したような作品もある。

明らかにゴッホの影響を受けた「ひまわり」

 またモネを思わせるような睡蓮の絵もあるが、水面のきらめきを描こうとしたモネと違い、もっと静かに水の透明感などを描いている雰囲気。どことなく和風な趣を感じさせる作品となっている。

日本的な雰囲気のある「すいれんの池」

 

 

 風景画や静物画などの特徴的な作品も並ぶが、やはり興味深いのは太陽や月を描いた作品。どうも陰影の捉え方に独特のこだわりがあるのを感じさせる。細部の表現が非常にシャープである

牡丹花

春雨

山中孤堂

海辺の秋花

 エピローグに蝋燭を描いた作品が10点以上並んでいたのには驚いた。こんなに量産していたとは。微妙な炎の揺らぎを様々な描き方をしている。この執着ぶりがこの画家の最大の特徴なのだろう。何か危ない執念のようなものを感じるが、それ故に逆にインパクトが強く、印象に残る画家である。正直、彼に対する私の評価はまだ固まっていないのだが、今回ザっと見て回っただけでも私には好印象。今後も注目していく画家の一人ではある。

ラストは蝋燭コーナーだった

 

 展覧会を終えるとフェスティバルホールへ。4オケは入場料が高めなので私の取ったのは価格が安めのA席で3階の天井桟敷。3階席は後列のA席はほぼ満席、前のS席はほとんどが空席という入り。S席の悪い席が売れ残ったようだ。高市恐慌が迫り来るご時世、あまり高価なチケットは売れ行きが苦しくなってきているようだ。

 3階席はやはり高所恐怖症の人間には恐怖を感じさせる席。さあこれから長丁場だ。

3階席はやはり高い

 

 

大阪4オケ2026「4オケは踊る♪」


藤岡幸夫指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団
    ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」
    ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第2組曲

 

 先頭は藤岡指揮の関西フィル。今回はヒナステラとファリアと言うラテン系プログラムを14型の増量関西フィルがジャンジャカと華々しく演奏する。

 もう終始一貫派手派手のヒナステラにはそのパワーが必要なのだが、惜しむらくは増量関西フィルはどうしても全体のまとまりがやや劣る。それにそもそも関西フィルの音色はラテン系とはミスマッチを感じる。管楽陣がラテン的に華々しく抜けてくる感がない。どちらかといえば終始一貫お祭りのヒナステラよりは、若干ニュアンスを含むファリアの方がしっくりきているが、それでも聞いていて本領じゃない感は否定できないところであった。

関西フィル

司会の堀江アナと藤岡

山下一史指揮 大阪交響楽団
    ラヴェル:バレエ組曲「マ・メール・ロワ」
         「ダフニスとクロエ」第2組曲

 

 司会の堀江アナが出てきて藤岡のトークをしている感にステージは大幅組み替え。次は二番手の大阪交響楽団である。かつては4オケの中では一段実力が劣る感が否定できなかった大阪交響楽団だが、山下が就任後はメキメキと実力をつけて進境著しい。

 今回はラヴェルという色彩的なプログラムだが、始まった途端に「おっ」と驚くことになる。弦楽陣は一丸となった美しい音色を聞かせるし、何よりも管楽陣がキラキラとした魅力的な音色を奏でている。弦楽アンサンブルが乱れるせいで音色が濁っていたかつての大阪交響楽団とは隔世の感がある。

 特に一曲目の「メー・メール・ロワ」の色彩感が凄かった。二曲目のダフクロは管楽と打楽器陣を大幅増量の巨大編成にした分、若干の隙は出来たような気がするが、今までの大阪交響楽団のイメージを一新する好演であった。

 演奏後の堀江アナと山下のトークの中で、一曲目が終わって戻ってきた山下が思わず「やるじゃん」と呟いたと堀江アナが暴露していたが、やはり今日の演奏は山下自身も感じたか。実際に私も大阪交響楽団がここまでやるとは予想していなかった。

大阪交響楽団

堀江アナと山下

この後、4人の指揮者のトーク

 

 

出口大地指揮 日本センチュリー交響楽団
     團伊玖磨:管弦楽幻想曲「飛天繚乱」
       バルトーク:舞踏組曲

 

 指揮者4人が集まってのトークの後に15分の休憩。休憩後は4オケ初参加で4人中で最年少の出口が日本センチュリー交響楽団を率いて登場。團伊玖磨とバルトークというやや変化球で来る辺りに若手の野心を感じるところ。

 4オケ中最小編成の日本センチュリー(1曲目は10-10-8-6-5型、2曲目は12型)はまとまって整然とした演奏をする。両曲共にかなり難しい曲であると思うのであるが、演奏自体には乱れはなし。もっとも選曲自体が変化球過ぎるせいで、私としては評価が難しいところ。

 ノリノリで伸びやかな指揮をする出口は、センチュリーのポテンシャルを十分に引き出しているように感じられ、飯森後のセンチュリーの新たな展開を感じさせるものであった。

日本センチュリー交響楽団

今回最若手の出口

尾高忠明指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
    チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」(尾高セレクション)

 

 出口のインタビューとステージの組み替えがあって、大トリは尾高指揮の大フィル。大フィルは16型とここまでの中で一番の大編成。しかし最初の音が出てきた時に思わず私は唸る。「おい、この音はマジかよ」という声が出そうになるのをグッとこらえる。とにかく16型の巨大編成を、単純に音量を上げるわけでなく、音の密度を上げて来る方に回してきた。弦楽アンサンブルは鉄壁だし、管楽陣は艶と煌めきが半端ない。それが一丸となってこっちに迫ってくる感覚。もうこの時点で思わず背筋がゾワゾワとなるのを感じる。

 演奏も凄ければ流石にチャイコの曲も凄い。改めて聞くと全編聞かせどころのオンパレードである。その随所で大フィルソリスト陣があり得ないような美麗な音を聞かせる。「大フィルって、こんなに上手かったっけ」という疑問が頭を過る。とにかく尾高にしてもオケにしても尋常でない気合いが入っているのがビンビンと伝わってくる。そのまま怒濤の大クライマックス。心底感動してしまって思わず涙がにじんでしまったのは計算外。

 場内は一種異様な盛り上がりになった。4オケ祭りに珍しいブラボーの声がかかる状態。そもそも私自身も終演後に思わず「うぉ」という声が漏れてしまった。満場の拍手の中、尾高が二回目に舞台袖に引っ込んだ後、段取り通りに出てきた堀江アナがなんかやりにくそう。思わず「こんな空気の中に申し訳ありません」が第一声。なんか堀江アナ自身も今の演奏には感じるところがあった模様。この後、尾高が出てきてのトークになるが「クライマックスで感動して涙で見えなくなった」って、おい、あんたまでか!! 

大阪フィル

尾高忠明のトーク

 お祭りの軽いムードで来ていたら、なんか最後にとんでもないものを聞かされてしまった。これは全く想定外。結局今年の4オケは尾高御大が最後に全部持って行ってしまったのである。