徒然草枕

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「豊臣兄弟!」第18話「羽柴兄弟!」

開始1分でのまさかの衝撃

 いやー、開始一分で度肝抜かれたわ。長篠の合戦をまさかのナレだけで終わらせたのも唖然だが、本来歴史の大イベントである松永久秀の謀反を、まるで何事もなかったかのように一言で終わらせてしまったのには絶句した。わざわざ松永久秀に竹中直人なんて大者を起用したにもかかわらず、セリフもなく1カットチョロっと出てきただけで退場。まあ高嶋政伸の武田信玄を、餅をのどに詰まらせてあっさりと退場させるぐらいだから、大者役者の無駄遣いなんてことを今更言うつもりもないが、普通は松永久秀の謀反は1話を割いてじっくり描くべき内容。

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 信長との思惑のズレで段々と叛意を高めていく久秀、そしてついに謀反。平蜘蛛を献上するなら許しても良いという信長に対し、「いつまでも貴様の言いなりになると思うなよ」と平蜘蛛に火薬を詰めて華々しく自爆する久秀。こういう鬼気迫る迫真の演技こそ竹中直人の真骨頂だろうと期待していたのだが、見事過ぎる肩透かし。しかもこの久秀謀反のエピソードが、それまで信長に盲従していた兄弟に「本当にそれで良いんだろうか」という一抹の疑問を抱かせるという展開につなげるのが、本来の歴史ドラマという奴である。しかし本作は前回を見ていても分かるように、ファンタジーというよりも歴史の逆張りをすることこそを使命と感じている(そういうドラマが若年層に受けると考えている)ようで、今回も堂々の「歴史なんてどうでもいい」宣言。

 

 

もう何だかんだが滅茶苦茶過ぎて

 もうこれだけで冷水浴びせられ気持ちなんだが、さらに畳みかけてくる。簡単に建ってしまった長浜城ではしゃぐ猿兄弟の漫才の次は、一族衆を巻き込んでのホームドラマ。そして義父の長勝が「羽柴家のために身を粉にして働きまするぞ」と言った直後に、間もなく長勝は亡くなりました・・・は? これは笑うべきなんだろうか、悲しむべきなんだろうか? 意味不明。

 そして長勝の仏前で祈っている秀長に、ゴジラで忙しかったのか1か月ほど完全に存在がなくなっていた寧々が久しぶりに登場。そして自分は子を産めなかったから、福島正則や加藤清正を子として立派に育てるというようなことを言っている。本来この頃には既に寧々はもう子を作ることは考えられない年齢になっているようなんだが、浜辺美波が全く老けをしていない(カツラを地味目に変えた程度で肌はツヤツヤしている)せいで、「いやいや、あなたまだまだいくらでも産めるでしょう」としか見えない。そもそも秀吉と秀長もそれなりの年齢のはずなのに、未だに駆け出しの若者みたいだし、亡くなった長勝も「年寄扱いをするな」と言っているのが完全に滑っているぐらい、見た目がそんな高齢には見えない。本作は老けをやらないつもりなのか、既にスタッフにその力量がないのかが不明だが、そのせいで登場人物の年齢が全く不明。竹中半兵衛が「私のようなものでなく、将来の羽柴家を支える若い人材を起用するべき」と言っても「いやいやあんたもまだまだ若者じゃん」としか言えんし。どころか、この後で家臣集めに応募してきた連中の方が羽柴兄弟や半兵衛よりも年上に見える始末。もう年齢設定が滅茶苦茶。

 

 そして一番のドン引きが岐阜城に戻ってきたお市と三人の娘に面会した信長。お市に対して「長政を助けようと思ったが出来なかった。すまぬ。」と頭を下げる信長に「あり得ねぇ」の声が思わず出てしまう。この作品の信長はツンデレ属性が強すぎ、長政のことは弟として完全にデレていたのがまだ尾を引いている。それに対して「私が長政様を介錯した時に」と絶対あり得ないことを再び念押しする剣豪お市。挙げ句「行くも地獄、戻るも地獄」などとフラフラするデレ長に対して、徹底的なハードボイルドお市。一体どっちが天下人やら・・・。

 

 

無駄な創作エピソードにまるまる1話を費やすバランスの悪さ

 もう完全に滅茶苦茶になってしまっているが、この後は人材登用のエピソードで1話をまるまる費やしてしまう。審査の第四次までの状況を延々と流す。当然ながらこの辺りなんて歴史の事実に残っているわけでないから100%創作。それにしても動くなと命じておいて煙を流して火事だと慌てさせるって、「ガラスの仮面のヘレン・ケラーのオーディションかよ!!」って叫んでしまった。挙げ句、今度は4人のうちの1人誰を落とすか話し合いで決めろなんて、まるで「宇宙兄弟」だし。

 これ完全に無駄エピソード。長浜で秀吉の家臣に石田三成ら、秀長の家臣に藤堂高虎が加わったという事実はあるので、それを少々膨らませるのはありだが、松永久秀の謀反を丸ごとカットしてまで、こんな創作話延々とやるのは歴史ドラマとしてあり得ない(まあ製作スタッフからは「これは歴史ドラマじゃないから」という返答が秒で返ってきそうだが)。第一次選抜でツンデレハニーちゃんこと蜂須賀小六が一芝居売ってみんなが逃げ出し、藤堂高虎が怒って槍を振り回したところでネタばらし、その時に残ったのが石田三成ら3人で彼らは採用。藤堂高虎は「ダマされたアホなワシは当然落ちたか」と去ろうとするが、それを秀吉が呼び止めて秀長の家臣にするという展開だけで十分だったと思うが。

 とにかくどうでも良い無駄なところに時間を割き、絶対にありえないファンタジーを捏造する。結局今回は1話かけて中身はホームドラマだったってこと。予告見たら次回はまた歴史無縁のメロドラマするみたいだし・・・。

 

 

ここまでやるなら究極に行ってしまえば?

 もうここまで歴史を軽視するなら、いっそのこと完全無視の歴史ファンタジーにしちまえと言いたくなる。例えば本能寺の変で信長が死ななかったことにする。切腹を試みようとしたが、その前に煙に巻かれて倒れる信長、そこに駆けつける弥助と森蘭丸。森蘭丸が信長を担ぎ上げると弥助が獅子奮迅の活躍で血路を開く。そして「ランマル殿、殿を・・・」と言い残して倒れる弥助。必死で信長を担いで逃亡する蘭丸。そして数日後に信長は潜伏している寺院で目を覚ます。「ワシは一体どのぐらい寝ていたんだ」と蘭丸に尋ねる。そして蘭丸は信長に1ヶ月ぐらい意識を失っていたこと、信忠(信長の長男)は信長を助けに行こうとして死んだこと、その後に天下は秀吉が制したことを伝える。「猿が天下を取ったか・・・。」「殿、殿がご無事なことは誰もまだ知りません。これより羽柴殿の元に参りましょう。」「いや、もうワシは疲れた。殺し殺され、欺き欺かれのこの世にはもう嫌気がさした。ワシは仏門にでも入って、長政や信行達の魂を弔いたい。ワシのことはこのまま死んだことにしろ。」「私もご一緒致します。」そうして出家して全国を行脚する二人。そして北ノ庄が落城寸前の中、密かにお市の元を訪ねる信長。「兄上、まさか生きておられたのですか。」「ああ、ワシはこのように争いの世界から離れて生涯を送ることにした。」「そうですか・・・。」「市、お前もワシと共に行かんか?」「いえ、私もこの浮世には疲れました。娘たちは逃そうと思いますが、私は勝家さまと最後を共にするつもりです。」「分かった・・・。長政や信行に先に挨拶をしておいてくれ。ワシも遠からずそちらに行く。」なんて涙のメロドラマを。もうどうせデレ長にしちまったんなら、ここまでやっちゃう。

 もっとも完全に歴史無視する以上、番組最後に「このドラマはフィクションであり、現実の歴史とは一切関係ありません」とキャプション出したうえで、最後の5分は観光案内でなく、真の歴史の講座にすると。それでなくても前回のせいで「長政をお市が介錯したのは記録があるのですか?」なんていう質問が知恵袋にあがるぐらいなんで・・・。今時の若者が大河ドラマで歴史を勘違いしたら悲惨過ぎる。

 

 

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