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還暦からの鉄板投資(庶民が損をしないためのマネー戦略2) 第3回

第3回 投資の荒波の中で揉まれる還暦前男

 投資の勉強とばかりにまずは比較的安全とされる外貨預金に挑戦したものの、旨味を感じられずに撤退した私。まだ体当たりの学習は続く。

FX 一攫千金の夢があるというが・・・

 前回の外貨預金は、金利云々の前に為替変動の影響の方が大きくて危険があると言ったが、その為替変動を直接に儲けにつなげようというのがFXである。しかし単にドルを買って、それが上がった時に円に戻すなんて取引ならそんなに巨大な利益が出るものではない。FXが一攫千金につながると言われるのはレバレッジを行使するからである。

 

 レバレッジとはFX会社に預けた証拠金の数倍の取引を実際に行えるというシステムである。国内のFX会社では最大25倍までという規定があるが、海外の会社ならその規制がないのでもっと高レバレッジの取引も可能である。例えば私が10万円を突っ込んで25倍のレバレッジをかけたとすると、250万円の取引をできることになる。そこでうまく儲けたら250万円分に対する利益が得られるということになる。

 

 しかし当然ながら落とし穴もある。儲けだけでなく損失も250万円分に対してかかってくる。損失が出た場合、その損失が私が投入した10万円を超えた時点でただちに強制決済されて10万円は没収されてしまう。これをロスカットというらしい。一応これは安全装置だというが(投資金を丸ごと没収されるのに安全装置とはこれいかに)、為替の変動が大きすぎる場合にはこれが間に合わず、強制決済の前にさらに損失が膨らんで、不足分の追加を要求されることになる事例もあるとか。とにかく高レバレッジの取引をしていたら、一つ間違えたら種銭を丸ごとすってしまうことになる。

 

 しかも高レバレッジであればあるほど、日々の為替変動の小さな動きで突然にロスカットに直面する可能性が高くなる。為替というのは大きな方向性は経済に詳しければ各国の経済政策や経済状況などである程度予測することは出来るかもしれないが、その時の気分で動くような日々の細かい上下は現実的には予測不能である。こうなるとそれは最早投資ではなく丁半博打の様相を帯びてくることになる。

 

 実際にこれで泥沼にはまり、最後は消費者金融で借りた金までつぎ込んですってしまい、そのまま人生自体からリタイヤしたというエピソードはネットでも多数見つかる。なおFXの泥沼にはまり込むヒロインを描いたハードな漫画として知られている「FX戦士くるみちゃん」などの作品も有名。ヒロインの追い詰められていく描写がリアルである。

 これは明らかに我が家の家訓の「博打には手を出さない」に反する上に、そもそも私の老後資金を確保するという目的には合致しない。というわけで、これについてはやる前に手を付けない決断をした。

 

 

暗号資産 ビットコインなど大流行であるが

 ビットコインがブレイクしたことで最近人気なのが暗号資産である。私も実は10万円ほどビットコインに投入してみた。しかしとにかく価格変動が激しいうえに先の動きが全く読めない。これも賭博性が強いと考えて、下落していたビットコインがようやく再び上昇に転じて、私の投入分を回収できるようになったところでさっさと撤退した。

 

 結局はビットコインで大儲けというのは、ビットコイン黎明期のまだ価値の不明な時期に入手していた連中のことのようである。今更参入しても振り回されるだけで、ビットコインについては投資というよりも、国際的な決済システムの一つと考えた方が良いようである(もっとも決済システムとしては変動が大きすぎるが)。

 

 大儲けをするなら黎明期ということで、今は雨後の筍のように有象無象の暗号資産が登場しているが、その中にはほぼ実体のない詐欺のようなものが少なくない。そういう意味でこれに手を出すのは危険がかなりあるとしか言えない。

 

 なおこの時に私がビットコインを購入するのに使用したDMMであるが、その後にハッキングによる資産流出事件が発生、経営立て直しも叶わぬままに廃業という事件が発生した。それ以前にもマウントゴックス事件などもあったが、暗号資産にはこのようなハッキングリスクもあることも忘れてはならないことである。

 

 

金、プラチナ、ダイヤなどの現物投資 安定性や信頼度は高いが

 堅さという点では一番堅いのは現物投資である。というのは、金は世界のどこに行っても金であるから。もし日本政府が経済政策を決定的にしくじって日本崩壊というような最悪の事態になっても、金庫にしまい込んでいた金塊を懐に入れて海外に逃亡すれば、そこで金としての価値はあるので、新天地での再出発での元手としての安心感は抜群にあるだろう。実際に政府を全く信用していない香港人などは、金を抱え込んで手元に置いているという話もある。

 

 ただこの中でダイヤはお勧めしない。というのは単純に重さで価格が決まる金やプラチナと違い、ダイヤは大きさだけでなく品質という要素があり、これが素人には鑑定困難だからである。実際に数年後に高価で買い戻すので投資になるとして、クズダイヤにインチキな独自の鑑定書をつけて高値で販売して倒産した「ココ山岡」のような事件もかつてあった。

 

 プラチナは金よりも価格変動が大きいのが特徴。そもそも工業材料用途が多く、その一番の用途が自動車の排ガス触媒である。しかしこれは電気自動車へのエネルギーシフトでいずれその用途は消滅する可能性もある。もっとも次世代エネルギーの一つにされている燃料電池は大量のプラチナを使用するために、これがメインになれば逆に需要が増える可能性もあるが、とにかく将来を読みにくいので不確定要素が多すぎる。

 

 というわけで「腐っても金」なのであるが、金は株のような成長性がないので、財産の増加を目指す投資というものでなく、財産の消滅を防ぐという超ディフェンシブな手法である。そのために鉄板のさらに上を行く超合金のような堅固さはあるが、老後の資産を形成するという意味では物足りなさがある。それと金塊を抱え込んだ高齢者は、いわゆるトクリュウとかの格好のターゲットになりうるという危険性もある。とにかく私の現状には合わないと判断した。

 

 

不動産投資 やり方次第で儲けられるのだろうが、経営者的才覚が必要

 巷の投資としてメジャーなものの一つが不動産投資である。マンションなどを購入してその賃料を得るというもの。しかしこれは元手となる資金が大きいうえに、そもそも物件を選ぶ際にその地域の相場観や将来の家賃相場の変化などを読む経営者的才覚が必要。下手すれば不動産ならぬ負動産を抱え込む危険もあり、所詮はサラリーマンが副業的に手を出すのは無理であって危険性が高すぎる。

 

 一般的なサラリーマンでも手を出しやすい不動産投資としてはREITがある。これは複数の不動産投資を組み合わせて投資信託にしたもので、NISAなどでも数万円レベルから気軽に購入できる。私もこれに10万円ほど突っ込んでみたのであるが、値動きが景気連動なので完全に株価とリンクしているからオルカンなどの株式投資に対するリスク分散にならない。また価格上昇の勢いが株よりも鈍いという特徴があることから、所詮は投資のメインにするのは難しいと判断して、結局は増やさずに放置している。

 

 

絵画・骨董品投資 目利き力がいるし、公序良俗の点からも勧められない

 バブルの頃に流行ったのが絵画を購入して値上がりを待つというもの。しかしこれは目利き力が必要で、贋作をつかまされる危険性が高いし、そもそも資金力が必要なので素人向きでない。そう言えば昔、版画を「将来価格が上がります」と言って販売する連中がいたが、大量生産できる版画なんか価値はしれているし、そもそもその作家に需要がなかったらその価値自体がなくなる可能性が高いので、これはほとんど詐欺であるので注意。

 

 なお絵画投資は美術展マニアである私に言わせると「公序良俗に反するので絶対にやめて欲しい」というのが本音。芸術品は投資対象として金庫に眠らせておくべきものでなく、広く一般に公開されてこそである。自分で美術館を開設する予定のある富豪の趣味ならともかく、その気のない者はやってくれるなと強く主張したい。

 

※本記事は筆者の体験談であり、特定の投資商品を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

次回の記事

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目次

プロローグ 55にして立つ

第1回 ビビりながらの最初の一歩

第2回 茨の道を爆走する還暦前男

第3回 投資の荒波の中で揉まれる還暦前男

第4回 投資の王道・株式購入に挑戦する還暦前男

第5回 そして至った鉄板スタイル