徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

鍋ヶ滝に立ち寄ってから大分まで移動、「有元利夫展」を鑑賞してから帰還する

いよいよ最終日だ

 翌朝は7時頃まで爆睡していた。7時頃になると廊下や上階がバタバタ始めるのでそれで目が覚める。ここの旅館は悪くはないのだが、建物が古いせいで足音がもろに響いてくるのが難点である。

 目が覚めたところでまずは朝風呂。そして8時から朝食である。朝食はオーソドックスな和定食。あー、ホッとする。

オーソドックスな和朝食

目玉焼きがついている

 朝食後にもう一風呂浴びて9時過ぎにチェックアウトする。実はこの時点で今日のプランはほとんどできてなかったのだが、宿のご主人が近くの見所を紹介してくれたので、それに従うことにする。

 

 

鍋ヶ滝に立ち寄る

 最初に立ち寄ったのは鍋ヶ滝。固い岩盤と柔らかい岩盤が積層になっていて、下の柔らかい岩盤が浸食されることによって、滝の裏に大きな空間があるという独特の形状になっている滝である。大して高度差のある滝ではないが、水のカーテンといった趣でなかなか美しい。現地は駐車場まで完備されていて多くの観光客で賑わっている。

鍋ヶ滝

大きさはこんな感じ

滝の裏側に回り込める

裏側にまわるとこんな感じ

水のカーテンである

滝を間近から

熊本の有名人が彼女同伴で訪問しています

 

 

坂本善三郎美術館に立ち寄ってから別府へ

 鍋ヶ滝の次はその近くの坂本善三美術館。巨大な茅葺きの農家のような屋敷が美術館になっている。建物はなかなか趣があって良い。ただ坂本善三の作品は抽象絵画系で私にはあまり興味がないところ。

坂本善三郎美術館

 これで大体この辺りでの見学は終了。後は大分に移動することにする。往路は国道387号を経由したので、同じ道を通るのも退屈なので県道40号を経由するルートを取ることにする。国道442号線を東進、黒川温泉を過ぎた辺りで県道40号に入る。しかし県道40号はいきなり狭い山道のワインディング道路。両側から紅葉した樹木が迫ってくる中を延々とドライブすることになる。

かなりの山の中を走ることに

すごい山容

紅葉も

 また温泉街道といっても良いぐらい沿線には多数の温泉がある。時間に余裕があればどこかに立ち寄りたいところだが、今日はそこまでは余裕がないので素通り。走っていて面白い道ではあるが、ただ走るだけだとやはりひたすら疲れる。もう少しプランニングを考えておくべきだったといささか後悔。かなり疲れた頃に大分自動車道の九重ICに到着。ここから高速を別府まで突っ走る。

 

 

別府名物ボルシチが昼食

 別府に到着したところでまずは昼食を摂りたい。もう昼食を何にするかは頭の中で決まっている。そもそもわざわざ別府に立ち寄ったのもそのため。現在、私の頭の中はすっかりボルシチが占めている。そういうわけで「馬家溝」に急ぐ。しかし昼時のせいで店は大混雑、近くの駐車場は空きがなく、かなり離れた駐車場まで車を置きに行くことに。しかも店の前にも待ち客がいる状態。通常なら私は食事のために行列に並ぶという価値観の持ち合わせはないのだが、ここだけは話が別である。どちらにしても今日はもう予定がないに等しい。こうなればとことんまで待つ覚悟である。

別府と言えばやはりここ「馬家溝」

 結局は席に着くまでに20分程度待たされ、さらに席に着いてから料理が出てくるまでに40分待たされた。煮込み料理は時間がかかるのである。注文したのは当然のように「ボルシチ」。これに今回はさらに「タンサンド」を追加する。

別府名物ボルシチ

 ボルシチの酸味と旨味が体に染みる。そう、私を虜にしたのはこの味なのである。これにとりつかれたおかげで年に一度は別府を訪問しないといけない羽目になってしまった難儀な味である。さらにまた今回初注文のタンサンドがうまい。自家製のスモークタンをキュウリと一緒にパンに挟んだというシンプル極まりないメニューなのだが、このスモークタンが味わいといい柔らかさといい絶妙。「うまい。あり得ない。」という言葉が自然に出てしまう。

このタンサンドも絶妙

 これにデザートにプリンを付けて昼食を堪能した。結局は昼食だけに1時間半ほどかけた計算になるが、それだけの価値は十分にあった。これで本遠征の最終目的が終了・・・というわけではないのだが、なぜかそういう気持ちになってしまう。

デザートにはプリン

 

 

ひょうたん温泉に立ち寄る

 まだ時間があるし、別府まで来たのだからやはり入浴するべきか。調べたところ「ひょうたん温泉」なる日帰り施設があるらしいので立ち寄る。駐車場は満車でしばし待たされる。人気のある施設らしい。

ひょうたん温泉で入浴

 中は男女別の大浴場と混浴の砂風呂があるらしい。私は砂風呂には興味がないので大浴場に。大浴場はいくつかの内風呂があり、その中には名物瀧湯なるものがあり、これは要はうたせ湯。肩こりには良さそうだが、四十肩の場合は痛いだけ。結局は露天や内風呂に浸かることに。泉質はナトリウム・塩化物泉でかけ流しとのことだが、入浴客が多いせいかお湯にあまり鮮度を感じない。杖立温泉と同系統の泉質だけに、どうしても比較してしまうとツライ。

加水をしないために、このようにして湯を冷ます

説明看板

 入浴を終えるとレンタカーを返却しないといけないので大分に移動する。ただレンタカーを返却する前に一カ所立ち寄る。

 

 

「有元利夫展」大分市美術館で12/7まで

大分市美術館

 中世フレスコ画に影響を受けた独特のスタイルの画風で知られた画家の展覧会。

 フレスコ画に限らず、バロック音楽などとにかく古典に影響を受けたようで、その画面は現代作品にも関わらず妙に古びて独自の静寂性を持っているのが特徴である。独特の東進のおかしな人物像に妙な浮遊感などの非現実性。画題的はシュルレアリスム的なのであるが、その画面はあくまで古びた教会の壁画のような落ち着きがある。独特で妙な作品なのだが、何とも表現しがたい魅力を持っているのも事実である。

 惜しむらくは38才という若さで夭折したこと。かなり突出した個性を持っているだけに、晩年まで同じスタイルを守り続けるのか、それともどこかで劇的な変化を遂げるのかを見届けたかったという気持ちが湧いてくる。

 

 

 大分市美術館は意外と広いので、常設展まで見ていたら予想外に時間がかかってしまった。これは急いだ方が良さそうだ。ただ問題は大分駅周辺にはガソリンスタンドがないこと。結構遠くまで回る必要がある。しかもここに来てカーナビがとんでもない道路を案内。あり得ないような路地をグルグル回る羽目になり(何しろ道幅が狭すぎて交差点で曲がれない)、神経と時間を浪費してしまう。そうこうしている内に帰りに乗るはずの特急の発車時間が刻々と迫る。

 結局レンタカーを返却して大分駅に到着したのはソニックが発車した2分後だった。レンタカーを単に返すだけならギリギリだったかもしれないが、車を差し替えたことでガソリン代の精算があったりなど手続きが手間取ったのが致命傷になった。やらかしてしまった・・・。仕方ないので次のソニックの自由席で移動することにする。ただそれだと小倉で途中下車して夕食を摂るつもりだったのが、その余裕が全くないどころか乗り換えの時間でさえカツカツである。これではあんまりなのでエクスプレス予約でもっと遅い時間の新幹線に振り替えようとするが、新幹線に全く空きがない。やっぱり三連休の最終日というのが効いているのか。とんでもない状態のようだ。これは弁当でも買うしかないだろう。

 ソニックは大分駅始発なので自由席でも座席の確保ができる。実はこういった事態も見越してあえて別府からではなく大分から帰ることにしていたというのもある。そう遠征とは常に二手、三手先を考えて行う必要があるのである。この周到さが仕事に生かされていたら、私も今頃は・・・やめておこう。

 小倉までの移動は疲労のためかほとんど爆睡状態だった。小倉に到着するとエクスプレス予約の切符を受け取って慌ただしく乗り換え。しかし乗り換え改札が大混雑している。どうも自動改札に慣れない親子連れなどがエラーを続出させているようだ。もっとも切符とICカードなんかが併用になった場合の扱いは煩雑すぎて、私でも未だによく分かっていない。特に小倉駅のようなJR各社間の接続駅はその煩雑さに拍車がかかることになるのである。明らかにシステムがまずいし、これも分割民営化の弊害の一つ。大分時間をとってからようやく改札を抜け、さて弁当でも買おうと思うとなんとどこの売店も弁当は品切れ。一体何が起こってるんだ?

 結局弁当は車内販売で購入することと相成った。ここで買えなかったら、空きっ腹を抱えて帰宅するしかないところだった。弁当で腹を満たすと半分ウツラウツラしながら新幹線で家路につくのであった。

 三泊三日の九州大遠征だったが、立ち寄った美術館は2カ所、城郭は1カ所という完全に温泉ツアーだったのが今回。段々と遠征の趣旨が爺臭くなってきた。しかしその割にはなぜかゆったりと慰安旅行ではなく、やけに疲れが残っているのは? 結局は車で走りすぎたのが大失敗。杖立温泉が思いの外の秘境だったのと、やはり筑後吉井は杖立から少し立ち寄るという距離ではなかったというのが大失敗の一因だが、それ以前に遠征全体を通してあまりにも動線が滅茶苦茶だった。毎回毎回こうもしでかしてしまうとは、私もあまりに学習能力がなさ過ぎる。と言うか、遠征に出かけるとバーサーク状態に突入してしまい、行動力は三割増しになるのだが知的能力の方が七割減になってしまうんだよな・・・。年だけくってもいつまで経っても「円熟」という境地に至らない私。「成長しない」では格好が悪すぎるので、「永遠の少年」とでも言い換えておくか。情けねぇ・・・。

 

 

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work